第四の壁「アルフィー」(1966年)

ドラマ

色男 金と脳みそはなかりけり♪

[原題]Alfie
[製作年]1966 [製作国]イギリス・アメリカ
[日本公開]1967
[監督・製作]ルイス・ギルバート
[脚本・原作]ビル・ノートン
[編集]オットー・ヘラー
[音楽]ソニー・ロリンズ
[上映時間]114

主な登場人物

アルフィー(マイケル・ケイン):
無類の女好き。女とみればナンパしまくりで人生うまくやっていると思っているのだが…

その他の登場人物

ルビィ(シェリー・ウィンタース):資産家の年増
アニー(ジェーン・アッシャー):ヒッチハイクで拾った娘
堕胎医(デンホルム・エリオット)
リリー(ヴィヴィアン・マーチャント):ハリーの妻
カーラ(シャーリー・アン・フィールド):アルフィーが手を出す看護師
シディー(ミリセント・マーティン):人妻
ハリー(アルフィー・バス):同室の男。リリーの夫。
女医(エレノア・ブロン)

あらすじ

ロンドンで高級車の運転手をしているアルフィーは無類の女好き。まじめそうな女の子や主婦シディにまで声をかけては付き合っている。尽くしてくれるだけが取り柄のギルダが妊娠。結婚なんかしないと突っぱねるが、子供を生むことにしたギルダ。一人で育てることを決めたギルダ、養子に出せというアルフィーの言葉に耳を貸さなくなり、そんなギルダを父親だと言いながらも冷たくあしらう。しかし、大きくなる息子に徐々にメロメロになっていった。そんな中ギルダは以前から想いを寄せてくれていた男にプロポーズされる。愛していないが結婚するというギルダ。一方アルフィーはレントゲン検査の結果が思わしくなく肺に影が、サナトリウムに送られ療養することに。同室の男ハリーは女房子供を持ち、妻の面会だけを楽しみにしておりその妻は暗そうな顔をした女だった。看護士にも手を出すアルフィー。療養中も好き勝手やっていた。ロンドンに戻ったアルフィーは観光写真を撮る仕事で、年増のルヴィと出会う。サナトリウムに同室の見舞いに来たアルフィーはその妻を車で送り、関係を持ってしまう。運転中ヒッチハイクをしていた女の子を気に入り、先に乗せた男を出し抜いて家に連れ帰る。アニーという女の子は料理をし、かいがいしく尽くしたが次第に束縛するようになり疎ましい存在になってくる。やはり、年上で金がありエロい女ルヴィが良かった。バーでケンカし帰るとまたアニーと言い争いになりそのままアニーは出ていった。

どんな映画?

ビル・ノートンの舞台劇をルイス・ギルバート監督が映画化。軽薄色男アルフィーをマイケル・ケインが演じ、ヒットしました。日本ではテレビ放映の際「華麗なる色事師アルフィー」のトンデモタイトルになりました。
また、この映画は冒頭いきなり主人公が劇場観客者に話しかける手法で、第4の壁を破った作品として知られています。

人妻と車で関係を持つ運転手のアルフィー
車から出てきて
観客に向かって人妻の扱い方指南♪

今度は従順なギルダ
結婚はしないと言ってあるが
アルフィーにゾッコンな様子。
そんなギルダに好意を持っているのがバスの車掌のハンフリー。
危険日をきちんとつけているアルフィーでしたが
ギルダが妊娠していることに気づきます。

とことん最低男のアルフィー。
結婚しないし子供を何とかしろと言う始末。

結局子供を産んだギルダはシンママとして
子供を育てることになりますが、
母親になったギルだと違いアルフィーは
気遣いはしますがまったく関係ないといった感じ。

日に日に大きくなる子供に情は移るものの
ハンフリーにプロポースされたというギルダに
半ギレで別れをを告げます。
去る者は追わない主義のアルフィー。

ちょうど(?)肺を患いサナトリウムに入ることに なるのですが…

カフェで見つけた若い娘アニーを
彼氏がいるのに言葉巧みに連れ込みます。
たくみとは言え女もどーかしている。

ソニー・ロリンズが作曲を担当した主題歌「アルフィー」がエンドロールに流れオシャレな仕上がりになっておりますが、オラオラ系の手法で女を扱うマイケル・ケイン演じるアルフィーは女性目線から見てもあまり好感が持てる男ではありません。しかしこの軽佻浮薄、口だけ男の役がマイケル・ケインの見た目も相まって非常にハマっていました。
また、規制変更にヨリ「堕胎」という言葉がそのまま通ったことも今までにない衝撃的なものでした。

