とにかく走れ!「大人は判ってくれない」

ドラマ

父親の浮気より
母親の浮気の方が
子供にとってキツイです。

[原題]Les Quatre Cents Coups
The 400 Blows
[製作年]1959[製作国]フランス
[日本公開]1960
[監督・製作・脚本]フランソワ・トリュフォー
[脚本]マルセル・ムーシー
[撮影]アンリ・ドカエ
[音楽]ジャン・コンスタンタン
[上映時間]99

主な登場人物

アントワーヌ・ドワネル(ジャン=ピエール・レオ):
パリに住む12歳の少年。狭く古いアパートに両親と三人暮らし。自分の前にはあからさまに出さないが、母親と父親の仲は悪い。

その他の登場人物

ジルベルト・ドワネル(クレール・モーリエ):アントワーヌの母
ジュリアン・ドワネル(アルベール・レミ):アントワーヌの父
通りの男(ジャン=クロード・ブリアリ)
子犬を探す女性(ジャンヌ・モロー)

あらすじ

パリに暮らすアントワーヌの通う学校は、問題児ばかりのクラス。その中でもアントワーヌは、先生に叱られてばかりいた。アパートに帰っても一人のアントワーヌ。夕食の皿を並べ、そのテーブルで宿題を広げるが帰ってきた母親の小言で集中できない。共働きの両親は遅くならないと帰って来ず、両親の仲も良好とは言えなかった。先生に罰として宿題を出された翌日、友達と学校をサボって映画を観に行ったり、ピンボールしたりと遊びまわってしまう。途中道で母親が別の男とキスしているのを目撃してしまう。友人に明日学校行くのに欠席届が必要だと話すと、懐から古いのがあるとアントワーヌに渡す。その夜、自分で母親のふりをして欠席届を書こうとするが失敗し髪を燃やす。そこに父親が帰ってきて、母親は仕事で遅くなると伝え、父親と料理を作ることになった。父は卵を焼きながらアントワーヌにママは口うるさいがお前のことを愛している。仕事が忙しく家が狭いのがいけないと話す。ベッドに入り寝たふりをしていると、夜遅く母親が帰宅してきた。父と母が言い争っている声が聞こえ、母親は子供を施設にでも入れればいいと言っている。次の日、教師に昨日休んだのは母が死んだからと言ってしまうのだが…

どんな映画?

この映画はフランソワ・トリュフォー監督の長編デビュー作となり、主演のジャン=ピエール・レオが13歳で主演のアントワーヌを演じ、高い評価を受けました。

パリに住む12歳の少年アントワーヌ。
悪ガキばかりの学校は
ほぼ学級崩壊状態。
アントワーヌは特別不良少年というわけではないですが、
ちょっと要領が悪かったり、ちょと学校をさぼったり、
ちょっとその場限りの嘘をついてしまったり、
ちょっと(?)窃盗を働いてみたり…

でも、母親や父親、先生たち大人は容赦なく彼を叱責します。
自分たちはもっと勝手なことばかり言ってるのに!

ある日 友人に誘われて学校をサボって
遊びまわります。
平日に映画観に行ったり
ローターに乗ったり
超楽しそう。

ところが、楽しそうに友達と道を歩いていると
母親が知らない男と道端で
ぶっちゅー
仕事じゃねーのかよ?!
ばっちり目が合いますが、
そのまま目を逸らして通り過ぎます。

その夜、 母親は残業だと遅くまで帰ってこず
帰ってくれば父親と言い合い
思わず母親は
施設にでも入れればと
口走る。

翌日、アントワーヌは学校をサボった言い訳に
「母親が…死にました」
と言ってしまうのですが。

当然母親は死んでおらず、すぐにバレてしまい
やっべ…

この映画は、フランスの映画史上でも高く評価されたのと同時に、当時のフランスの少年犯罪の問題にも言及しています。 1968年の五月革命以前まであった、不完全な大人を育てるというフランスの子育て感。厳しいしつけは元より、矯正的に悪いところを正していくのは当然と考えられていたようです。

主人公アントワーヌ・ドワネルの物語は、その後シリーズ化され、
1962年「アントワーヌとコレット/二十歳の恋」
1968年「夜霧の恋人たち」
1970年「家庭」
1979年「逃げ去る恋」
と計5本の映画が製作されました。すべてアントワーヌはジャン=ピエール・レオが演じています。

このシリーズを観ていると何だか「北の国から」の純を思い出してしまいます。母親の方が浮気してるところも。主人公は特に悪いわけでもなく、特に主張がないにもかかわらず、何かあるとすぐごまかして嘘をついたりするため、さらに事態を悪化させてしまいます。 大人の都合に振り回されながら、どこかしらダメで、どこかしらうまくいかなくて、母親の愛情に飢えている。もがきながらどこかうまくいかない人生。世界中でどこにでもいるのかもしれない子供。 だから、多くの人の共感を得られるのだと思います。 大人になるまで追いかけたアントワーヌ。その後の恋愛遍歴など、女にかなりだらしなくなります。

この映画は監督のフランソワ・トリュフォーの自己を投影した作品だと言われていて、 27歳にして初の長編作品です。トリュフォーは計25本の映画をこの世に送り出しましたが、1984年に52歳で亡くなりました。早すぎますよね… トリュフォー監督は1977年のスティーヴン・スピルバーグの映画「未知との遭遇」で、フランス人UFO学者を演じていました。けっこう小柄な方です。
ヌーヴェルヴァーグの女神ジャンヌ・モローもちょこっと出演しております。

劇中登場する、ローターと言う回転遊具は遠心力で壁に張り付くという、海外では人気のアトラクションです。昔後楽園にもあったようですが、今は日本では見られないようです。

悪びれもせず淡々とした母親の告白と、少年の行き場のない感情に、ラストの浜辺のシーンが非常に印象的です。

スタッフ・キャスト

主演のジャン=ピエール・レオは、1959年に「大人は判ってくれない」で映画デビュー。その後にジャン・コクトー監督の「オルフェの遺言-私に何故と問い給うな-」(1960年)、ジャン=リュック・ゴダール監督の「気狂いピエロ」(1965年)に、映画館にいる観客でチラッと登場。同年のゴダール監督のSF映画「アルファヴィル」(1965年)に助監督を務めています。その後もゴダール監督の「男性・女性」(1966年)、「メイド・イン・USA」(1966年)、「中国女」(1967年)、「ウィークエンド」(1967年)、「たのしい知識」(1967年)、「ゴダールの探偵」(1985年)など多くのゴダール作品に登場。また、1968年にはピエル・パオロ・パゾリーニ監督の「豚小屋」で、ピエール・クレマンティと共にW主演を務めています。トリュフォー映画の常連はもとより、ジャン=リュック・ゴダールベルナルド・ベルトルッチなど数多くの映画に出演しています。

まとめ

勝手な大人達に振り回されて地獄行き

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