悪女の顔「天使の顔」

フィルムノワール

子供の頃 親とケンカすると親にバチが当たれ!
と思ってしまいがちですが、
親に不幸があると自分も不幸になるという現実…

[原題]Angel face
[製作年]1953[製作国]アメリカ
[日本公開]劇場未公開・TV放映
[監督・製作]オットー・プレミンジャー
[原案]チェスター・アースキン
[脚本]オスカー・ミラード/フランク・S・ニュージェント
[撮影]ハリー・ストランドリング
[音楽]ディミトリ・ティオムキン
[上映時間]91

主な登場人物

フランク・ジョサップ(ロバート・ミッチャム):
救急車の運転手をして高級車の修理店を開く資金を貯めている。メアリーと交際している。

ダイアン・トレメイン(ジーン・シモンズ):
チャールズのもうすぐ20になる19歳の娘。裕福な継母のキャサリンを疎ましく思っている。

その他の登場人物

チャールズ・トレメイン(ハーバート・マーシャル):イギリス人の小説家
メアリー・ウィルトン(モナ・フリーマン):フランクの婚約者
フレッド・バレット(レオン・エイムズ):弁護士
キャサリン・トレメイン(バーバラ・オニール):チャールズの後妻

あらすじ

救急隊がとある豪邸にたどり着いた。邸内でガス漏れが発生し、トレメインの妻キャサリンが被害にあったが大事には至らなかった。ベッドで処置を受けていたキャサリンは誰かが自分を殺すためにガスの栓を抜いたのだと主張した。救急車の運転手フランクが帰ろうとするとピアノの音が聞こえ、思わず部屋の中に入っていくと若い娘が一身に弾いていた。その家の娘だと思ったフランクは彼女に奥様無事だと伝えると、娘はワッと泣き出し取り乱した。フランクが娘を引っ叩くと、娘は睨みつけフランクを叩き返した。これは興奮を抑えるための処置だと話すと、娘は我に返った。お母さんは無事だと語りかけるフランクに娘のダイアンは継母だと答えるが、フランクはそのままその場を立ち去った。ダイアンはすぐさま高級車を出し、救急隊が戻る後を追いかけた。救急車を降りたフランクは帰りがけにバーに寄り婚約者のメアリーに電話をかけた。そこにダイアンが現れ、フランクはメアリーとの約束を反故にして一緒に食事に出かけた。もうすぐ20歳だというダイアンの高級車を運転しながら、フランクは救急車の運転手はレーシングカー専門の修理店の開業資金を貯める為の手段だと話す。その後二人は食事をしフランクにメアリーのことなど質問攻めにし、その後は自分の話をしたりダンスをしたりと親密に過ごした。翌日ダイアンはメアリーの前に現れ、一緒にランチをしながら、昨夜フランクと食事をしたと話し、彼女にフランクの店の資金援助をしたいと申し出る。突然の事にメアリーはダイアンに不快感を隠せなかった。その後ダイアンを店に残しフランクを訪ねたが、昨夜はすぐに家に戻って寝たと嘘をついた。

どんな映画?

1953年にオットー・プレミンジャー監督が、ロバート・ミッチャムとジーン・シモンズを主演に、ハワード・ヒューズが出資し製作されたフィルム・ノワール作品となっております。

救急隊の一員ではなく
運転手であるフランクは通報を受けて
救急車で豪邸に向かいました。
ガス漏れで危うく死にかけたのは
その家の奥さん
とっと引き上げようとすると
一心不乱にピアノを弾く美少女!

「奥さんは無事ですよ」

と彼女に声をかけると
何故だか動揺して取り乱す娘
落ち着かせようとビンタするフランク
我に帰った娘はビンタ仕返し!
気が強そう
娘はダイアンと言い、
助かった奥様は実の母親ではなく
継母だと話します。

フランクが運転する救急車の後ろを
何故か車で追いかけるダイアン。
ダイアンの車は高級車ジャガー。
仕事の後 
彼女のメアリーと会う約束をしていたフランク
ところがダイアンが現れます。
結局フランクはメアリーを断って
ダイアンと食事をすることに。

フランクにぐいぐい近づいてくるダイアン。
果たして彼女の目的は?

美しい娘の考えていることが腹黒♪ と、なかなか興味深い題材である「天使の顔」ですが、当時日本ではスルーされ劇場未公開。しかし本国やヨーロッパの批評家の評価は高く、今では忘れられたフィルム・ノワールの名作の一つとされています。 また、こちらの映画は100万ドル以下と比較的低予算の上、早撮りで撮影された非常にコスパに良い作品だったと言えます。
フランクを演じたロバート・ミッチャムは、非常に抑えた演技をしており、良い人物なのか悪い人物なのか捉えどころない人物像を好演しておりました。また、目力強めの腹黒19歳を演じたジーン・シモンズも、大人の女性の顔を見せながら、中身はまだ10代の未成熟さと不安定さの両面をうまく演じていました。

車の事故シーンは衝撃的で印象深く、ラストのやり切れなさは、圧巻です。

スタッフ・キャスト

主演のサイコパス美少女ダイアンを演じたのはイギリス人女優のジーン・シモンズ。まだティーンエイジャーの頃に1945年にヴィヴィアン・リーがクレオパトラを演じた「シーザーとクレオパトラ」にちょい役で出演。翌年にディケンズの小説を本国イギリスでデヴィッド・リーン監督が映画化した「大いなる遺産」(1946年)に、美少女エステラを演じています。またマイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー監督の「黒水仙」(1947年)ではインド人の少女役で出演されています。そして1948年にローレンス・オリヴィエ監督・主演のイギリス映画「ハムレット」でオフィーリア役を獲得し世界的に知られるようになりハリウッド映画にも進出。同年には1980年にブルック・シールズ主演で再映画化された「青い珊瑚礁」と同じ原作のイギリス映画に主演しています。その後はハリウッドでヘンリー・コスタ監督の「聖衣」(1953年)や、「デジレ」(1954年)、マイケル・カーティス監督の「エジプト人」(1954年)など歴史映画に出演。また 1960年には当時の夫であったリチャード・ブルックス監督の「エルマー・ガントリー/魅せられた男」に出演しています。目力の強く線の細い美人女優さんでした。

この映画ではちょっと影の薄かったダイアンの父親を演じたのはハーバート・マーシャル。イングランド出身でイギリス時代の1929年にはサマセット・モームの短編小説を映画化した「手紙」に出演し、アルフレッド・ヒッチコック監督の「殺人!」(1930年)に主演しています。その後、ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督、マレーネ・ディートリヒ主演の「ブロンド・ヴィナス」(1932年)、エルンスト・ルビッチ監督の「極楽特急」(1932年)などに出演。また、1937年には再びエルンスト・ルビッチ監督、マレーネ・ディートリヒ主演の「天使」に出演し紳士的大人の男性を演じています。1940年に出演したヒッチコック監督の「海外特派委員」では悪役を演じ、同年のウィリアム・ワイラー監督、ベティ・デイヴィス主演で、1929年の「手紙」を再映画化した「月光の女」(1940年)に出演。翌年もウィリアム・ワイラー監督、ベティ・デイヴィス主演の「偽りの花園」(1941年)にも出演し、その後も多くの作品に出演しています。1958年には、ヴィンセント・ブライスと共に「ハエ男の恐怖」に警部役として出演されています。

ダイアンの継母を演じたバーバラ・オニールは、1939年の「風と共に去りぬ」で、スカーレット・オハラの母親役を演じたことで知られています。

まとめ

道連れで地獄行き

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