顔が大きいと身長が高く見えます。
[原題]The Big Sleep
[製作年]1946[製作国]アメリカ
[日本公開]1955
[監督・製作]ハワード・ホークス
[原作]レイモンド・チャンドラー
「大いなる眠り」
[脚本]リー・ブラケット/ジュールス・フォースマン/
ウィリアム・フォークナー
[音楽]マックス・スタイナー
[上映時間]110
主な登場人物
フィリップ・マーロウ(ハンフリー・ボガート): 私立探偵
ヴィヴィアン・スターンウッド(ローレン・バコール):
スターンウィッド将軍の長女。父親の雇った探偵マーロウにリーガンの捜索を依頼する。カジノに入り浸っている。
カルメン(マーサ・ヴィッカーズ):
スターンウィッド将軍の次女。常に酔っ払っている感じの娘。
その他の登場人物
バーニー刑事(レジス・トゥーミイ): マーロウの友人
本屋のメガネの店員(ドロシー・マローン)
エディ・マース(ジョン・リッジリー): カジノ経営者
ハリー・ジョーンズ(エリシャ・クック・Jr):小男
あらすじ
探偵のフィリップ・マーロウはスターンウッド家を訪れる。玄関に出てきたのは短いキュロットをはいた次女のカルメンは、マーロウを見て小柄なのねでもいい男と言う。温室に通されたマーロウは車いすに座った当主であるスターンウッド将軍の依頼を受ける。次女のカルメンが一年前ジョー・ブローディから娘と引き換えに金銭を要求され、さらに古書商のガイガーがという男がカルメンがカジノでつくった借金の肩代わり分を支払って欲しいと手形を送ってきた。この件を担当していて将軍が目をかけていたリーガンが突如姿を消したという。年老いた将軍に甘やかされて育った姉妹、ヴィヴィアンとカルメンは手に負えなくなっていた。将軍はマーロウにガイガーを追い払えと依頼してきた。帰ろうとしていたマーロウに姉のヴィヴィアンが会いたいと言ってきた。ヴィヴィアンは前にマーロウの依頼を担当していた前任者のリーガンを探してほしいといってきた。リーガンとマーロウは旧知の仲だったが、一カ月ほど前に車でいなくなったという。その後マーロウはガイガー書店に出向く。店員の女にベン・ハーの第三版で誤植があるのがあるか聞くがわからないと言われ、ついでにガイガーは?尋ねると留守ですとあしらわれる。向かいの本屋でメガネをかけた店員に同じことを聞き、ガイガーのことも聞く。女はガイガーが40代はじめ、ひげにチビと細かく教えてくれ、自分は私立探偵だと明かすと女はマーロウに興味を持ち、店をしめメガネを外し髪をほどく。二人でウイスキーを飲みガイガーを待つ。やがて土砂ぶりの雨の中ガイガーの車と、付き人のラングレンが店に現れる。跡をつけたマーロウはラバーン・テラスのガイガーの家についた。しばらくすると別の車から出た人間が家の中に入っていくのが見えた。その車の中を見るとカルメン名義の車だった。車の中で待機していると窓が激しく光った跡女の悲鳴が聞こえ銃声がした。すぐに男が逃げていくのが見え、マーロウが窓から入るとガイガーの遺体と酔っ払って座っているカルメンの姿があった。
どんな映画?
