必殺電球蹴り「かわいい女」

フィルムノワール

取って付けたような役なのに
妙に印象的な人物こそスターなんですヨネ

[原題]Marlowe
[製作年]1969 [製作国]アメリカ
[日本公開]1970
[監督]ポール・ボガート
[製作]ガブリエル・カツカ/シドニー・ベッカーマン
[製作・脚本]スターリング・シリファント
[原作]レイモンド・チャンドラー
[撮影]ウィリアム・H・ダニエルズ
[音楽]ピーター・マッツ
[上映時間]96

主な登場人物

フィリップ・マーロウ(ジェームズ・ガーナー):
私立探偵。田舎娘から兄を探して欲しいと依頼を受ける。しかし行くとこ行くとこで死体がゴロゴロ。

ドロレス・ゴンザレス(リタ・モレノ):
ストリップダンサー、メイヴィスの友人ということになっているが…

その他の登場人物

メイヴィス・ウォルド(ゲイル・ハニカット):人気女優、ギャングの女
クリスティ・フレンチ(キャロル・オコナー):警部。私立探偵を毛嫌いしている。
ウィンスロウ・ウォン(ブルース・リー):殺し屋
グラント・W・ヒックス(ジャッキー・クーガン):カツラの男
オーファメイ・クエスト(シャロン・ファレル):兄を探して欲しいと依頼する
オーリン・クエスト(ロジャー・ニューマン):オーファメイ兄

あらすじ

若者がたむろするコテージを訪れた私立探偵のフィリップ・マーロウは寝ていた管理人を叩き起こし、オーリン・クエストの写真を見せる。管理人から鍵を奪いオーリンの部屋に入るとハゲたおっさんがおり、慌ててカツラをかぶる。男はヒックスと言い、オーリンはもういないと述べ出ていく。再び管理人室に戻り宿泊名簿をみるとすでに破られており、管理人はアイスピックで刺され殺害されていた。事務所に戻ると依頼人の田舎娘オーファメイが兄を探してくれたのかと詰め寄る。ヤバイ案件だと思ったマーロウは彼女を無視して金を返し家に帰れと促す。ヒックスのフリをしてドクター・ラガーヴィに電話をかける。すぐにヒックスから電話がかかりホテルにいるので預かって欲しいものがあると言ってくる。指定されたホテルの部屋に誰がいるのかと受付に聞くと探偵のオーリーに聞けと言われる。その後ヒックスの部屋に入るとヒックスはやはりアイスピックで刺されて殺害されていた。するとマーロウの後ろで黒い帽子にメガネ口元を隠した女が銃口を向け、マーロウを殴りつけ逃げていった。探偵のオーリーは車で逃げる女のナンバーと書き留めていた。マーロウはヒックスの遺体からカツラをとりカツラの中にあったペンソンカメラ店の引換券をを剥がし自分の事務所に郵便で送った。警察の現場検証の中、ギャングのスティーヴ・クレーヴが絡んでいると睨んだマーロウはヒックスの金をくすねたオーリーから女のナンバーを聞き取り、ジュリーに調べるように依頼。その後届いた手紙からカメラ店にヒックスのフリをして電話する。同時にジュリーから女は女優のメイヴィス・ウォルトだと電話が入る。マーロウはカメラ店にヒックスが依頼していたものを受け取りにいくと、中身は男女の隠し撮り写真だった。それをまた事務所に送らせその足でメイヴィスのペントハウスに向かった。彼女の最上階の部屋に入ると出迎えたのは、彼女の友人だというドロレスだった。

どんな映画?

この映画は、レイモンド・チャンドラーが生み出したハードボイルド私立探偵フィリップ・マーロウシリーズ第5作目に当たります。
設定を現代(1970年代)に置き換えて、フィリップ・マーロウ役にジェームズ・ガーナーをキャスティング。まだブレイク前のブルース・リーが殺し屋として登場していることでもよく知られている映画です。

私立探偵のフィリップ・マーロウは
とある娘オーファメイから
家族と音信不通になっている兄を
探してほしいと依頼を受けて
彼が住む部屋を訪ねます。

するとそこには写真とは全く違うおっさんが
びっくりしてとっさにカツラを被るおっさん
あんた誰やねん?

