ミス・フロイは行方不明「バルカン超特急」

サスペンス

都市伝説は信じる方です。

[原題]The Lady Vanishes
[製作年]1938[製作国]イギリス
[日本公開]1976
[監督]アルフレッド・ヒッチコック
[原作]エセル・リナ・ホワイト
[脚本]シドニー・ギリアット/フランク・ラウンダー
[音楽]ルイス・レヴィ
[上映時間]97

主な登場人物

アイリス・ヘンダーソン(マーガレット・ロックウッド):
イギリス人旅行者。友達に結婚を報告するためヨーロッパの小国バンドリカを訪れ、宿でミス・フロイと出会う。

ギルバート(マイケル・レッドグレイヴ):
怪しいヒゲの男。民族舞踊研究家。いなくなったミス・フロイを成り行きでアイリスと一緒に探すことに。

ミス・フロイ(メイ・ウィッティ):
アイリスが宿泊先で出会った年配の婦人。元家庭教師、だがその正体は…

チャータース(ベイジル・ラドフォード):
ヒゲの英国人、無類のクリケット好き。
カルディコット(ノートン・ウェイン):
チビの英国人。

その他の登場人物

ハーツ(ポール・ルーカス):医師
エリック(セシル・パーカー): 弁護士、不倫旅行中
マーガレット(リンデン・トラヴァース): エリックと不倫、夫持ち
アテナ男爵夫人(メアリー・クレア): 窓際に座っていた夫人
尼僧(ハーツ医師達の協力者):キャサリン・トレイシー

あらすじ

ヨーロッパの小国バンドリカ国に結婚報告の為、友人二人に会いに来ていたアイリスは、駅近くのホテルに宿泊し豪勢な旅行を楽しんでいた。一方、雪崩のため列車が一日遅れてしまいアイリスと同じホテルに足止めされたイギリス人旅行者のチャータースとカルディコットもホテルに留まることになったが部屋がなくメイド部屋になると言う。しぶしぶ承諾し部屋に行くがメイドが着替え始め気まずいことに。レストランに行けば料理が無いと言われ納得がいかない。
その時前に座ったいた婦人がチーズを分けてくれる。彼女はこの国に6年いて家庭教師を音楽も教えていたという。部屋で友人とワインやシャンパンで騒いだアイリスは帰国したら貴族と結婚すると言う。しかし友人達はあまりお祝いモードではなかったし彼女自身幸せいっぱいと言う感じではなかった。友人達が帰り部屋に戻ろうとしたアイリスは隣室の婦人に会釈して部屋に戻った。しかし上の階でドタドタと騒ぐ音が聞こえ、婦人も窓を開けて外で歌っている(ファド風)声が聞こえないと出てきた。アイリスは電話で支配人に苦情を言い、上のクラリネットを弾いていたヒゲの男は民族舞踊の研究だと言い取り合わないが、アイリスは支配人に金を掴ませ男を追い出す。アイリスが眠りについていると突然男がやって来て勝手に部屋を使い始めた。ムカついたが支配人に電話してしぶしぶ男を部屋に戻した。婦人も道にいる流しの歌に聞き入ってコインを投げた。だが道にいた流しの後ろからぬうっと手の影が写り流しの首を絞めた。翌日それぞれ列車に乗り込もうとした際、アイリスは婦人の落し物に気づき、彼女を追いかけ隣に行くが何者かに落とされた植木鉢に当たって頭を打ってしまう。友人と別れを告げ列車に乗り込んだアイリスは、すっかれ乗り物酔いをしてしまい向かいに座った婦人も心配し一緒に食堂車に行った。途中間違って開けてしまった客室にはエリックとマーガレットの不倫カップルが乗っており、わけあり風だった。婦人は給仕にこのお茶を入れてとメキシコ産の茶を差し出した。お茶を飲みお互い自己紹介し合い、婦人はフロイと名乗ったが、列車の音でよく聞こえ無いと窓にスペルを書いてくれた。
チャータースとカルディコットもお茶を飲みながらクリケット談義をしていたが婦人に砂糖を取ってくれと頼まれ渡す。座席に戻ると親子とアイリスの向かい側の窓際には上品な夫人が座っていた。しばらく眠っていたアイリスが目を覚ますと向かいに座っていた婦人の姿が見えなくなっていた。周りの人に婦人はどこに?と尋ねると最初からあなた一人だったと言われてしまう。そんなはずは無いと食堂車に行き尋ねるがやはり一人だったと言われる。列車の中を探し始めたアイリスは三等車に入って行くと嫌なヒゲの男にまた会ってしまう。

どんな映画?

