孤軍奮闘「真昼の決闘」

ドラマ

気がついたら一人になっていることが よくあります。

[原題]High Noon
[製作年]1952[製作国]アメリカ
[日本公開]1952
[監督]フレッド・ジンネマン
[脚本]カール・フォアマン
[製作]スタンリー・クレイマー
[撮影]フロイド・クロスビー他
[音楽]ディミトリ・ティオムキン
[製作会社]スタンリー・クレイマー・プロダクションズ
[上映時間]85

主な登場人物

ウィル・ケイン(ゲーリー・クーパー): 
エミイと結婚し町を出る際に、ウィルがかつて保安官として、ムショ送りにしたミラーか釈放されて戻ってくると聞かされる。

エミイ・ファウラー(グレース・ケリー):
ウィルの年若い新妻。父と兄を殺されてからクエーカー教徒になり非暴力主義。

その他の登場人物

ヘレン・ラミレス(ケティ・フラド):酒場の女主人、ウィルの元カノ。
ヘンダーソン町長(トーマス・ミッチェル):ウィルの友人だった
ハーヴェイ・ベル(ロイド・ブリッジス):保安官補
マーチン(ロン・チャイニー・ジュニア):元保安官
留置所に入っている酔っぱらい(ジャック・イーラム):ウィルが釈放する。
コルビー(リー・ヴァン・クリーフ):フランクの仲間

あらすじ

元保安官のウィルと若妻エミイの結婚式が行われていた。そこに三人のならず者ピアス、コルビー、ミラーの弟が駅で汽車の到着を待っていた。ウィルは保安官を辞めエミイを連れて町を出るところだった。新任の保安官はまだ決まっていなかったが、バッチを置き出ようとしたところに電報が届けられる。ミラーが釈放され昼間の列車で町に戻ってくると言うのだ。時計を見ると10時40分を回っていた。町の人々は早々にウィルとエミイを馬車に乗せ、町を出させた。大急ぎで町を駆け抜ける馬車に、酒場の女主人ヘレンのホテルの部屋で保安官補のハーヴェイがその様子を見て不振がった。ヘレンはミラーが戻ってくるのではと感じ調べさせた。しかしこのまま背を向けて出ていくことはできないと馬車で戻っていった。訳のわからないエミイは理由を聞くと、5年前ミラーを逮捕し絞首刑にしたという。そのミラーの刑が減刑されこの町に戻ってくれば、必ず町や自分に危害を加えに来るだろうと。そんなの逃げればいいというエミイ、彼女は暴力を否定するクウェーカー教徒だった。逃げてもどこまでも追いかけてくるだろうと言うウィルに、自分は一緒にいることはできないと出ていってしまう。エミイは駅でセントルイス行きの切符を買い列車が来るまでホテルで待つことに。ミラーを死刑台送りにした判事は荷物をまとめさっさと逃げていった。ハーヴェイがウィルに会いに行き自分を保安官に推薦するよう頼む。そしてヘレンとの関係を話、ウィルは少なからず驚く。ハーヴェイは推薦してくれるなら協力するというが取引はしないと告げる。ハーヴェイはヘレンの部屋に戻り鼻で笑われたためウィルとの関係をなじった。ヘレンはかつてフランク・ミラーの情婦だったが、ウィルを愛していたのだ。ミラーの逮捕に協力したヘレンはミラーが戻ることがわかり店を売り町を出ることに決める。ホテルに行ったエミイは受付に少し待てせて欲しいと頼む。ハーブが協力するとやってくるが仲間はまだ集まらなかった。ウィルは5分で戻るとドアに張り紙をして留置所に酔っ払いを残したまま出ていく。ヘレンは部屋にウィーバーを呼び、店を売りたいと頼む決まる。ホテルに来たウィルはエミイと会うが切符を買ったと聞かされ落胆する。ウィルはヘレンの部屋に行き町を出るように告げる。2人は愛し合っていたが1年前に別れていたのだ。別れを言うウィルにヘレンは逃げた方が賢明だと言うがウィルはできないと答え、ヘレンは知ってるわと一言。部屋から出て来たウィルはエミイに見向きもせず出ていってしまう。

どんな映画?

1952年に、アメリカ人小説家ジョン・M・カニンガムの短編小説「ブリキの星(The Tin Star)」を元にフレッド・ジンネンマンが監督、スタンリー・クレイマーが製作し「真昼の決闘」として映画化。この映画で、主演のゲーリー・クーパーがアカデミー賞主演男優賞を獲得しています。

保安官のウィルは保安官事務所で
エミイと結婚し幸せいっぱい。
それもそのはずウィルとエミイは親子ほども歳が離れている若妻。
そんなことはどうでもいいのですが、
このまま保安官を辞め妻と二人
新天地へ向かう予定でした。

バッチを返し出て行こうとした瞬間
いやーな知らせが
かつてウィルが逮捕したミラーが
釈放され正午には町に戻ってくると言うのです。

時計を見ると10時40分

ミラーを含めたならず者の4人がお礼参りにやって来る。
一旦はエミイと二人町を出ようとしたウィルでしたが
町に戻り4人と対決しようするのですが…

エミイにも去られ町の人々からも見放され一人で4人に立ち向かわなくならなくなったウィル。

上映時間85分とほぼリアルタイムで展開する西部劇で、現在では西部劇映画の傑作の一つとされている本作ですが、公開当初批評は厳しいものだったそうです。1951年の製作当時、赤狩りと朝鮮戦争との間で共産主義への風当たりが厳しくなっていました。その影響により脚本家のカール・フォアマンへのブラックリスト入りアメリカで活動することができなくなってしましました。