この映画は本国イギリスでは非常に人気があり、1975年に「007 カジノロワイヤル」(1967年)の監督で有名なケン・ヒューズが続編の「アルフィー・ダーリング」(1975年)を監督しています。この映画でアルフィーをマイケル・ケインに代わりミュージシャンのアラン・プライスが演じ、中ヒット。日本では劇場未公開ですがDVDが発売されています。

また、「探偵〈スルース〉」(1972年)でも言及しましたが、こちらの2007年のリメークでマイケル・ケインの役をジュード・ロウが演じていましたが、2004年の「アルフィー」のリメークにおいてもアルフィーをジュード・ロウが演じました。

スタッフ・キャスト

監督はイギリス出身のルイス・ギルバート。日本を舞台にした「007は二度死ぬ」(1967年)、ロシアを舞台にした「007 私を愛したスパイ」(1977年)、宇宙(!?)を舞台にした「007 ムーンレイカー」(1979年)と007シリーズの監督としても有名ですが、戦争映画や恋愛映画、コメディ映画と幅広く活躍。中でも1971年の「フレンズ ポールとミシェル」は十代の恋愛と妊娠!??を描きこれが大ヒット。若い二人だけで生活し、出産も経験するというトンデモ映画でしたが、主演二人と映像の美しさが際立ち深刻な感じがしない爽やかな作品に仕上がっておりました。この映画は世界的にヒットしその後「続フレンズ ポールとミシェル」として続編が同じ監督で作られました。晩年はケイト・ベッキンセイルがヌードを披露したゴシック・ホラー映画「月下の恋」を監督されています。

主演は元祖イギリスの伊達男マイケル・ケイン。どんな映画でもどんな役でもスケジュールが合えば出演する心意気。1965年に主演した「国際諜報局」で演じたスパイ、ハリー・パーマーが当たり続編の「パーマーの危機脱出」(1966年)にも主演。またさらに続編の「10億ドルの頭脳」(1967年)でも同じく針−・パーマーを演じています。このヒットにより1966年にはこの映画「アルフィー」に出演し軽薄なイケメンが当たり役になりました。ルイス・ギルバート監督作品では1983年に「リタと大学教授」に出演しています。現在御年88歳ですが昨年にはクリストファー・ノーラン監督の「TENET テネット」(2020年)に出演されるなどまだまだ現役で活躍されています。

この映画の華を飾るのが次々に登場する女優陣。 ヒッチハイクで拾った若い女の子は個人的にはかわゆくて好きなジェーン・アッシャー。現在は女優業はされておらず実業家としての活躍の方が有名ですが、60年代はそのキュートな美貌とポール・マッカートニーとの交際が広く知られた女優さんでした。イギリスの上流階級出身で、子役からキャリアをスタート。1960年にロジャー・コーマン監督ヴィンセント・プライス主演のエドガー・アラン・ポー原作の一連の映画「赤死病の仮面」に出演。1970年のイエジー・スコリモフスキ監督のカルト映画「早春」では奔放な女の子を演じフルヌードを披露。ホントにかわいいです。 この映画でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたのが、堕胎する人妻を演じたヴィヴィアン・マーチャント。イギリスの著名な劇作家ハロルド・ビンターの最初の妻となり、彼が原作を担当した映画に多く出演しました。1967年にはジョゼフ・ロージー監督、ハロルド・ビンター脚本の「できごと」や、1972年にはヒッチコック監督の「フレンジー」などに出演していましたが、ビンターと離婚後は不遇な人生を歩まれたようです。 また、アメリカのベテラン女優シェリー・ウィンタースが好色家の年増女役で登場しております。

まとめ

地獄にいることに気づかない地獄行き

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