ハムの仮装「アラバマ物語」

犯罪


学芸会では常にその他大勢の役でした。

[原題]To Kill a Mockingbird
[製作年]1962[製作国]アメリカ
[日本公開]1963
[監督]ロバート・マリガン
[原作]ハーパー・リー「ものまね鳥を殺すこと」
[製作]アラン・J・パクラ
[音楽]エルマー・バーンスタイン
[上映時間]129

主な登場人物

アティカス・フィンチ(グレゴリー・ペック):
人権派弁護士。黒人青年トムの弁護を行う。弁護士だが生活は質素。

スカウト(メアリー・バダム):
アティカスの娘。男の子のみたいな少女。

その他の登場人物


ジェム(フィリップ・アルフォード):スカウトの兄
ディル(ジョン・メグナ):スカウトの幼馴染の少年
トム・ロビンソン(ブロック・ピータズ):被告の黒人青年
テイラー判事:ポール・フィックス
ミス・ムーディエ:ローズマリー・マーフィ
メイエラ(コリン・ウィルコックス・パクストン):ユーウェルの娘
ステファニ―伯母さん:アリス・ゴーストリー
アーサー(ロバート・ドュバル):ブー、謎の隣人。

あらすじ

1932年アラバマ州の小さな田舎町メイカム。スカウトは男勝りの6歳の少女だった。弁護士の父、アティカスと兄のジェムと三人暮らしに、母は亡くなっており黒人女性のメイドがいた。伯母の家に遊びに来ていたディルと友達になったが、彼の伯母に隣人に引きこもりブーがおり、近づかないよう言われていた。アティカスは判事より黒人青年トムの弁護を依頼されていた。トムはユーウェルの娘メイエラを強姦した罪に問われ、ユーウェルはアティカスに対して白人娘を強姦した黒人を弁護することに対する嫌悪感を露わにした。その夜三人でブーの姿を覗こうと金網の下をくぐり、窓からを見上げると、大きな影が現れ捕まりそうになるがそのままいなくなる。慌てた三人は一目散に逃げ出すがジェムのズボンが金網にひっかかってしまいとりあえずズボンを脱いで逃げることに。ディルはまた来年の夏と言って帰ったしまった。ジェムはズボンをとりに戻ったが銃声が聞こえ、ラドリーが侵入者を威嚇するため撃ったという。ある夜隣のブーの家から変な音が聞こえジェムが出てみると、木のうろの中にメダルが入っているのを見つける。その後スカウトとジェムが木の中をみると、二人にそっくりな石鹸の人形を見つける。夏になり再びデイルが戻り三人で、トムの拘置所の前で寝ずの番をしているアティカスの様子を見に行く。そこに武装した町の男たちが現れ、トムを引き渡せとアティカスに迫る。

どんな映画?

原作者のハーパー・リーは2016年2月19日に亡くなられました。
彼女の幼少期をモデルにしたスカウトは男の子みたいな女の子。
兄のジェムのようにオーバーオール姿で、スカートをはいてもケンカします。
ハロウィンの農作物を紹介するコンテストでの仮装は何とハム!?

他にもっとかわいいのなかったのかな~という衝撃です!

たまに遊びに来るディルはハーパー・リーの幼馴染トルーマン・カポーティをモデルにしています。

人権派弁護士のスカウトの父アティカスは黒人青年トム・ロビンソンを担当していました。
トムがユーウェルの白人娘メイエラを強姦したと言うのです。

1930年代当時のアメリカは大恐慌により白人とて格差が生じていました。黒人差別は南部が特に強く、1988年の「ミシッシピー・バーニング」では1960年代のミシシッピーが舞台ですが、その中で差別は結局のところ貧しい白人たちのはけ口に過ぎないと語られています。妻や娘に対する暴力もありました。アラバマ州はミシシッピ州と隣り合わせていますが、アラバマ州では人種分離が肯定されており、病院、トイレ、レストランなど黒人は白人と同じ場所を利用することができませんでした。そのアラバマで1931年にスコッツボロ事件と呼ばれる、黒人の少年たちが貨物列車内で白人女性二人を強姦したとの理由で死刑を宣告された事件が起こりました。現在では事件自体がでっちあげだったと言われています。
黒人青年トムも法廷で不当な立場に立たされます。
メイエラの父ユーウェルは異常なまでの執拗さでトムとその弁護士であるアティカスに迫るのです。

アティカスの法廷で、陪審員に迫真の弁護演説を行います。映画史に残る熱弁です。
しかし、アティカスの訴えは人種差別の中で届きません。

そして事件が起こってしまうのでした。

個人的には、家族や財産を守るためならぶっ放してOK的なアメリカ人精神が、諸手を上げて絶賛できない理由の一つなのですが、この部分が多くのアメリカ人の共感を得たのも事実だと思われます。アティカスが子供たちを守るため狂犬を撃ち殺すシーンや、ものまね鳥は害がないから殺してはいけないと諭すなどそれらを象徴していると思われます。映画が製作された1960年代のアメリカはアフリカ系アメリカ人の公民権運動が活発になった時代です。1955年にアラバマ州モントゴメリーで黒人女性が公営バスの白人専用席に座り、バスの運転手に席をどくよう強要されたのを拒否しため逮捕される事件が起こりました。この事件を契機に反人種差別運動が高まったと言われています。この映画は、人種の問題、貧困、理想的な父親像などアメリカを知る上で重要な作品の一つだと思われます。

スタッフ・キャスト

この映画は第35回アカデミー賞にて46歳のグレゴリー・ペックに初の主演男優賞が送られ、他に脚色賞、美術賞(白黒部門)を受賞しました。残念ながら同年の作品賞にデヴィッド・リーンの大作「アラビアのロレンス」があったため受賞はならずでした。ですが、2008年のアメリカ映画協会で最も偉大な法廷ドラマ第1位に選出されています。

監督のロバート・マリガンの代表作と言えばこの「アラバマ物語」になりますが、グレゴリー・ペックと製作のアラン・J・パクラとは1968年の西部劇「レッド・ムーン」でもコンビを組んでいます。1970年には筆下しものの一本「おもいでの夏」、1972年のカルト的映画「悪を呼ぶ少年」など幅広く活躍していました。

スカウト役のメアリー・バダムは「サタデー・ナイト・フィーバー」(1977年)の映画監督ジョン・バダムの妹です。1965年には「雨のニューオリンズ」にナタリー・ウッドの妹役で出演していて、ちょっと大きくなった姿を見ることができます。

ディル役のジョン・メグナはヒッチコック劇場にも出ていましたね~顔がかなり特徴的なのですぐにわかります。彼は1981年の「キャノンボール」にも出演していましたが、42歳で亡くなっています。

ブ―役のロバート・ドュバルがこれが映画デビュー作。まだ髪の毛があるのですがすでにおでこが広いです。セリフはないのですがすごい存在感でした。

法廷映画の教科書のような映画です。

まとめ

ハムの仮装で地獄行き

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