誰々に似てるって言われて 全然納得できないことがあります。
[原題]The Wrong Man
[製作年]1956[製作国]アメリカ
[日本公開]1957
[監督・製作]アルフレッド・ヒッチコック
[脚本]マックスウェル・アンダーソン
[原作・脚本]マンガス・マクファイル/ハーバート・ブリーン
[編集]ジョージ・トマシーニ
[撮影]ロバート・バークス
[音楽]バーナード・ハーマン
[上映時間]105
主な登場人物
クリストファー・バレストレロ(ヘンリー・フォンダ):
マニー。38歳の楽団のベーシスト。裕福ではないが妻子と幸せに暮らしていたが、妻ローズの歯の治療費を借りる為、保険事務所に出向き強盗犯に間違えられてしまう。
ローズ・バレストレロ(ヴェラ・マイルズ):
マニーの妻。借金を気にしていて、自分の歯の治療を躊躇していた。
その他の登場人物
フランク・オコナー(アンソニー・クエイル):マニーを担当する弁護士
アパートの少女(チューズデイ・ウェルド):証人を探している際に出会った少女
ジーン・コンフォーティ(ネヘマイマ・パーソフ):マニーの義弟
バワーズ(ハロルド・J・ストーン):警部補
あらすじ
クラブで楽団のベーシストの仕事をしているマニーは、妻とまだ幼い二人の子供と貧しいがつましく生活していた。ある日妻のローズが歯が痛むと、マニーに訴えていたが借金の為、治療を躊躇していた。そこでマニーは保険証券から借り入れができるのを思い出し、自分の証券はすでに借入を行なっていたためローズの保険証を持って保険事務所に向かった。マニーが共同生命の事務所に入ると窓口の女性は怪訝な顔をした。マニーは窓口でローズの保険証券を出し、いくら借り入れができるのか尋ねた。女性はローズの証書に不審がるが、マニーは妻の証書だと説明した。女性は確認すると言って奥に証券を持っていくが、上司に受付にいる男が以前入った強盗に似ているのではないかと伝えた。彼女たちは、実際に目の前で銃を突きつけられた女性に確認させると、マニーをちらっと見た女性はあの男だと言った。受付の女性は、マニーに金額と金は妻に支払うと伝えその日は帰宅させた。一方所長に強盗犯だと伝え、警察に通報した。マニーが両親の家を尋ねた後家路に着くと、自宅前で警察官たちに呼び止められた。妻に話をというマニーの話も聞かず警察署に連行されてしまう。納得いかないマニーに、警察官は最近連続している強盗事件の犯人の人相がマニーに一致しているのだと言う。やっていないと否定するマニーに、被害のあった店を回って目撃者と対面するよう車で連れて行かれる。酒は飲まないというマニーに、酒屋に連れて行き、1人で店に入るよう促される。次に雑貨屋に行きここでもただ店の中を歩いて、店主たちに顔を見せて出ていくだけだった。再び警察署にで取り調べを受け、妻の歯の治療に300ドル必要だったこと、少し競馬をやること。多少だが借金があることを伝えた。警官はマニーが行った保険会社で強盗が入り、昨年の12月に71ドル、7月に200ドルが盗まれたという。次に筆跡鑑定のため、犯人が渡したメモの文言と同じものを2回書かされた。すると慌てていたため、犯人と同じ書き間違いをしていた上、筆跡も似通っていた。面通しが行われ、数人の男たちの前で保険会社の女性がマニーを示した。その後マニーは、指紋を採取され生命保険事務所での強盗容疑で勾留されることになった。マニーは拘置所の中で、絶望的な気持ちになっていた。
どんな映画?
サスペンスキング、アルフレッド・ヒッチコック監督が、実際にあった冤罪事件を元に映画化。主演にヘンリー・フォンダとヴェラ・マイルズを配しております。
38歳のマニーの仕事は
クラブでのベーシスト
借金もあり裕福ではないですが、
美人妻と可愛い2人の息子がおり
幸せに暮らしていました。
ですが妻のローズが歯を悪く
していても借金を気にして
治療に行けない状態でした。
マニーは入っている保険の
証書から借入ができることを
思い出し、
自分はすでに借入をしている為
ローズの証書を持って
保険会社の事務所に向かいます。
窓口の女性にいくら
借りられるか尋ねるマニー。
女性はマニーの顔を見て
驚愕の表情。
奥で他の事務員たちと
コソコソ
マニーは特に気にすることなく
査定を待ちます。
実はその事務所に以前
強盗が入っており
その犯人がマニーに
クリソツ
らしい
そんなこととは知らずに
仕事を終えて帰宅するマニーを
待ち構えていたのは
警察!!?
