陽の当たらない場所「アメリカの悲劇」

犯罪

私も大昔は、最初に付き合った人と
結婚するって思っていたものです。

[原題]An American tragedy
[製作年]1931[製作国]アメリカ
[日本公開]1931
[監督]ジョセフ・フォン・スタンバーグ
[原作]セオドア・ドライサー
[脚本]サミュエル・ホッフェンスタイン
[撮影]リー・ガームス
[上映時間]95

主な登場人物

クライド・グリフィス(フィリップス・ホームズ):
伝道師の息子。端正な顔立ちで、貧乏な境遇から這い上がりたい野心があった。性格は卑怯者。

ロベルタ・オールデン(シルヴィア・シドニー):
クライドが務めるシャツ工場の女工。農家の娘で控えめな娘だったがクライドと関係を持ち妊娠してしまう。

その他の登場人物

サンドラ・フィンチ(フランシス・ディー):フィンチ家の令嬢。クライドを深く愛してしまう。
オリビエ・グリフィス(アーヴィング・ビシェル):サミュエルの妻
サミュエル・グリフィス(フレデリック・バートン):クライドの伯父
グリフィス夫人(クレア・マクドウェル):クライドの母

あらすじ

カンザス・シティのグリーン=デイヴィソン・ホテルのロビー。そのホテルのベルボーイのクライドは、上流階級の令嬢も魅かれる程の男前だった。しかし伝道師の両親は救護所の運営を行なっており、自分たちも貧しくつましい生活を送っていた。そんな生活を快く思っていなかったクライドだったが、そこにいるしかなくあまり素行の良くない友人たちと夜遊びしていた。その夜、友人が飲酒運転していた車が路上で子供を轢いてしまう。クライドは自分は悪くないと、荷物をまとめて逃走する。母親のグリフィス夫人は、自分の育て方に誤りがあったと息子の為に神に祈ることしかできなかった。何度かホテルのベルボーイを渡り歩いた後、ニューヨークに伯父がいることを思い出した。その後クライドは伯父であるサミュエル・グリフィスのシャツ工場で働き始め、すぐに捺印部門の責任者に昇進した。襟にスタンプを押す単純作業で、工場は女性工員ばかりだった。若く男前な上に社長の甥である、クライドは注目の的だった。そこに新しい女工員ロベルタが面接にやって来た。クライドはすぐに彼女を採用した。その週の日曜日の夜、叔父一家はクライドを家に招待していたが、一方で自分たちと同じ上流階級に入られては困るという懸念も話していた。春になりクライドが川でカヌーを漕いでいると、たまたま散歩しているロベルタと出会い彼女をカヌーに乗せる。クライドは可愛く控えめなロベルタに好意を寄せ、ロベルタは社長の甥であるクライドと農家出身の自分では身分違いということと、職長と工員との恋愛は禁止されていたため交際を公にできなかった。そこでクライドは、工場で「愛している」の時は「今日は仕事が遅いぞ」と言うよと二人の秘密の合言葉を伝えた。秋になり外でデートするのが辛いとクライドはロベルタの部屋に行きたがった。それはいけない事だと断るロベルタに、クライドは冷たく接するようになっていった。焦ったロベルタは、工場の作業中にクライドにこっそり手紙を渡した。ロベルタは、こっそりクライドを自分の部屋に招いた。ロベルタは、クライドと深い仲になって捨てられたら生きていけないと不安を語ったが、クライドは絶対に捨てたりなんかしないとロベルタを抱きしめた。ある時クライドが歩いていると、女性に声をかけられる。彼女は人違いだったと謝ったが、クライドは彼女が新聞の社交欄で見ていたフィンチ家の令嬢だとわかり自己紹介した。フィンチ家の令嬢サンドラもクライドのいとこからクライドの事を聞いていた。クライドはサンドラに恋人はいないと伝え、そこからフィンチ家の舞踏会に呼ばれた。舞踏会に行ったクライドは、上流階級で美しく自信に溢れたサンドラに夢中になった。すっかり忘れらていたロベルタは、クライドに妊娠を伝え結婚を迫った。

どんな映画?

