妻を殺せ!「ダイヤルMを廻せ!」

サスペンス

彼氏に振られて腹いせに結婚って
美人にはよくあることなんですかね~

[原題]Dial M for Murder
[製作年]1954[製作国]アメリカ
[日本公開]1954
[監督・製作]アルフレッド・ヒッチコック
[原作・脚本]フレデリック・ノット
[音楽]ディミトリ・ティオムキン
[上映時間]105

主な登場人物

マーゴ・ウェンディス(グレース・ケリー):
セレブな資産家、トニーの妻。作家の元カレマークとよりを戻していた。

トニー・ウェンディス(レイ・ミランド):
マーゴの夫。元テニスプレイヤー。妻を殺害しようと思っている。

その他の登場人物

マーク・ホリデイ(ロバート・カミングス):マーゴの愛人。犯罪小説家。
ハバード警視(ジョン・ウィリアムズ):
C・A・スワン(アンソニー・ドーソン):レズゲイト大尉を名乗る男。
パーソン(パトリック・アレン):刑事

あらすじ

朝のキスを交わす妻のマーゴとその夫トニーだったが、マーゴは新聞記事にクイーン・メリー号が帰港しアメリカの推理作家マーク・ホリデイが乗っているという記事を目にする。すぐにマークを自宅に招き入れ、彼と熱いキスをするマーゴ。そもそも2人は恋人同士だったがマークがマーゴに別れを切り出し落ち込んでいるところに、プロテニスプレイヤーだったトニーがテニスを辞め仕事に就くとマーゴに求婚してきたのだ。しかし、今では夫婦仲もすっかり冷めきってしまっていた。マークとの事はトニーにはバレていないと思っているマーゴだが、困った状態に陥っていた。唯一とってあったマークの手紙が入っていたバッグを駅で盗まれていたのだ。二週間後バッグは出てきたが手紙はなくなっており、その手紙をネタに50ポンドを要求されていたのだ。トニーが帰宅し、マーゴがマークを紹介する。3人で出かける予定にしていたが、トニーは仕事の都合で急に行けなくなったと2人だけで行かせた。そのすぐ後にトニーはレズゲイト大尉に電話をかけ車の商談のためと彼を自宅に招くが、レズゲイトは偽名で大学の先輩スワンがやって来た。昔話をしながら、今のトニーの状況について話し始める。トニーはテニスを辞め経済面は資産家の妻に頼り切っていた。妻のマークへの恋心に気づき、手紙を盗んで脅迫文を送ったのもトニーだった。すっかり贅沢が見についてしまっているトニーは妻と離婚するよりもマーゴを殺して遺産を手に入れようと考えたのだ。そして元々素行が悪かった学生時代の先輩を見かけ、金に困っていることを突き止めたトニーは彼に妻の殺害を依頼するのだった。

どんな映画?

この映画はヒッチコック監督の映画作品の中で代表するヒロインの一人グレース・ケリーが初登場した記念すべき作品です。

脚本も手がけているフレデリック・ノットの舞台劇が原作ですが、フレデリック・ノットは他にオードリー・ヘプバーン主演で映画化された「暗くなるまで待って」(1967年)の原作者としてもよく知られています。

資産家セレブ、おまけに美人の若妻マーゴ。
元プロテニスプレイヤーのトニーと結婚しておりますがその実関係は
冷め切っていました。

ほんでもって元彼のマーク登場で焼け木杭。
そんな中、マーゴはマークの手紙を入れたバッグを盗まれ、手紙をネタに脅迫されていました。
それをマークに打ち明けますが、当然トニーにはホントのことが言えません。

トニーが戻りマーゴとマークを二人で出かけさせ、トニーは電話をかけます。

その後訪れた怪しい男は
レズゲイト大尉と名乗りますが
当然偽名。
実は大学の先輩だとわかったトニーは元々彼の素行が悪いことを知っており、最近の状況を調査。
マーゴとマークの仲を知っていたトニーは半ば強制的にレズゲイトに妻の殺害を依頼するのですが…

マーゴに襲いかかるレズゲイト(仮)