いきなり車に乗せられた
マニーは訳もわからず
数軒の店に入り店員と
顔を合わせます。
さらに警察署に連れて行かれた
マニーは連続強盗犯と
間違えられてしまい…
マニーの冤罪はローズの心を完全に破壊してしまい…
この映画は、実在の弁護士フランク・オコナーが担当した冤罪事件を題材に、劇作家のマクスウェル・アンダーソンが「クリストファー・エマニュエル・バレストレロの実話」として脚本化。マクスウェル・アンダーソンは「西部戦線異状なし」(1930年)や「雨」(1932年)などの脚本を担当していたことでも知られ、原作戯曲には「キー・ラーゴ」(1951年)、「悪い種子」(1956年)、「1000日のアン」(1969年)などがあります。フランク・オコナーをイギリスの俳優アンソニー・クエイルが演じています。
また、後にアイドル的人気を博すことになる、13歳のチューズデイ・ウェルドの映画デビュー作となっております。
ヒッチ先生の映画では珍しく、殺人事件を扱っていない映画ですが、実話を題材にしているだけあって、善良な一般市民が冤罪に巻き込まれていく様は、非常にリアル。ヘンリー・フォンダの絶望的な顔演技も素晴らしいです。そして、捕まった本人だけでなく家族までも否応なく巻き込まれてしまう現実に、捜査の杜撰さと誰にでも起こりうるかもしれない冤罪の恐ろしさをひしひしと考えさせられます。妻ローズが自分のせいかもしれないと、自分を追い詰めていく様子は、善良な人間であればあるほど身につまされます。
スタッフ・キャスト
間違えられた男マニーを演じたのはアメリカ合衆国出身の往年の名優ヘンリー・フォンダ。女優ジェーン・フォンダと俳優でプロデューサーだった故・ピーター・フォンダのお父ちゃんとしても知られています。生涯で5回の結婚をされており、2番目の妻の子供がジェーンとピーターになります。 1935年にスクリーンデビューし、翌年にヘンリー・ハサウェイ監督の「丘の一本松」(1936年)にシルヴィア・シドニーのいとこ役で主演の1人を演じています。シルヴィア・シドニーとは翌年のフリッツ・ラング監督の「暗黒街の弾痕」(1937年)で共演し、主演しています。同年に「或女」(1937年)でベティ・デイヴィスの相手役で出演。さらに翌年にウィリアム・ワイラー監督の南部ゴシック作「黒蘭の女」(1938年)え再びベティ・デイヴィスの相手役として主演しています。また、「美人は人殺しがお好き」(1938年)では、バーバラ・スタンウィックと共演しております。ヘンリー・キング監督の「地獄への道」(1939年)や、ジョン・フォード監督の「モホークの太鼓」(1939年)などの西部劇に出演している他、同じくジョン・フォード監督の伝記映画「若き日のリンカーン」(1939年)にリンカーン役で主演しております。この後「ミスタア・ロバーツ」(1955年)で決裂するまで、ジョン・ウェインと並びジョン・フォード監督作の常連となります。1940年に出演したスタインベックの名作小説をジョン・フォード監督が映画化した「怒りの葡萄」で、主役のトム・ジョードを演じ自身の代表作の一つとなりました。同年、「地獄への道」の続編をフリッツ・ラング監督が映画化した「地獄への逆襲」(1940年)に主演しています。そして、個人的にはイチオシ西部劇、ジョン・フォード監督の名作西部劇「荒野の決闘」(1946年)で、ワイアット・アープを演じています。アルフレッド・ヒッチコック監督の「間違えられた男」、自身が入れ込んでプロデューサーとしても参加した、シドニー・ルメット監督の「十二人の怒れる男」(1957年)、アンソニー・マン監督の西部劇「胸に輝く星」(1957年)、シドニー・ルメット監督のリメイク映画「女優志願」(1958年)、オットー・プレミンジャー監督の政治映画「野望の系列」(1962年)、オールキャスト戦争映画「史上最大の作戦」(1962年)、オールキャスト西部劇「西部開拓史」(1962年)、シドニー・ルメット監督の「未知への飛行」(1964年)、リチャード・クワイン監督のセックスコメディ「求婚専科」(1964年)、どんでん返しが有名なコメディタッチの西部劇「テキサスの五人の仲間」(1966年)などに主演または、主要な役で主演。それ以後もドン・シーゲル監督のサスペンス映画「刑事マディガン」(1968年)、リチャード・フライシャー監督の実在の事件をもとにした映画「絞殺魔」(1968年)、セルジオ・レオーネ監督のマカロニウェスタン「ウエスタン」(1968年)などで重要な役で出演。晩年も、タコパニック映画「テンタクルズ」(1977年)や遊園地パニック映画「ジェット・ローラー・コースター」(1977年)、蜂パニック映画「スウォーム」(1978年)、隕石パニック映画「メテオ」(1979年)などB級パニック映画の常連でした。名実ともに有名俳優でしたが、ショーレースには無縁。ですが、最晩年に娘のジョーン・フォンダと出演したマーク・ライデル監督の「黄昏」(1981年)で、念願のアカデミー賞主演男優賞を獲得しました。この映画に出演された翌年に77歳でお亡くなりになられています。
ヒッチ先生登場シーン
冒頭の解説シーン。
まとめ
強盗に間違えられて地獄行き
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