男はヒックスと名乗り探している男はもう
いないと言い荷物を持って出ていってしまいます。
管理人室に戻ると管理人が首をアイスピックで
刺されて死んでいるではありませんか。

これはまずい案件だと思ったマーロウ。

事務所に戻るとオーファメイが待ち受けており
兄を探してくれとしつこい。
彼女をあしらって独自に捜査を始めるマーロウ。
そこにヒックスから預かって欲しいものがあると
電話がかかってきます。

指定された場所に行くと
やっぱりアイスピックで刺されたヒックスの遺体が!
そこに突如顔を隠した女と思しき人物が
銃を突きつけてくるのですが…

ストリップ劇場のフィリップ・マーロウ。ラストに向け怒涛の展開が!

フィリップ・マーロウの長編シリーズ第5作目で「湖中の女」と「長いお別れ」の間の作品となります。 映画でフィリップ・マーロウを演じた歴代俳優は、「三つ数えろ」(1946年)のハンフリー・ボガート、「ブロンドの殺人者」(1944年)のディック・パウエル、「高い窓」(1947年)のジョージ・モンゴメリー、「湖中の女」(1947年)のロバート・モンゴメリー、「ロング・グッド・バイ」(1973年)のエリオット・グルード、「さらば愛しき女よ」(1975年)「大いなる眠り」(1978年)のロバート・ミッチャムなどです。

この映画のジェームズ・ガーナーが演じた、ちょっととぼけて飄々とした味わいのフィリップ・マーロウは、1974年から放映されたテレビドラマシリーズの「ロックフォードの事件メモ」で私立探偵ロックフォードのキャラクターに生かされています。

唐突に登場していきなり事務所を破壊するアジア人殺し屋を演じたのはブルース・リー。当時はテレビドラマの「グリーン・ホーネット」の日系人カトー役で有名になっていました。

スタッフ・キャスト

監督は主にテレビ映画で活躍したポール・ボガート。1971年には奴隷制度を逆手にとった娯楽西部劇「西部無放伝」で再びジェームズ・ガーナを主演に起用しました。また、1988年に「トーチソング・トリロジー」でハーヴェイ・ファイアスタインの自伝的戯曲を映画化。この映画ではハーヴェイ・ファイアスタイン本人が原作、脚本、主演を担当しブロードウェイでも高い評価を得ています。

脚本はアメリカ合衆国出身、パニック映画の脚本で知られるスターリング・シリファント。テレビでは1956年からヒッチコック劇場を担当。映画では1958年にドン・シーゲル監督の骨太ノワール「殺人走査線」の脚本を担当。ジョン・カーペンター監督のリメイク版でも有名な「未知空間の恐怖/光る眼」(1960年)、シドニー・ポラック監督シドニー・ポワチエ主演のサスペンスフルなヒューマン映画「いのちの紐」(1965年)を脚本。再びシドニー・ポワチエを起用、ロッド・スタイガー主演の傑作人種間サスペンスドラマ「夜の大捜査線」(1967年)でアカデミー賞脚色賞を受賞。翌年にはベストセラー小説「アルジャーノンに花束を」を映画化した「まごころを君に」(1968年)、その後1970年代には客船パニック映画の最高峰「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年)、高層ビルの火災パニックの金字塔「タワーリング・インフェルノ」(1974年)などのパニック映画の脚本でも広く知られています。また、ブルース・リーからジークンドーを習っており、交流があったことからもこの映画で登場しております。

フィリップ・マーロウを演じたのはアメリカ人俳優ジェームズ・ガーナー。1950年代後半から放映されたテレビドラマ「マーベリック」で人気を博し、1961年の映画「噂の二人」ではオードリー・ヘプバーンの婚約者を演じています。その後も多くの西部劇やアクション映画、テレビドラマに出演されていますが、最晩年にはニック・カサヴェテス監督の「きみに読む物語」(2004年)でジーナ・ローランズの相手役の老人を演じています。

ダンサーのドロレスを演じたのはプエルトリコ出身の歌手、ダンサーとしても有名な女優リタ・モレノ。何といっても彼女を一躍有名にしたのが1961年のミュージカル映画の金字塔「ウエスト・サイド物語」のアニタ役。「アメリカ」「マンボ」の楽曲に合わせて激しく歌い踊るシーンは印象的です。この映画でリタ・モレノはアカデミー賞助演女優賞を獲得しています。現在でも主にテレビドラマで活躍されており、「ロックフォードの事件メモ」では再びジェームズ・ガーナーと共演しています。

その他には、チャールズ・チャップリン監督の名作映画「キッド」(1921年)の子役で有名だったジャッキー・クーガンがハゲ役(?)として出演。また、名脇役のキャロル・オコナー。オーファメイを演じたシャロン・ファレルは、ホラーファンならご存知のラリー・コーエン監督「悪魔の赤ちゃん」(1974年)の出演でも知られています。

まとめ

女の依頼はたいてい地獄行き

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