美人で性格がいい人ほど、男の趣味が悪かったりします。
[原題]Laura
[製作年]1944[製作国]アメリカ
[日本公開]1947
[監督・脚本・製作]オットー・プレミンジャー
[音楽]デイヴィッド・ラクシン「ローラ」
[上映時間]88
主な登場人物
ローラ・ハント(ジーン・ティアニー):
話題の売れっ子美人デザイナー。顔面を撃たれた遺体が自室で発見される。
マーク・マクファーソン(ダナ・アンドリュース):
ローラ殺人事件の担当刑事。ローラの捜査を進めていくうち、死んだローラに惹かれていく。
ウォルト・ライデッカー(クリフトン・ウェッブ):
有名コラムニスト。ローラの直談判により彼女と知り合う。以後彼女のパトロンに。
その他の登場人物
シェルビー・カーペンター(ヴィンセント・プライス):ローラの婚約者
アン・トリードウェル(ジュディス・アンダーソン):ローラの叔母、シェルビーと愛人関係
あらすじ
美人で売れっ子のデザイナーのローラが殺された。顔を至近距離で撃たれていたのだ。刑事のマークは彼女の支援者でもあり高名な記者のライデッカーの屋敷を訪ねた。派手な飾りや豪華な柱時計の屋敷の中でライデッカーはバスタブに入ったままマークを出迎える。マークはライでッカーも容疑者の一人と告げ、次にライデッカーが容疑者と考えている叔母であるアンとローラの婚約者であるシェルビーに会いに行った。ローラが殺された金曜日シェルビーにはアリバイがあり今度は3人でローラの部屋を捜索する。その後、ライデッカーはマークをレストランに連れていき、五年前に初めてここでローラに出会ったと回想する。食事をしていたライデッカーに広告会社に勤めていたローラが無理くり記事を書いて欲しい売り込んだのだ。その後彼の方から会社に出向き、彼女の依頼を聞き入れ親しくなる。その後彼女はこれを踏み台に業界の寵児に躍り出た。ライデッカーの言う通りの身だしなみと気品、教養を身に着けた彼女は常に彼のそばに寄り添い火曜日と金曜日は彼と食事すると決めていた。ライデッカーは彼女に近づく男は新聞に酷評を乗せローラから遠ざけていた。しかしある晩アンが主催したパーティーでローラはシェルビーと出会ってしまう。
どんな映画?
ローラ・ハント殺害事件を担当することになった刑事マーク・マクファーソン。
美人で評判のコピーライターだった彼女は、至近距離で散弾銃により顔を吹っ飛ばされているというむごい殺され方でしていました。
マクファーソン刑事は取りあえず生前の彼女の関係者に当たります。
まず彼女を一流デザイナーに引き上げた有名コラムニスト、ウォルト・ライデッカー。
裕福な彼は風呂に入ったままマクファーソンをでむかえます。
ライデッカーはおっさんで紳士然としていましたが、体は貧相、偏屈そうで人好きのしないタイプ。
次にマクファーソンはライデッカーと共にローラの叔母の元を訪れます。
叔母はローラの婚約者シェルビー・カーペンターと関係を持っていました。
今度はマクファーソンはライデッカー、シェルビーの三人でローラの部屋に行きます。
そこにはローラの肖像画が飾れていました。
ライデッカーはマクファーソンを食事に誘い、ローラとの思い出をマクファーソンに語ります。
ローラに教養と、上流階級の立ち居振る舞いを身につけさせ、最高の女性に仕立てたライデッカー。
ある時、ローラの肖像画を描いた画家がローラと親密になっていることに気づいたライデッカーは、画家がスポーツマンタイプの一番嫌いなタイプだったので、画家の酷評を新聞に載せローラと引き離すことに成功。しかしローラは出会ったばかりのシェルビー・カーペンターと、とっとと婚約してしまったとのこと。
捜査が進むにつれ、マクファーソンは死んだローラに魅かれていくのでした。
勝手にローラの部屋に入り
眠りこける始末。
そこに突如現れたのは…
生きていたローラでした。
てゆーか 人の部屋で寝てて こっちの方が誰やねんこいつ
変な帽子なのは雨具だから。
フィルム・ノワールの代表的一本に名を連ねるこの映画は、オットー・プレミンジャーの監督第一作です。B級サスペンスの様相を呈していますが、複雑な心理描写が重なり、とゆーかストーカーチックな男たちの登場により、突出した作品に仕上がっています。ライデッカーは紳士ぶりながら女性的な粘着体質だし、マクファーソンは死美人に恋した上に、勝手にローラの部屋に上がり込む職権乱用ぶり。見どころ満載です。
この映画は映画関係者の間でも非常に人気が高いそうで、デイヴィッド・リンチ監督の「ツイン・ピークス」で、美しい女子高生の遺体ローラ・パーマーの名前はこの映画から取ったそう。
スタッフ・キャスト
監督のオットー・プレミンジャーはオーストリア国籍でアメリカで活躍した映画監督です。初監督した「ローラ殺人事件」を皮切り多くの話題作、意欲作を発表し続けました。当時タブー視されていた「堕胎」や「バージン」の発言が出てくる1953年「月蒼くして」、フランク・シナトラが麻薬中毒者を演じた1955年「黄金の腕」、レイプ事件を扱った1959年「或る殺人」、今でもカルト映画で有名な1965年「バニー・レークは行方不明」などが代表作としてあげられます。その風貌から1953年のビリー・ワイルダー監督の映画「第十七捕虜収容所」に、ドイツ軍兵士シェルバッハを演じ強烈な印象を与えました。
美しく聡明なローラ役には美人女優ジーン・ティアニー。1941年に西部劇の巨匠ジョン・フォード監督の牧歌コメディ「タバコ・ロード」に出演。同年にジョセフ・フォン・スタンバーグ監督のフィルム・ノワールの隠れた名作「上海ジェスチャー」に主演。1943年エルンスト・ルビッチ監督の「天国は待ってくれる」、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた1945年「哀愁の湖」、1947年ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督の「幽霊と未亡人」など1940年代は作品にも恵まれ大スターでした。美人で知的な雰囲気を持つジーン・ティアニーは実際にも裕福な出自でしたが、家庭には恵まれなかったそう。戦時中慰問で訪れた先で、兵士に風疹をうつされその後出産した子供には重度の障害がありました。アガサ・クリスティ原作の「鏡は横にひび割れて」の話に酷似していますが、実際元ネタではないそうです。数々の男性遍歴と、父親との決別などで30代の頃には精神を病み入退院を繰り返し、その後石油王と再婚。オットー・プレミンジャー監督とは1962年に「野望の系列」で再び出演を果たしました。実に7年ぶりの映画出演でした。
後にAIPホラー界の重鎮になるヴィンセント・プライスが女にだらしないイケメン役で出演してます。
そんでもって1940年の「レベッカ」で不気味なダンヴァース夫人を演じていたジュディス・アンダーソンがここではフツーのおばはんを演じております。
美人顔なし死体に魅かれるのはいつの時代にも変わらないのですかね~
まとめ
死美人に惹かれて地獄行き
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