たった一人だけになっても、自分が正しいと思うことを貫く難しさを痛感します。

スタッフ・キャスト

監督はウィーン出身でハリウッドで活躍した監督フレッド・ジンネマン。1942年に「Kid Glove Killer」で長編監督デビュー。同年にエドワード・アーノルドが盲目の探偵を演じた「夜の目(Eyes in the Night )」を監督。その後スペンサー・トレイシーが主演したナチ映画「第七の十字架」(1944年)、モンゴメリー・クリフトが出演した「山河遥かなり」(1948年)、同年ヴァン・ヘフリン主演、ロバート・ライアンが退役軍人を演じたフィルム・ノワール「暴力行為」、マーロン・ブランドがスクリーンデビューし負傷した退役軍人を描いた骨太ドラマ「男たち」(1950年)などを監督。1953年に真珠湾攻撃を描いた「地上より永遠に」で、興行的に大成功を収めアカデミー賞作品賞、監督賞など8部門獲得しています。エヴァ・マリー・セイントが帰還兵の妻を演じた「夜を逃れて」(1957年)、オードリー・ヘプバーンが実在の尼僧を演じた「尼僧物語」(1959年)、グレゴリー・ペックが主演した「日曜日には鼠を殺せ」(1964年)、トマス・モアを題材にした歴史映画「わが生命つきるとも」(1966年)を監督、この映画作の一つとされている本作ですが、公開当初批評は厳しいものだったそうです。1951年の製作当時、赤狩りと朝鮮戦争との間で共産主義への風当たりが厳しくなっていました。その影響により脚本家のカール・フォアマンへのブラックリスト入りアメリカで活動することができなくなってしましました。はアカデミー賞作品賞を受賞しています。エドワード・フォックスが冷徹な殺し屋を演じた「ジャッカルの日」(1973年)、女流作家リリアン・ヘルマンとジュリアとの友情を描いた「ジュリア」(1977年)では、ジュリアンを演じたヴァネッサ・レッドグレイヴにアカデミー賞助演女優賞をもたらしました。「真昼の決闘」のウィル・ケインや、「尼僧物語」のシスター・ルーク、「わが命つきるとも」のトマス・モアのように自らの信念を貫き通す人間ドラマを描くのに卓越した才能をお持ちの監督さんでした。

製作は映画監督としてご本人も巨匠のスタンリー・クレイマー。1948年に地震の制作会社を設立し、プロデューサーとして、マーク・ロブソン監督、カール・フォアマン脚本、カーク・ダグラス主演のボクシング・ノワールの「チャンピオン」(1949年)を製作。フレッド・ジンネマン監督の「男たち」(1950年)、ラズロ・ベネディク監督、アーサー・ミラー原作の舞台劇を映画化した「セールスマンの死」(1951年)、エドワード・ドミリク監督、ハンフリー・ボガートが暴走上官演じた「ケイン号の叛乱」(1954年)など後年に残る名作を製作。その後1955年に「見知らぬ人でなく」で監督デビュー。1958年には今年の1月にお亡くなりになられたシドニー・ポワチエを一躍スターに押し上げた「手錠のままの脱獄」を監督・製作。グレゴリー・ペック主演のSFディストピア映画「渚にて」(1959年)、戦犯裁判を描きスペンサー・トレイシーなど豪華キャストが出演した「ニュールンベルグ裁判」(1961年)、ヴィヴィアン・リーが可哀想な年増を演じグランドホテル形式の群像劇「愚か者の船」(1965年)、スペンダー・トレイシー、シドニー・ポワチエが出演した傑作人間ドラマ「招かれざる客」(1967年)など監督としても名作を残されています。

脚本はシカゴ生まれの脚本家カール・フォアマン。1949年にスタンリー・クレイマーがプロデュースした「チャンピオン」の脚本を担当。この映画でアカデミー賞脚本賞にノミネートされます。1952年に「真昼の決闘」の脚本を担当している最中、赤狩りの影響によりハリウッドでブラックリストに載せられイギリスに渡り、デヴィッド・リーン監督の大作「戦場にかける橋」(1957年)の脚本に参加。残念ながら公開当時はノンクレジットとなっていましたが、フォアマンの死後アカデミー賞脚本賞が贈られています。

撮影のフロイド・クロスビーは「アッシャー家の惨劇」(1960年) 、「恐怖の振子」(1961年)、「姦婦の生き埋葬」(1962年)、「黒猫の怨霊」(1962年)、「X線の眼を持つ男」(1963年)、「忍者と悪女」(1963年)などロジャー・コーマン監督の作品を多く手がけています。

酒場の女主人役はメキシコ出身の女優ケティ・フラド。「真昼の決闘」(1952年)の同年、メキシコでルイス・ブニュエル監督の「乱暴者」(1952年)に出演、その後エドワード・ドミトリク監督の「折れた槍」(1954年)や、メキシコ系の人種問題を扱った「アメリカの戦慄」(1955年)、「空中ぶらんこ」(1956年)、「片目のジャック」(1961年)、「バラバ」(1962年)、「ビリー・ザ・キッド/21才の生涯」(1973年)などに出演されています。

町長役にベテラン俳優のトーマス・ミッチェル。「暗い鏡」(1946年)ではスティーブンソン警部補を演じ、同年の「素晴らしき哉、人生!」では主人公の気のいいが役たたずの叔父を演じています。 元保安官役として「狼男」(1941年)や、「ミイラの墓場」(1942年)に怪物として出演しているロン・チャイニー・ジュニアが人間を演じています。 また、数々の西部劇で活躍したリー・ヴァン・クリーフはこの映画が初出演作となります。

まとめ

孤立無縁で地獄行き

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