美人で金持ちで性格悪いって
実は最強じゃないですか？
[原題]Death on the Nile
[製作年]1978[製作国]イギリス
[日本公開]1978
[監督]ジョン・ギラーミン
[脚本]アンソニー・シェーファー
[原作]アガサ・クリスティ
｢ナイルに死す｣
[衣装デザイン]アンソニー・パウエル
[撮影]ジャック・カーディフ
[音楽]ニーノ・ロータ
[上映時間]140
主な登場人物
エルキュール・ポワロ(ピーター・ユスティノフ):
私立探偵。バカンスでエジプトにやって来る。フランス人じゃなくてベルギー人。
リネット・リッジウェイ・ドイル(ロイス・チャイルズ):
女富豪。美人で勝ち気、自分の意見を通すため敵が多い。
ジャクリーン・ド・ベルフォール(ミア・ファロー):
ジャッキー、リネットの友人。サイモンの元婚約者。サイモンを奪われた恨みからストーカー化。
その他の登場人物
ルイーズ・ブルジェ(ジェーン・バーキン):リネットのメイド。エジブト人の既婚者と交際。
サイモン・ドイル(サイモン・マッコーキンデール):リネットの夫。貧しい青年だったが逆玉に乗る。
アンドリュー・ペニントン(ジョージ・ケネディ):リネットの伯父。不正経理の疑惑がある。
マリー・ヴァン・スカイラー(べティ・デイヴィス): 富豪の老婦人。真珠に目がない。
バウァーズ(マギー・スミス):スカイラーの付き添いで看護師。リネットの父親に破産させられた過去がある。
サロメ・オッタボーン(アンジェラ・ランズベリー):女流作家。リネットと思しき人物を小説に登場させ、リネットから訴えられていた。
ロザリー・オッタボーン(オリヴィア・ハッセー):サロメの娘。母親を心配している。
ジョニー・レイス大佐(デヴィッド・ニーヴン):ポワロの友人
ジェームズ・ファーガソン(ジョン・フィンチ):金持ちに批判的な社会主義者
ベスナー医師(ジャック・ウォーデン):チューリッヒで診療所を開業しているが、リネットの友人にしたアルマジロの尿療法に対して、やぶ医者だとリネットに悪評を流されている。
あらすじ
莫大な資産を相続したリネットは、多くの使用人に出迎えられてウォードホールにやって来た。すでに親友のジャッキーが来ており、二人は再会を喜び合った。しかしすぐにジャッキーは、リネットに頼み事を始めた。ジャッキーはサイモン・ドイルという男と婚約したが、彼は現在無職の為、このウォードホールの管理を任せてほしいというのだ。リネットはあまり乗り気ではなかったがジャッキーの勢いに押されて、サイモンと会ってみることに。すぐさまサイモンを連れてきたジャッキー。しかしその後、サイモンと結婚したのはリネットだった。二人はハネムーンにエジプトを選び、1ヶ月滞在する予定だった。そこに何故かジャッキーが突如現れ、二人の後を追っているようだった。ちょうどそこに、バカンスの為ナイル川クルーズを楽しみにしてやってきたのが名探偵ポワロ。ポワロはホールで旧知の仲のレイス大佐と会い、そこには新婚のリネット夫妻、資本主義の退廃を見にきたという社会主義者のファーガソン、スイスの開業医ベスナー、富豪の老婦人スカイラーとその付き添い人のバウァーズなどがいた。その後リネット夫妻の元にリネットの財産を狙う伯父のペニントンが訪れ、ポワロの元には彼のファンだという女流作家のオッタボーンと娘のロザリーが挨拶に来た。オッタボーンは次の小説の取材のために来たという。彼女は終始ベルギー人のポワロをフランス人だと勘違いしているようだった。皆がダンスに興じる中、現れたジャッキーにリネットは不快感を露わにし、夫と共に立ち去った。二人に激しい恨みを持つジャッキー。ポワロはジャッキーに忠告するが、ジャッキーは小さな拳銃をバックに忍ばせリネットの殺害を夢想していた。そんな中、一同がカルナック号に乗り込みナイル川クルーズが始まった。リネットとサイモンは、ジャッキーから離れられたと安堵していた。
どんな映画？
1937年に発表されたアガサ・クリスティ原作の小説「ナイルに死す」を、イギリス出身の映画監督ジョン・ギラーミンが監督。オールスターキャストで当時のベテラン女優、人気女優が登場しています。
父親の巨万の富を受け継いだ娘
リネットは美人で金持ち
でもちょっとやな奴
そんな中親友のジャッキーが訪れ
結婚するので彼氏を雇って欲しいと頼みます。
早速彼氏のサイモンをリネットに紹介するジャッキー
結婚式で幸せそうな二人
花婿のサイモンと花嫁はジャッキー
じゃなくてリネット！？
逆玉に乗ったサイモンとリネットは
ラブラブでエジプトに新婚旅行
ピラミッドの前でもイチャイチャ
そこにひょっこり現れたのは
チャッキー じゃなくてジャッキー
どうやら二人を追いかけてきた模様
そこにバカンス中のポワロ
ポワロはジャッキーに
二人のことは忘れるべきと忠告
しかしジャッキーは小さな銃を取り出し
あの女をぶち殺してやる！
と聞く耳を持ちません。
ポワロは新婚夫婦にジャッキーから離れるため
