奥様は文化大臣「トプカピ」

犯罪

一日の計画をたてていても、
たいていグダグダになります。

[原題]Topkapi
[製作年]1964[製作国]アメリカ
[日本公開]1964
[監督・製作]ジュールス・ダッシン
[原作]エリック・アンブラー
   『真昼の翳』
[音楽]マノス・ハジダキス
[上映時間]120

主な登場人物

エリザベス・リップ(メリナ・メルクーリ):
女盗賊。トプカピ宮殿の博物館にあるスルタンの剣を狙いを定め泥棒仲間を集めることに。

アーサー・サイモン・シンプソン(ピーター・ユスティノフ):
間抜けなガイド。成り行きでエリザベス一味の仲間になることに。

その他の登場人物

ウォルター・ハーバー(マクシミリアン・シェル): エリザベスの元カレ
セドリック・ペイジ(ロバート・モーレイ): 発明家
ジェヴァン(エイキム・タミロフ)
ジョゼフ(ジョー・ダッサン): 模造品作り

あらすじ

女盗賊のエリザベスは、トルコイスタンブールのトプカピ王宮博物館のスルタン像が持つエメラルドの宝剣に目星をつけ、かつての恋人ウォルターに声をかける。さっそく仲間を集めることに。博物館の床には警報機が仕掛けられているため、上からガラスケースを持ち上げ、エリザベスが作った宝剣のレプリカとすりかえる計画だった。機械に詳しい発明家のセドリック、曲芸士ジュリオ、怪力ハンスそしてもう一人探すためにギリシャに行く。ウォルターは歴史家でガイドのシンプソンに目をつけ、彼に車をイスタンブールのホテルに運べと言う。しかし、シンプソンはトルコの国境でパスポートに不備があり、捕まってしまう。車には万が一のこと考えて、武器や催涙弾がしこまれていたため、シンプソンがテロリスト集団の仲間だと思われ、彼らに混ざりスパイをするよう要請される。車を受け取るためにホテルに来ていたセドリックと一緒に運転手としてアジトにもぐりこんだシンプソンは、たばこの箱にメモを入れて警察に彼らの同行を知らせる。怪力で持ち上げ役のハンスがけがをしてしまったため、急きょシンプソンが仲間に加わることに。

どんな映画?

突然スーツ姿で現れて自己紹介するのはエリザベス・リップと名乗る女泥棒、メリナ・メルクーリです。
さすが後のギリシャ文化大臣、観光案内もお手の物です。
四十代半ばのメリナ・メルクーリ、ちょっとトウがたってしまっていますが、まだまだ魅力的です。
なんてったってこの映画の2年後に監督であるジュールス・ダッシンと結婚するのですから。

スルタン像が持つエメラルドの宝剣に目をつけたエリザベスは元カレのウォルターを誘って作戦を練ります。
協力者を集めるためウォルターたちは、たまたま現地でガイドをしていたシンプソンに仕事を依頼します。
それと知らずに車で現地に武器を運ばせたのです。

車で依頼された場所に向かうシンプソンでしたが、国境でまんまと捕まります。
シンプソン役はアガサ・クリスティ原作のエルキュール・ポワロ役で有名なピーター・ユスティノフです。
このおとぼけの演技で第37回アカデミー賞助演男優賞を受賞しています。

巻き込まれたシンプソンはテロリスト扱いされ、死刑を回避するため警察に協力することに。

エリザベスたち一味に潜り込んだシンプソン。
果たして彼らの運命は?

天井から吊るされて人力でガラスケースを持ち上げると言うすごい計画。

この映画はエリック・アンブラー「真昼の翳(かげ)」の小説を映画化したサスペンスタッチのコメディです。
ピーター・ユスティノフのおかけでかなりコメディ色が濃くなっています。エリック・アンブラーは1940年にジョゼフ・コットン主演で「恐怖への旅」として映画化、1944年に代表作である「ディミトリオスの棺」の映画化である「仮面の男」などがありますが、どちらも巻き込まれ型のサスペンスで、「真昼の翳(かげ)」も成り行きで協力者になる巻き込まれ型ですね。

イタリア映画「黄金の七人」と並んで泥棒映画でははずせない一本です。

スタッフ・キャスト

監督のジュールス・ダッシンはアメリカの映画監督。1948年「裸の町」、1950年「街の野獣」などフィルム・ノワールを得意としましたが、1950年代から映画製作が困難になり、ヨーロッパへ。1957年「宿命」1959年「掟」1960年「日曜はダメよ」に立て続けに後の妻になるメリナ・メルクーリを主演に起用し、「日曜はダメよ」がアカデミー賞にノミネートされました。「日曜はダメよ」は主題歌が流行り、娼婦イリヤ役のメリナ・メルクーリの魅力を余すところなく発揮しました。「トプカピ」の中でジョセフ役で出演しているジョー・ダッサンはジュールス・ダッシンと前妻の息子で、歌手としても有名でした。

イギリス出身の俳優ピーター・ユスティノフは1960年のスタンリー・キューブリック監督の「スパルタカス」でアカデミー賞助演男優賞を獲得しているオスカー俳優です。また、アガサ・クリスティ原作の人気シリーズ名探偵ポアロを、「ナイル殺人事件」(1978年)、「地中海殺人事件」(1982年)、「死海殺人事件」(1988年)の三本の映画でエルキュール・ポアロを演じていることでも有名です。この映画でアカデミー賞助演男優賞を受賞しております。

ウォルター役のマクシミリアン・シェルはオーストリア出身。1961年に弁護士を演じた「ニュールンベルグ裁判」でアカデミー賞主演男優賞受賞の実力派。1974年「オデッサ・ファイル」や1977年「戦争のはらわた」「遠すぎた橋」などナチ将校役が多かったですね。

まとめ

計画狂って地獄行き
てっゆうか刑務所行き

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