1925年に刊行されたセオドア・ドライサーの小説「アメリカの悲劇」を元にマレーネ・ディートリッヒとのコンビで知られる映画監督ジョセフ・フォン・スタンバーグ が映画化。同タイトル「アメリカの悲劇」の最初の映画化で、同原作は後にジョージ・スティーブンス監督が「陽のあたる場所」(1951年)として映画化されています。

信仰に生きる両親の元
貧しく育ったクライドはホテルのベルボーイ
彼に唯一あった才能は
イケメンだったこと
ある日友人が運転していた車が
子供を轢いてしまう事故を起こします。
同乗していたクライドは自分のせいじゃないと
とんずら

居場所を転々しながら
ニューヨークに伯父さんがいることに
気がつきます。
早速伯父さんのシャツ工場に雇って
もらうことに。
女性工員ばかりの職場で主任役
面接に来たロベルタを即採用

可愛いロベルタを気に入ったクライド
しかし社員と工員との交際は禁止されてい
いたためこっそりお付き合いすることに♪
順調に交際が続いていたある日
偶然社交界の花サンドラと
お知り合いに

彼女?いないよ

と平然と答えるクライド

美人で金持ちのサンドラに夢中になった
クライドは次第にロベルタを避けるように

しかしロベルタから突きつけられた 現実はー

邪魔になったロベルタを始末しようとボートに誘いますが…

もうねー この映画、ほんとにほんとにシルヴィア・シドニー演じるロベルタが可哀想で可哀想で仕方がないんですヨ。 若い頃のシルヴィア・シドニーが可憐で、笑うと黒目がちになるところが非常に可愛らしいです。 何でこんな娘殺すんだろーとなっちゃいます。 性交渉の要求に応じないと相手が冷たくなり、男の機嫌を取るために応じてしまうシーンは、90年前の映画なのに男女の駆け引きは変わらないなーという印象ですネ。それにしてもムカつきます!「陽のあたる場所」(1951年)の同役を演じたシェリー・ウィンタースは申し訳ないけど、結構ウザかったので、主人公の方に同情が集まってしまいましたが。

1906年に発生したジレット事件を元にセオドア・ドライサーが小説「アメリカの悲劇」を発表。この小説は、800頁を超える大作でアメリカ自然主義文学の傑作とされています。また、ドライサーのデヴュー小説「シスター・キャリー」は、1951年のウィリアム・ワイラー監督の「黄昏」の原作としても知られています。

映画の倫理規定であるヘイズ・コード以前の映画な為、婚前交渉のほのめかし、中絶の示唆、など公開当時かなりスキャンダラスな内容となっていました。アメリカではそれほど評価はされませんでいたがヨーロッパでは評価が高く、昭和6年の日本でもすぐに公開されています。

物質的豊さを求める資本主義への疑問、アメリカには一見ないようで歴然と存在する白人の階級社会、信仰に生きながらも救われない現実など、アメリカ社会が抱えていた矛盾を悲劇として捉えた濃厚な内容でしたが、単に短絡的で無信仰、軽薄な若者が欲望のままに起こした情痴事件として、スキャンダラス性ばかりを出してしまった脚本だった為、監督自体も駄作認定。原作のドライサーに至っては上映差し止めの裁判も起こした程だったそうです。

ただ映像は美しく、主人公のフィリップス・ホームズもやっぱりイケメンだし、シルヴィア・シドニーも可愛いなどビジュアル的に必見な映画ではあります。

スタッフ・キャスト

主人公のクライド・グリフィスを演じたのはアメリカ合衆国出身の俳優フィリップス・ホームズ。サイレント映画や、フィルムノワール の脇役で活躍した俳優テイラー・ホームズの息子さんです。1931年に主演した「アメリカの悲劇」で人気俳優の仲間入りを果たし、その後もハワード・ホークス監督、ウォルター・ヒューストン主演の社会派刑務所映画「光に叛く者」(1931年)で若い囚人を演じ、巨匠エルンスト・ルビッチ監督の戦争映画「私の殺した男」(1932年)では、味方を殺してしまったことで苦悩する青年を演じています。しかし、その後興行的に失敗した映画に立て続けに出演し人気が低迷。さらに1933年にホームズが運転し、女優のメイ・クラークを乗せた車が衝突事故を起こし顔に傷を負ったメイ・クラークから治療費を請求される訴訟を起こされているそうです。メイ・クラークは1931年の「フランケンシュタイン」や「民衆の敵」の出演で知られた女優さんでしたが、この怪我が女優のキャリアに悪影響を及ぼしたと言われています。その後フィリップス・ホームズは第二次世界大戦の兵役で、カナダ空軍に参加し残念ながら35歳の若さで戦死されています。

クライドと交際する女工ロベルタ役にまだ若く可憐なシルヴィア・シドニー。笑うと黒目がちになるキュートさです。
上流階級のお嬢様サンドラを演じたのはフランシス・ディー。正統派美人として「痴人の愛」(1934年)や、「私はゾンビと歩いた!」(1943年)などに出演されています。

まとめ

ロクでもない男と付き合って地獄行き

コメント

タイトルとURLをコピーしました