夏だ!島だ!ゾンビだ!「私はゾンビと歩いた!」

怪奇

異母兄弟より異父兄弟の方が 確執が生まれると根が深く なるような気がします。

[原題]I walked with a Zombie
[製作年]1943[製作国]アメリカ
[日本公開]劇場未公開
[監督]ジャック・ターナー
[脚本]カート・シオドマク/アーデル・レイ
[製作]ヴァル・リュートン
[撮影]J・ロイ・ハント
[編集]マーク・ロブソン
[音楽]ロイ・ウェッブ
[上映時間]68

主な登場人物

ベッツィ・カーネル(フランシス・ディー):
カナダの看護師。大砂糖農園主ホランド氏の妻の看病の為、カリブ海の島に赴く。

ポール・ホランド(トム・コンウェイ):
ベッツィの雇い主。砂糖の大農園主。妻ジェシカの病気に悩まされていた。

その他の登場人物

ウェズリー・ランド(ジェームズ・エリソン):ポールの父親違いの弟
ランド夫人(エディス・バレット):ポールとウェズリーの母
マクスウェル博士(ジェームズ・ベル):夫人の主治医
カルフール(ダービー・ジョーンズ):コンフォートの番人

あらすじ

浜辺で「私はゾンビと歩いたの」と話す若い女性。
1年前の冬、カナダの看護師ベッツィは就職面接で、呪術を信じるかと尋ねられ、笑い飛ばした。ベッツィの就職が決まり、西インド諸島の島で、砂糖農園を営むポール・ホランド氏の妻ジェシカの看護をすることになった。行きの船の中でホランド氏に会えたが、紳士的な物腰だがどこか物悲しい人物に思えた。島に到着すると馬車を頼み、その運転手にホランド家のことを聞いたベッツィ。昔この島にホランド家が黒人とT・ミザリーを連れて来たのが始まりだという。T・ミザリーとは船の頭に付いている飾りだと説明した。広い庭のある広大な屋敷に到着したべ。何故か人の気配がなく自分の部屋で荷解きをし、身支度をしていると使用人から夕食に呼ばれた。部屋に行くとそこには若い男性がおり、ウェズリー・ランドと名乗りホランド氏の父親違いの弟だという。ホランド氏が現れ、離れの塔の中にある妻の部屋に、食事を運んで行った。その夜、寝る準備をしていると庭で、ホランド夫人と思われる女性が歩いているのを見る。泣き声のような音で、眠れなくなったベッツィは妻の部屋があるであろう塔の中に入ってみる。扉を開けるとすぐに階段がつながり薄暗かった。そこにホランド夫人が戻って来るが、ベッツィが声をかけても全く反応せず、ずんずん近寄ってくる。思わず悲鳴を上げてしまうベッツィだが、すぐにホランド氏が入って来て妻をメイドに連れて行かせた。使用人に子供が生まれ、この土地では出産時に泣く風習があると言う。ホランド氏は庭にあるT・ミザリーの像を見せ、これは奴隷船に着いていた船首像だと言い、昔この船で連れてこられた奴隷達は出産に悲しみ、死を喜ぶと語った。翌朝メイドに起こされベッツィは、彼女からホランド夫人は大病を患いそのせいで神経を病んでしまったと聞かされる。ベッツィは看護師として、ホランド夫人の主治医であるマクスウェル博士に歓迎される。博士は無反応にベッドに横たわるホランド夫人を、美しいゾンビだと語る。ゾンビとは何か?と問うベッツィに対し、博士は生きる屍だと答えた。夫人の症状はかなり重く、ひどい熱病にかかり脊髄を損傷し、自分の意志では何もできなくなってしまったと言い、治る見込みはないと言われてしまう。

どんな映画?

この映画は、カルトホラー映画「キャット・ピープル」(1942年)やフィルム・ノワール映画の「過去を逃れて」(1947年)の監督として知られるジャック・ターナーが、監督した悲しいホラー調の映画になります。 日本では劇場未公開ですが、ビデオ・DVDが発売されております。

カナダの看護師ベッツィは
就職の為西インド諸島の島に行くことに。
仕事はその島の大農園主である
ポールの妻ジェシカの看病。

半ばリゾート気分のベッツィに
雇い主であるポールは何だか
悲しげな雰囲気
でも何か素敵♪

屋敷に到着すると
食卓に来たのはポールの父親違いの弟ウェズリー
美人のベッツィに優しく接してくれる
でも何だか兄弟仲はあまり良くなさそう

その夜目を覚ましたベッツィが 見たのは
夢遊病のように歩く美しい女性の姿

あれが病気の夫人かな?と
思ったベッツィは彼女を追いかけます。
夫人ですか?
と話しかけるベッツィに
表情も変えずズンズン迫る夫人!?