1952年から1954年にかけて流行った3D映画ですが、この映画も元々3D映画として制作されていましたが、エラーが発生しやすく当時のほとんどの劇場で通常の2Dで上映されたそうです。個人的には初見はテレビ放映だったので特に3Dはどうでもいい印象です。

本作は1998年にマイケル・ダグラス主演の「ダイヤルM」でリメイクされております。

スタッフ・キャスト

1950年代に黄金期を迎えたヒッチコック監督。1950年に「舞台恐怖症」、翌年に「見知らぬ乗客」、1953年にモンゴメリー・クリフト主演で「私は告白する」、1954年には「ダイヤルMを廻せ!」「裏窓」、1955年ケーリー・グラント主演「泥棒成金」、「ハリーの災難」、1956年ジェームズ・ステュアート主演「知りすぎていた男」、ヘンリー・フォンダ主演で「間違えられた男」、1958年「まめい」、1959年「北北西に進路を取れ」とヒッチコックを代表する作品を立て続けに発表しました。

狙われる妻を演じた主演のグレース・ケリーは1952年にフレッド・ジンネマン監督の傑作西部劇「真昼の決闘」で、ゲーリー・クーパーの若妻役に抜擢されます。映画自体は高い評価を受け、主演のゲーリー・クーパーにアカデミー賞主演男優賞をもたらしましたが、グレース・ケリーの役どころがイマイチ中途半端で評価を得られず、ただの美人新妻に終わってしまいましたが、そこに目をつけたのがヒッチ先生。清楚系クールビューティーの顔立ちでつんとすました中に奥に秘めたパッションを感じたヒッチ先生。この「ダイヤルMを廻せ!」の役のように貞淑な妻のふりして実は浮気しているとか、「裏窓」(1954年)でのモデルでセレブながら夜はぐいぐい迫ってくるような役とか、昼は清楚でありながら夜はエロいと表と裏の顔を使い分けるヒッチ先生の理想形を体現。1954年はグレース・ケリーにとって当たり年でビング・クロスビーと共演した「喝采」でかつてスターだったが今は酒浸りの夫と演出家の間で揺れる妻を演じ、アカデミー賞主演女優賞を獲得しました。真のエロは貞淑さの中にあるのかも。

夫のトニーを演じたのはベテラン・オスカー俳優のレイ・ミランド。イギリス出身でハリウッドで活躍。30代の1945年に主演した「失われた週末」でアカデミー賞主演男優賞を獲得しています。40代後半に差し掛かって出演したこちらの映画はレイ・ミランドの代表作の一つになりました。1960年代には級映画を主力とするAIPで、ロジャー・コーマン監督のエドガー・アラン・ポー原作「早すぎた埋葬」を元にしたゴシックホラー「姦婦の生き埋葬」(1962年)、とんでもSFホラー「X線の目を持つ男」(1963年)に出演。1962年には自ら監督主演したSF映画「性本能と原爆戦」を手がけマルチに活躍されていました。

マーゴの彼氏マークを演じたのはアメリカ人俳優のロバート・カミングス。1938年のフリッツ・ラング監督の犯罪娯楽映画「真人間」に出演。翌年に子役スターから転身したディアナ・タービン主演の「庭の千草」で相手役に抜擢され注目され、1942年にヒッチコック監督の「逃走迷路」に主演しています。

鬚のハバード警視を演じたジョン・ウィリアムズはイギリス出身の俳優。ヒッチコック作品ではノンクレジットでしたが「パラダイン夫人の恋」(1947年)に出演。また1954年のビリー・ワイルダー監督の「麗しのサブリナ」ではオードリー・ヘプバーンの父親役で出演しております。ブロードウェイの舞台において「ダイヤルMを廻せ!」ですでにハバード警視を演じており、映画版でも同じ役を獲得しました。また翌年の「泥棒成金」でも出演しています。またテレビ版のヒッチコック劇場にたびたび登場しており典型的なイギリス紳士然とした風貌がヒッチ先生のお気に入りだったようです。

ヒッチ先生登場シーン

トニーの出身大学の同窓会の出席者、記念写真の中。

まとめ

返り討ちで地獄行き

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