特に男性は、外見が好きだと性格もいいと思ってしまう傾向があるそうです。
[原題]The Paradine Case
[製作年]1947[製作国]アメリカ
[日本公開]1953
[監督]アルフレッド・ヒッチコック
[製作・脚本]デヴィッド・O・セルズニック
[音楽]フランツ・ワックスマン
[上映時間]115
主な登場人物
マダレーナ・パラダイン(アリダ・ヴァリ):
パラダイン大佐の夫人。夫殺しの疑いで逮捕される。
アンソニー・キーン弁護士(グレゴリー・ペック):
トニー。パラダイン夫人の担当弁護士。優秀だがパラダイン夫人に一目惚れしトチ狂う。
アンドレ・ラトゥール(ルイ・ジュールダン):
パラダイン家の召使い。
その他の登場人物
ゲイ(アン・トッド):アンソニーの妻
シモン卿(チャールズ・コバーン): 顧問弁護士
ジョセフ検事(レオ・G・キャロル)
ホーフィールド(チャールズ・ロートン):食えない事件の担当判事。
ソフィー(エセル・バリモア): 判事の妻
あらすじ
近年のロンドン、ピアノを弾くパラダイン夫人が見上げる先には目が不自由だったパラダイン大佐の肖像画が掲げられている。そこに警部がやってきて、パラダイン夫人を夫殺しの容疑で逮捕していった。拘束された夫人の元に駆け付けたシモン卿は、若手有望弁護士のトニーを紹介するという。トニーはシモン卿とともに夫人の元に訪れるが、夫人の怪しい美しさに一目で虜になってしまう。トニーはシモン卿と各々の夫人同伴で、担当判事ホーフィールドの屋敷にディナーに出かける。ホーフィールドはアンソニーの妻に色目を使ったり、食えない老人だった。トニーは夫人に、過去の話を聞く。夫人がまだ若くナポリにいたころ、夫人は男と駆け落ちカイロ、イスタンブールへと流れた。男と別れ他の男とも関係した後、名門出の大佐と知り合ったという。夫人と面会を続けていくトニーは、すっかり彼女に入れ込み強く彼女が無罪であると主張する。怪訝に思うシモン卿だが、大佐の写真を確認していくうちに大佐の側にいつも世話人のラトゥールが寄り添っていた。トニーは大佐の自殺と、ラトゥールの自殺ほう助の線を狙っていた。トニーはパラダイン夫人にラトゥールの話を聞くが、夫人は彼をアンドレと呼び親密さを窺わせた。トニーは何となく平静でいられなくなり、夫人の屋敷に調査に行くことに。
どんな映画?
ロンドンの邸宅で逮捕されたのは
魅惑的なパラダイン夫人でした。
彼女の容疑は夫殺し。
夫である目の不自由なパラダイン大佐を
毒殺したと言うのです。
毅然とした態度で連行されていく夫人。
顧問弁護士のシモン卿を通じ紹介されたのが将来有望しされている
弁護士のアンソニー・キーン(トニー)でした。
キーンには結婚11年の妻ゲイがおり夫婦円満ラブラブでした。
パラダイン夫人と会うまでは…
魅惑的な夫人に一目惚れしてしまったトニー
すぐに釈放させると約束します。
ゲイの心配をよそにイタリアのことばかり考えるトニー。
面会でパラダイン夫人の過去を聞き出すトニー。ややセクハラ入っています。
言いたくないような過去も包み隠さず話す夫人。
その後トニーはシモン卿と弁護の方向性について話し会います。パラダイン大佐の自殺も視野に入れ、大佐と常に行動を共にしていた使用人のラトゥールの自殺ほう助の線を決めつけるトニー。
シモン卿に決めつけは早いと諌められても突っ走っていくトニー。
こんな美しい人が犯人であるわけがなうという勝手な思い込みが、冷静な判断を失わせ事件を思わぬ方向にミスリードして行きます。
そして事件の真相は?
誰が誰に恋しているのか?
事件は法廷へ
イギリス法廷は現代でもカツラが義務です。
スタッフ・キャスト
アルフレッド・ヒッチコックが大物プロデューサー、デヴィッド・O・セルズニックの元で監督しアカデミー作品賞を受賞した1940年の「レベッカ」からセルズニックとの最後の仕事がこの1947年の「パラダイン夫人の恋」。興行的にも評価も今一だったのとアリダ・ヴァリの英語に訛りがあり彼女の魅力を引き出しきれなかったようです。
イタリア出身の女優アリダ・ヴァリは当時デヴィッド・O・セルズニックと契約し、ハリウッド映画に進出しようとしていました。結局ハリウッドでは大成功することは出来ませんでしたが、欧州映画と言えばこのお方ではないでしょうか!
2000年のジョゼッペ・トルナトーレ監督の映画「マレーナ」で主人公の少年がレコード店に行って
フンガフンガフーン フンガフンガフーン
と歌ってこの曲は誰の歌?と尋ねると
客たちが一斉に「アリダ・ヴァリよ!」「アリダ・ヴァリ!!」と言われると言うシーンがありました。
戦中のアリダ・ヴァリはその頃のイタリアでアイドル的存在だったそう。
「パラダイン夫人の恋」では26歳くらいですがどう見ても30代以上に見えます。目力がやたら強くクールな表情は、1949年の「第三の男」で存分に発揮されていました。その後1954年のルキノ・ヴィスコンティ監督の「夏の嵐」ではファーリー・グレンジャーと恋に落ちる伯爵夫人を演じ、1961年のアンリ・コルピ監督の「かくも長き不在」で夫の帰りを待つカフェのおかみさんを演じ、多くの文芸映画に出演。中年になっても老年になっても長く活躍されておりました。
特に、お年を召されていてもその爛々とした力強い瞳はホラー映画では持ってこい!
1977年のダリオ・アルジェント監督のイタリアン・ホラーの傑作「サスペリア」でバレエ学校の主任教師タナー女史を演じておりました。
トニーの妻を演じていたイギリス人女優アン・トッドは、この後イギリスの巨匠デヴィッド・リーン監督と結婚。1950年に監督の映画「マデリーン 愛の旅路」に主演しております。離婚後も1961年のイギリス映画「恐怖」の継母役などなかなか良作に出演されていました。
ヒッチ先生登場シーン
カンバーランド駅から楽器を抱えてグレゴリー・ペックと一緒に出てくる。
まとめ
勝手に惚れられて地獄行き
コメント