ヒッチコック監督の初期のヒット作
ですが、この映画が80年以上も前に製作されたというのは驚きです。

結婚が決まった主人公のアイリスは
友達への報告旅行のため、ヨーロッパの
小国バンドリカを訪れます。ん?バンドリカってどこ?と
思うと架空の国だったりします。

アイリスはその国の小さなホテルでミス・フロイという老婦人と出会います。
ついでにいけすかないヒゲの男と出会い
面白くありません。

帰国するため列車に乗り込んだアイリスでしたが、気づくと隣に座っていたミス・フロイが姿を消していました。

列車は発車していたため途中で降りるなんて考えられない
成り行きでいけすかないヒゲの男といっしょにミス・フロイを探すアイリス。

しかしミス・アイリスと話たと思われる人物たちが口を揃えて言うのです

「そんな人はいませんでしたよ」

ミス・フロイはどこへ消えたのか?
そもそも ミス・フロイは存在したのか?

アイリスに「そもそもあなたの幻覚なのでは?」と述べるハーツ医師

この映画とよく類似しているとされている映画が1965年のオットー・プレミンジャー監督の「バニー・レークは行方不明」です。こちらの映画は若い母親が子供を幼稚園に預け、迎えに行くとそんな娘は預かっていませんよと言われてしまうと言うお話。この映画の原作にはとある都市伝説が紹介されているそう。
その都市伝説が「パリ万博で消えた貴婦人」というもの。こちらは1989年のパリ万博で旅行に来ていた親娘がホテルに宿泊中、母親の体調が悪くなり医者を探しに出ていた娘がホテルに戻ると「あなた一人でチェックインしましたよ」と言われてしまうというもの。この話に事実だという確証がなく、都市伝説であるとされています。
1893年のアメリカで開催されたシカゴ万博に、旅行に来ていた美人で裕福な貴婦人があるホテルに宿泊し、何人も忽然と姿を消すというもの。実は、ホテル内に仕掛けがあり殺害されていたという「殺人ホテル」だったのですが、そのオーナーであるH・H・ホームズはアメリカ史上空前の大量殺人鬼とされています。こちらもやはり「殺人ホテル」部分は現在では、後年に面白くおかしく脚色された都市伝説とされています。

旅行先や見知らぬ土地で誰かが
行方不明になることほど不安になるものはありません。
それが、そもそも探している人物なんか
最初から存在しなかったのではと言われてしまうと自分自身への不安感に繋がります。
ただ「バルカン超特急」における主人公のアイリスにはミス・フロイは存在したという確実な自信があり、それを信じてくれる唯一の存在として登場する、ヒゲの男ギルバートとの絆が生まれてきます。
密室ミステリーと恋愛、スパイ、不倫、戦争とやや詰め込み過ぎのきらいはありますがエンターテイメントとして最高の一本です♪

スタッフ・キャスト

監督のアルフレッド・ヒッチコックがイギリスで作成し、ヒットした最後に近い作品です。原作のエセル・リナ・ホワイトはイギリスの推理作家。1946年にロバート・シオドマク監督で映画化された「らせん階段」の原作者としても有名です。

ギルバートを演じたマイケル・レッドグレイヴはイギリス人俳優。「裸足のイサドラ」(1968年)などで知られるヴァネッサ・レッドグレイヴの父親でナイトの称号も得ています。1945年に出演したオムニパスホラー「夢の中の恐怖」に出演。こちらの映画にはチャータースとカルディコットのコンビも出演しています。

典型的なイギリス人としてクリケットとお茶、天気の心配しかしないコンビのチャータースとカルディコットは大変な人気になり、その後様々な映画に登場し、
キャロル・リードの「ミュンヘンへの夜行列車」(1940)にも登場しています。
ミュンヘンへの夜行列車」はヒロインのマーガレット・ロックウッドが同じような役で出演しております。

ミス・フロイのメイ・ウィッティは「断崖」の母親役、「ガス燈」のスウェイツ夫人などの脇で活躍されていいます。

1979年に「タクシードライバー」(1976年)にも出演していたシビル・シェパード主演で「レディ・バニッシュ 暗号を歌う女」としてリメイクされています。

んで 国家機密の暗号って結局何だったの?

ヒッチ先生登場シーン

エンディング近く、ヴィクトリア駅でタバコをふかしながら通りすぎる。

まとめ


列車の中で地獄行き

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