プロットが複雑でこの時代の映画にしては登場人物も多数、内容がわかりにくくて有名な、傑作フィルムノワールの一本です。
ハードボイルド作家、レイモンド・チャンドラーの小説「大いなる眠り」を原作としております。
私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とした長編小説の一昨目で、「さらば愛しき女よ」「高い窓」「湖中の女」「かわいい女」「長いお別れ」「プレイバック」が続きます。
この映画でフィリップ・マーロウを演じているのはハンフリー・ボガート。
冒頭、私立探偵であるフィリップ・マーロウはスターンウッド将軍の依頼で彼の広大な屋敷に呼び出されます。
そこに現れたのは短いキュロットを履いて足を出した若い女。
「思ったより小さいのね
でもかわいい💗」
ちょっとイカレぎみでマーロウも呆れ顔です。
彼女はスターンウッド将軍の次女カルメンでした。
原作のフィリップ・マーロウは187cm程を想定しているので、推定身長170cmのボギーでは、原作にあった「背が高いのね」のセリフが小さいのねに代えられています。
マーロウは将軍からカルメンのことで脅迫しているガイガーを退けろと依頼されます。
帰ろうとするマーロウを部屋に呼び出したのは将軍の長女、ローレン・バコール扮するヴィヴィアン。
ヴィヴィアンはマーロウに以前将軍からカルメンのことを解決するように依頼されていたリーガンが行方不明になっており、彼を探して欲しいと依頼してきます。
その後マーロウは古書店員の女にベン・ハーの第三版で誤植があるのがあるか聞くシーンがあります。
1880年にルー・ウォーレスが発表した小説「ベン・ハー」はアメリカで瞬く間に大ヒット。ベストセラー小説になりました。この記録は1936年の「風と共に去りぬ」が出版されるまで破られなかったとのこと。
ガイガーの居場所を突き止め、飛び込んで行ったマーロウが見たものは!!?
ガイガーの遺体と椅子に座っているカルメンの姿。
んでカルメンの前には仏頭?
マーロウが調べると仏頭の中からカメラが・・・・?
んん?何やってたの?
わたくしが思うにこの映画をわかりにくくしているのは
カルメンが服を着てたから。
まあコスプレ風にチャイナドレスでしたが。原作ではきっちりポルノ撮影会🧡と書かれているのですが当時のレイティングで出せるのはこれが限界。
1978年の映画化「大いなる眠り」ではフィリップ・マーロウ役のロバート・ミッチャムが部屋に飛び込んでみると、死体と素っ裸のカルメンの姿。
そしてわかりやすく薬物中毒。
40年代ではできなかった映像表現を70年代ではできており、ストーリーもわかりやすくなっていたのですが、面白さやノワールの雰囲気は40年代に軍パイが上がると思われます。
ストーリ的に訳がわからなくてもテンポが抜群でラストまでに一気に観られます。
無くなるガイガーの遺体とリーガンの死の謎。必見です!
ちなみに邦題の「三つ数えろ」は劇中の台詞から。
スタッフ・キャスト
監督のハワード・ホークスが1944年にアメリカ文学界の巨匠ヘミングウェイの原作を映画化したのが「脱出」というこちらもハードボイルドの傑作とされています。この映画でボガートとバコールは初めて共演し、1945年に二人は結婚しています。当時バコール20歳、ボガート45歳でした。ボガートは4度目の結婚でしたが57歳で亡くなるまで添い遂げました🧡
脚本に参加しているのがこれまたアメリカ文学界の巨匠ウィリアム・フォークナー。代表作の一つが南部ゴシック、ハードボイルド変態小説「サンクチュアリ」で、ノーベル賞受賞作家でもあります。
主演のハンフリー・ボガートは40年代50年代のアメリカを代表する俳優。やや強面で犯罪者やギャング役はもとより、1942年の「カサブランカ」のように厳しくも優しを持った渋みのある演技が抜群でした。中でも1941年の「マルタの鷹」の探偵サム・スペード役は、こちらの「三つ数えろ」に先んじて適役でした。何か顔よりも声や語り口がいいんですよね〜
個人的には子供の頃見た「麗しのサブリナ」(1954年)で
何で相手役がこんなおっさん?!!
と納得いかないものでした。
オードリー・ヘップバーンみたいなファザコンぎみの女性にはたまらん魅力があるんでしょうね〜
本屋の眼鏡っ娘役で出演していたドロシー・マローンは、昨年93歳で亡くなられましたが、1956年の「風と共に散る」でアカデミー賞助演女優賞を受賞し、ノワール作品や西部劇など長く活躍されていました。
いや、面白いんだけど
結局どんな話だったっけ?となる傑作フィルム・ノワールです。
まとめ
姉妹に出会って地獄行き でも私生活は天国行き
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