次に私が「らせん階段」

フィルムノワール

らせん階段を急速に降りると目が回ります。

[原題]The Spiral Staircase
[製作年]1945[製作国]アメリカ
[日本公開]1949
[監督]ロバート・シオドマク
[原作]エセル・リナ・ホワイト
[音楽]ロイ・ウェップ
[上映時間]83

主な出演

ヘレン(ドロシー・マクガイア):
過去のトラウマにより口がきけなくなった娘。ウォーレン夫人の世話係をしている。

ウォーレン教授(ジョージ・ブレント):
ウォーレン家の長男。

ウォーレン夫人(エセル・バリモア):
主人公のヘレンを何かと気に掛ける屋敷の夫人。後妻で長男のウォーレン教授とは血が繋がっておらず、次男スティーヴンの実母。

その他の登場人物

ブランチ(ロンダ・フレミング):スティーブと恋仲
パリー医師(ケント・スミス):ヘレンを気にかける
ウォーツ夫人(エルザ・ランチェスター):屋敷の家政婦

あらすじ


街の「ヴィレッジ・ホテル」で映画「接吻」の上映会があり、口のきけないウォーレン家の使用人ヘレンも観に行っていた。しかしそのホテルの上の部屋で女性の悲鳴が聞こえる。慌てて駆け付けると、足の悪い女性が殺されていた。警察が取り調べをし、ここ最近の二件の殺人に関連があるように思われていた。死体の確認に訪れた若い医師パリーはその帰りヘレンを馬車で送る。パリー医師は身寄りがなく口が聞けないヘレンを気にかけていた。途中一人で帰ったヘレンは何者かにつけられている気配を感じ、突然振り始めた雨の中慌てて屋敷の中に入る。屋敷に入ると台所にいたウォーツ夫人が事件のことを知っており、一人目の被害者は顔に傷があり、二人目は精神薄弱の娘だったという。寝たきりのウォーレン夫人の部屋に呼ばれたヘレンは階段の途中にある鏡の前で声を出そうとするが出ない。それをあやしい目で見つめる者の目に、ヘレンの口がないように映っていた。夫人の部屋に行ったヘレンは夫人から今日中にこの屋敷から出ることを勧める。夫人は看護婦を疎んじ、ヘレンに目をかけていた。屋敷には当主のウォーレン教授がおり事件のことで警官が訪れていた。そこに夫人の息子である二男のスティーブがフランスから帰国しており、教授の秘書であるブランチと恋仲だった。出ていけという夫人にヘレンは夫人の病状が気になり出ていくことはできなかった。

どんな映画?

足の悪い女性がホテルの部屋でお着換え中。
クローゼットの中から


目!!!


女性は殺されていました。
下のロビーでは映画の上映会が行われていて
その映画を一生懸命観ていたのは口の不自由な娘ヘレンでした。
このところ体の不自由な女性を狙った殺人事件が続いていました。

ヘレンを気にかけていたパリー医師はヘレンが使用人として
働いている屋敷まで送っていましたが
途中急用が入り、ヘレンは医師と別れ一人で帰ることに。
ですが、森の中で天気が急変し大雨にあってしまいます。
慌てて屋敷に戻ろうとするヘレンを木の陰から見つめる怪しい人物が!

ヘレンはベッドに臥せっている夫人の世話をしていました。
夫人はヘレンを何かと気にかけており、看護師には態度が
悪かったのですが、ヘレンには優しかったのです。
ヘレンもそれをわかっていました。

屋敷にはウォーレン教授という長男とスティーブの次男がおりましたが
夫人は後妻で教授とは血が繋がっていなかったのです。
教授のもとに警察が訪れ、ヘレンが心配だと告げるのですが・・・・

スタッフ・キャスト

原作は「バルカン超特急」のエセル・リナ・ホワイト。
「バルカン超特急」の主人公の若い娘も女性がいなくなったことを誰も信じてもらえず、右往左往するお話ですが、こちらの「らせん階段」は話すことができません。
セリフのほとんどない主人公のドロシー・マクガイアは難しい役どころでしたが、身振り手振り、表情で好演しております。だいたい犯人の目星はすぐについてしまうので、謎解きを楽しむよりは、主人公が次はあたし~と思いつつも、目をかけてくれる屋敷の夫人をほっておけず屋敷を出ることができないジレンマと犯人との対峙が見どころです。
被害者が限定的なので、自分に当てはまってしまうのがわかるのですが、これが美女限定だったら次はわたしかも!?って心配しますかね~

監督のロバート・シオドマクはドイツ出身。1944年「幻の女」、1946年「暗い鏡」、「殺人者」、1948年「都会の叫び」、「裏切りの街角」などと1940年代は精力的にフィルムノワール映画を多数製作しました。

セリフが無いというか話せない役なので当然なのですが、表情が命。かなりの演技力が必要になる役どころ
1947年にエリア・カザン監督の「紳士協定」に主演のグレゴリー・ペックの恋人役を好演しております。

スティーヴの恋人として屋敷にいるブランチを演じたのは「テクニカラーの女王」と呼ばれたリンダ・フレミング。カラーでお見せできないのが残念でしょうが、この後多くのフィルム・ノワールや西部劇で活躍しています。

ウォーレン教授を演じたジョージ・ブレントは眼力のあるかなりインパクトのあるお顔。
1938年の「黒蘭の女」ではヘンリー・フォンダのライバル役で出演していました。

ウォーレン夫人役のエセル・バリモアは兄ライオネル・バリモア、弟ジョン・バリモアと「バリモア一家」と呼ばれる芸能一家。お金持ちの婦人やおばあちゃん役の印象が強いお方です。ちなみにドリュー・バリモアはジョン・バリモアの孫にあたります。

オーツ夫人役のエルザ・ランチェスターは名俳優チャールズ・ロートンの妻で、「フランケンシュタインの花嫁」の花嫁役が有名ですが、口うるさい家政婦の役がほんとに似合います。

大きなお屋敷の殺人事件は一つのジャンル映画ですね!

まとめ

らせん階段で地獄行き

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