三賢人じゃなくて三囚人「俺たちは天使じゃない」(1955年)

ドラマ

クリスマスぐらい人の死なない映画をお届け!
と思ったのですが
この映画でもちゃんと(?)人が死んでいます。

[原題]We’re No Angels
[製作年]1955[製作国]アメリカ
[日本公開]1955
[監督]マイケル・カーティス
[脚本]ラナルド・マクドゥガル
[原作]アルベール・ユッソン
   「La Cuisine Des Anges」
[製作]パット・ダガン
[撮影]ロイヤル・グリッグス
[音楽]フレデリック・ホランダー
[上映時間]106

主な登場人物

ジョセフ(ハンフリー・ボガート):
三人の脱獄囚の一人。元詐欺師。

その他の登場人物

アルバート(アルド・レイ): 脱獄囚、アドルフという毒へびをカゴの中に入れて持っている。
ジュールス(ピーター・ユスティノフ): 脱獄囚、女房殺し、金庫破り
フェリックス・デュコテル(レオ・G・キャロル):雑貨屋の店主
アメリー・デュコテル(ジョーン・ベネット):フェリックスの美しい妻
イザベル・デュコテル(グロリア・タルボット):フェリックスの18歳の娘
アンドレ・トロチャード(ベイジル・ラスボーン):フェリックスの従兄で店のオーナー
アルノー(ジョン・スミス):船医
ポール・トロチャード(ジョン・ベア):アンドレの甥。イザベルと恋仲

あらすじ

1895年のクリスマスイブ 悪魔島。ジョセフ、アルバート、ジュールスの三人の脱獄囚は港で出会った若い船医にスリを働いた。若者だけあって持ち金は少なかったが、その中に町の雑貨商店主のフェリックス・デュコテル宛の手紙があった。ジュールスはそれを届けて礼をもらおうと言い、ダメなら強盗すればいいということを決め、三人でフェリックスの店に向かった。フェリックスの店はうまく行っておらず、雨漏りも直せていない状態だった。三人は直してやると屋根の上に登った。三人が天窓から下を眺めていると、デュコテルの美しい妻アメリーが現れ、デュコテルの従兄弟で店のオーナーのアンドレを不安視していた。店はお人好しのデュコテルがツケ払いにされてばかりで業績不振、二人の18歳の娘イザベルは、パリにいるアンドレの甥のポールと恋仲になっておりうまく行っていないことばかりだったが、家族は深く愛し合っており上で見ていた三人も思わず心温まっていた。そんな時アンドレが甥のポールと共に、この島に来ており、今感染症が出て船の中で足止めにあっていると手紙が来た。すぐにアンドレたちを迎えに行ったデュコテル。アメリーはイザベルに手紙を渡し、賑やかなクリスマスになると二人で喜び合い、張り切って支度に行った。残されたイザベルは手紙を嬉しそうに手紙を読んだが、その次の手紙を読んだ瞬間ショックのあまり卒倒してしまう。驚いた囚人三人はすぐに下に降りて手紙を読んでみる。そこにはアンドレから後継のポールは造船王の娘と結婚させると書かれていた。三人は介抱し、アメリーの頼まれてアルバートがイザベルをベッドに運んだ。ジョセフが客の応対をしうまく商品を売りつけた。気前よく働く囚人たちに家族は打ち解け、デュコテルは三人をクリスマスのディナーに招待した。

どんな映画?

フランスの劇作家アルベール・ユッソンによる戯曲を原作にした、ベラとサミュエル・スペワック夫妻によるブロードウェイの戯曲「My Three Angels」を元にマイケル・カーティス監督が映画化。ハードボイルドの名優ハンフリー・ボガートが、ハートウォーミング映画に主演していることでも知られるクリスマス映画です。

19世紀後半のフランス領デビルズ島
脱獄した三人の囚人たち
三人は若い船医から盗んだ手紙から
デュコテルの雑貨店に行くことに。
三人は手紙を持って行って
お礼がダメなら強盗しようと
画策していました。

いざデュコテルの店に着くと
成り行きで屋根の修理をすることに
三人は屋根の上に上がって
下で様子を眺めます。
お人好しの店主デュコテル
店の経営はメタメタですが
美しい妻と美しい娘と家族三人は
お互いを思い合い
家族愛に溢れていました。

その三人を見て思わず
三人の囚人たちもほっこり
そんな中デュコテルの従兄弟が
フランスから店の経営を調査しに
やって来るというのです。
ついでに彼の甥でデュコテルの
娘イザベラと恋仲のポールも一緒でした。