こえー

と思わず悲鳴を上げてしまう
ベッツィにポールが駆けつけます。
主治医によると夫人は病気により
ゾンビのようになってしまったと言うのです。
次第にベッツィは
家族の秘密を知ることに…

コンフォート呼ばれるブードゥー教の寺院の番人であるカルフールが
海の中に向かう二人を見つめる。

日本でのビデオタイトルは「生と死の間」、「ブードゥリアン」となっていますが、原題の通り「私はゾンビと歩いた!」の方がインパクト大でしょう♪
「私はゾンビと歩いた!」はハイチの民間信仰であるブードゥー教の、「ゾンビ」と呼ばれる生きる屍を題材にしています。「ゾンビ」は映画のネタとして1932年に「恐怖城」の中で、ゾンビパウダーによってゾンビ化されたヒロインが有名です。今日の「ゾンビ」と違って命令を聞く存在であって単体で襲って来たりはしていません。今の「ゾンビ」の典型は1968年のジョージ・A・ロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」によるものが大きいです。
この映画は、シャーロット・ブロンテの小説「ジェーン・エア」のゾンビ版として意訳したとのことで、ホラー要素よりもメロドラマが強い作品となっております。 ホランド家が島に入植した際に乗ってきた船と連れて来た黒人奴隷たち。その子孫達は「子供の誕生に悲しみ 死を喜ぶ」と過酷な人種差別に苦しんできた様子が伺われます。ホランド家の当主であるポールは不穏な島で罰を受けているかのように苦悩の中にいて、そこにやってきた看護師のベッツィ。彼女は彼や彼の妻を救おうと画策するのですが、やがて悲劇的な結末を迎えます。

劇中にカクテルのゾンビを知っているか?と言うセリフが出てくるのですが、ゾンビカクテルは、ラム酒をベースにオレンジやパイナップル、レモンなどのパッションフルーツ系のジュースで割ったカクテルで、アルコール度数も比較的強く名前の由来が「死人も蘇るほど」という意味合いでつけられたという説があるとのこと。また、「ティファニーで朝食を」(1961年)に、登場したことで有名です。

この映画は2001年にジェニファー・グレイ主演で「デス・ヴィレッジ」としてリメイクされています。

スタッフ・キャスト

看護師ベッツィを演じたフランシス・ディーはアメリカ合衆国の女優。1931年にジョセフ・フォン・スタンバーグ監督の「アメリカの悲劇」で、上流社会の女性を演じています。この役は後に、「陽のあたる場所」(1951年)としてリメイクされ、エリザベス・テイラーが演じています。また、1934年にはジョン・クロムウェル監督、ベティ・デイヴィス主演の「痴人の愛」で、レスリー・ハワードの相手役を演じています。1941年には「暴力街」でジョン・ウェインと共演しています。私生活では「海外特派員」(1940年)や「サリヴァンへの旅」(1941年)の出演で知られる俳優のジョエル・マクリーと結婚され、添い遂げました。

ホランド氏を演じたのはイギリス国籍の俳優トム・コンウェイ。俳優のジョージ・サンダースの兄としても知られています。弟のジョージ・サンダースが演じていた私立探偵ファルコン・シリーズの上品な英国紳士探偵トム・ローレンスを、「ファルコンの兄弟」で出演した実際の兄トム・コンウェイが、途中から弟に代わり主演を演じるようになり、1946年までに9本のファルコン・シリーズに出演しています。1942年にジャック・ターナー監督のホラー映画「キャット・ピープル」では、シモーヌ・シモンに襲いかかるドクター役を演じており、続編の「キャット・ピープルの呪い」(1944年)にも出演しています。また、アンソニー・マン監督のノワール映画「午前2時の勇気」(1945年)で主役を演じています。

兄弟の母親を演じたエディス・バレットはアメリカ人女優。主に舞台で活躍された女優さんですが、映画では1941年に「生きてる死骸」で、アイダ・ルピノのイカれた姉の一人を演じています。また、1943年のロバート・スティーブンソン監督の「ジェーン・エア」にも出演しています。私生活ではヴィンセント・ブライスと10年ほど結婚していました。

まとめ

美しきゾンビに出会って地獄行き

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