ナイル川クルーズツアーを勧めます。
早速クルーズ船に乗り込んだリネット夫妻。
そこにはポワロと友人のレイス大佐
リネットのメイドのルイーズ
作家のオッタボーンとその娘
富豪の老婦人スカイラーと
お付きのバウァーズ
リネットの伯父ペニントン
金持ちに批判的な若者ファーガソン
スイスの医師ベスナー
自ら進んで敵を作るリネット
実はクルーズ船に乗っていた人々は皆
大小それぞれリネットに恨みを持つ人物ばかりで…
ピラミッドを眺めながらイチャイチャしている二人の前に
唐突に現れるジャッキー
シドニー・ルメット監督の映画「オリエント急行殺人事件」(1974年)の大ヒットを受けて、再びアガサ・クリスティ原作ポワロ主演の映画が企画されましたが、前回ポワロを演じたアルバート・フィニーがエジプトでの撮影がちょっとということで、ピーター・ユスティノフが演じることとなりました。ユスティノフが初めてポワロを演じた作品となったのですが、「オリエント急行殺人事件」ほどのヒットとはなりませんでした。ですが、ピーター・ユスティノフのポワロは概ね高評価で、その後「地中海殺人事件」(1982年)、「死海殺人事件」(1988年)など5作品でポワロを演じています。
日本での公開時、ニーノ・ロータのしんみりしたエンディングが、サンディーが歌う「ミステリー・ナイル」に差し替えられてしまいました。ですが日本では受け入れられ、この曲はヒットし映画もヒットしています。
ミア・ファローのオドオドしながら図々しい演技と、昨年お亡くなりになったアンジェラ・ランズベリーの大仰な演技が見所です。
また、51回アカデミー賞でアンソニー・パウエルが最優秀衣装デザイン賞を受賞しています。女性たちのファッションも見所の一つです。
2022年にケネス・プラナー監督・主演でリメイクされています。
スタッフ・キャスト
監督のジョン・ギラーミンはイギリスの映画監督。1959年にゴードン・スコットがターザンを演じた「ターザンの決闘」を監督・脚本、1962年にジョック・マホニーがターザンを演じた「ターザンと猛獣の怒り」を監督・脚本しています。1965年にフランス・アメリカ合作で「かもめの城」を監督。この映画は、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「シベールの日曜日」(1962年)で出演した子役パトリシア・ゴッジがちょと成長した姿で出演していることで知られています。70年代に大ヒットオールスターパニック映画「タワーリング・インフェルノ」(1974年)を監督。また、1976年に「キングコング」の現代版リメイクしこちらも大ヒットしました。このヒットを受けて続編として「キングコング2」(1986年)が同監督で製作されましたが、こちらは失敗作とされています。1984年に女版ターザン「シーナ」を監督。こちらの映画は、タニア・ロバーツがシーナを演じ一部のファンから指示されています。
美人で大富豪でやな女リネットを演じたのはアメリカ合衆国の女優ロイス・チャイルズ。彼女自身モノホンのお嬢で、テキサスの石油王の姪という富豪一家の出。1973年にシドニー・ポラック監督の大ヒットメロドラマ「追憶」で、ロバート・レッドフォードの彼女を演じ、翌年の1974年にジャック・クレイトン監督の「華麗なるギャツビー」では、ヒロインの金持ちでちょっと頭悪そうなデイジーの友人で、ゴルファーのジョーダンを演じています。ご本人はデイジーを演じたかったそうですが、ジョーダンの方がはまっていたように思います。この時デイジーを演じたのがミア・ファローでした。また、マイケル・クライトン監督の「コーマ」(1978年)では、主人公のジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドの主婦の友人を演じています。スタイル抜群で知的な美貌の持ち主ですが、それまで美人な友人役に留まっていましたが、「ナイル殺人事件」の出演後、「007 ムーンレイカー」(1979年)ではヒロインを射止め歴代ボンドガールの中でも美貌で知られています。
オールスターキャストですが、この映画はババアじゃなくて、ベテラン大女優が出ていることも特徴的です。富豪の老婦人役にアメリカの大女優べティ・デイヴィス。その付き人に「ハリー・ポッター」シリーズやテレビドラマ「ダウントン・アビー」シリーズで知られるイギリスの女優マギー・スミス。
女流作家役に、「ジェシカおばさんの事件簿」で知られ、2022年の10月に96歳でお亡くなりになった、イギリスの女優アンジェラ・ランズベリーなどご出演されています。
また、メイドを演じたイングランド出身の女優ジェーン・バーキン。
10代の頃に出演した1968年の「ロミオとジュリエット」で、人気女優となったオリビア・ハッセーなどが出演しています。
まとめ
愛とお金で地獄行き
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