しかし彼らは家族にとってー

家族のクリスマスパーティーに招待された三人が歌います♪

悪魔島(デビルズ島)は南アメリカのフランス領ギアナにある島です。ナポレオン3世の頃フランスの政治犯や重罪犯を収容する監獄が設置されていいました。スティーブ・マックイーン主演の映画「パピヨン」の舞台になったことでも有名です。

脱獄囚を演じたハンフリー・ボガートは、フィルムノワール やサスペンス映画のタフガイ役で有名ですが、この映画では、ちょっと強面で口のうまい詐欺師を演じています。ハンフリー・ボガードは1955年の同年ウィリアム・ワイラー監督の「必死の逃亡者」でも、脱獄囚を演じています。こちらは大真面目な映画です。

劇中でピアノの弾き語りでジョーン・ベネットが歌うのは、フリードリッヒ・ホランダー作曲、ラルフ・フリード作詞によるクリスマスソング「センチメンタル・モーメント」です。愛情に溢れる詩とメロディーにじんわりくる名シーンです。

かなりドタバタでご都合主義映画ですが、心温まるクリスマス映画の名作の一つです。

この映画は、1989年にニール・ジョーダン監督、ロバート・デ・ニーロ、ショーン・ペン、デミ・ムーア出演でリメイクされています。

スタッフ・キャスト

三人の脱獄囚の中の一人ジュールスを演じたのは、イギリスの俳優ピーター・ユスティノフ。アガサ・クリスティ原作の名探偵エルキュール・ポワロを演じた俳優の一人としても知られています。1951年に出演したマーヴィン・ルロイ監督の歴史スペクタクル映画「クォ・ヴァディス」に、暴君ネロを演じゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞しました。その後は、マイケル・カーティス監督の「エジプト人」(1954年)、マックス・オフュルス監督のフランス・西ドイツ合作の「歴史は女で作られる」(1955年)、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の「スパイ」(1957年)などに出演。1960年に出演した、スタンリー・キューブリック監督、カーク・ダグラス主演のこちらも歴史スペクタル作品「スパルタカス」で、バタイアタスを演じ、こちらではアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。また、同年にはフレッド・ジンネマン監督、デボラ・カー主演の「サンダウナーズ」にも出演しています。1964年に泥棒コメディ映画「トプカピ」で、泥棒作戦に巻き込まれるおっさんシンプソンを演じ再びアカデミー賞助演男優賞を獲得しています。1968年の「黒ひげ大旋風」では、黒ひげを演じています。いよいよ、1978年にはジョン・ギラーミン監督で「ナイル殺人事件」に、アガサ・クリスティが生んだ名探偵エルキュール・ポワロ役で出演。こちらがあたり役で1982年にも、ガイ・ハミルトン監督の「地中海殺人事件」で、1988年のマイケル・ウィナー監督の「死海殺人事件」でも名探偵ポワロを演じています。俳優として活躍する傍ら小説家、脚本家、映画監督としても知られています。

ちょっと間抜けなお人好しの店主デュコテルを演じたのは、イングランドの俳優レオ・G・キャロル。ハリウッド時代のヒッチコック作品の常連で「レベッカ」(1940年)、「断崖」(1941年)、「白い恐怖」(1945年)、「パラダイン夫人の恋」(1947年)、「見知らぬ乗客」(1951年)、「北北西に進路を取れ」(1959年)に出演しています。その他には、ウィリアム・ワイラー監督、マール・オベロン、ローレンス・オリヴィエ主演の「嵐が丘」(1939年)、ベイジル・ラスボーン主演の恐怖映画「恐怖のロンドン塔」(1939年)、マーヴィン・ルロイ監督、ヴィヴィアン・リー、ロバート・テイラー主演の戦争メロドラマの傑作「哀愁」(1940年)などにも出演されています。映画においては、いずれも脇役での出演が多かったのでですが、晩年にはテレビドラマ「0011ナポレオン・ソロ」の出演で非常に知られています。

デュコテルの冷徹な従兄弟役で出演したのがイングランド人のベイジル・ラスボーンで、1940年代に演じたシャーロック・ホームズ役で非常に知られています。また、ローランド・V・リー監督作品では、アガサ・クリスティ原作のサスペンス映画「血に笑ふ男」(1937年)、「フランケンシュタインの復活」(1939年)、「恐怖のロンドン塔」(1939年)などのサスペンス、怪奇映画に出演しています。

まとめ

ヘビと出会って地獄行き

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