豪邸にはプールがつきものですかね〜
[原題]The Moving Target
[製作年]1966 [製作国]アメリカ
[日本公開]1966
[監督]ジャック・スマイト
[原作]ロス・マクドナルド
「The Moving Target」
[脚本]ウィリアム・ゴールドマン
[音楽]ジョニー・マンデル
[上映時間]121
主な登場人物
ルー・ハーパー(ポール・ニューマン):
元検事の私立探偵。妻とは別居し離婚調停中で未練たらたら。友人弁護士アルバートの紹介で行方不明になっているサンプソンの捜索を始める。
エレイン・サンプソン(ローレン・バコール):
サンプソン夫人。行方不明だという夫を探してほしいとハーパーに依頼する。ミランダは前妻の娘。
その他の登場人物
アルバート・グレイブス(アーサー・ヒル):ルーの友人の弁護士
ミランダ・サンプソン(パメラ・ティフィン):サンプソンの娘、夫人は継母。
アラン・タガート(ロバート・ワーグナー):サンプソンのお抱えパイロット
スーザン(ジャネット・リー):ルーの妻、離婚調停中
フェイ・エスタブルック(シェリー・ウィンタース):落ちぶれた女優
ベテイ・フレイリー(ジュリー・ハリス):ピアノバーの歌手
ドワイト・トロイ(ロバート・ウェッバー):フェイの夫
保安官(ハロルド・グールド):間抜けな保安官
あらすじ
私立探偵のルーは妻と離婚調停中。その日は検事時代からの友人で弁護士のアルバートの紹介で、サンプソン夫人の豪華な邸宅に出向いた。夫人は夕べから帰らなくなったサンプソン氏とその連れを見つけ出して欲しいと言う。パイロットであるアランに詳しいことを聞けという。屋敷から妻のスーザンに電話をかけ、調停にいけなくなったと連絡するが、スーザンはどうしても離婚したい会いしないとまくし立てる。プールに行くと娘のミランダとアランがいちゃついていた。水着の若い娘ミランダは狂ったように踊り、継母のシンプソン夫人はやることが極端だと呆れ気味。アランが言うには氏はロスに向かったという。アランと一緒にフィリックスという告げ口屋の運転でロスに向かう車の中、アランはミランダとは関係なく他に決めた女がいるという。ミランダは氏が決めた相手が気に入らず親子関係がギクシャクしていたと言う。その相手がミランダとはだいぶ年の離れたルーの友人アルバートだった。すぐにアルバートの事務所に向かったルーは、シンプソンが金の盲者でパイロットの息子を亡くしてからおかしくなったと聞かされる。パイロットのアランは息子の身代わりのようなものだったと。アルバートは年甲斐もなくミランダに夢中だと言い、ルーは報酬の上乗せを頼む。その後ミランダも加わりアランと3人でシンプソン氏のバンガローに向かう。派手な寝室に入ったルーにミランダが誘ってくるがうまくかわす。寝室にあったのは女優フェイの若い頃の写真だった。今はただのデブだという彼女に会いにバーへ。常に食べてばかりの落ちぶれたおばさん女優のフェイは氏とはただの友人で部屋の装飾を手伝っただけだと言い最近氏は頭がイカれて来たのだと話す。そこにミランダとアランが現れ、夫人から電話がありシンプソン氏から手紙が来たのだという。そこにはアルバートに50万ドル用意させろと書かれていた。
どんな映画?
アメリカのハードボイルド作家ロス・マクドナルドが1949年に発表した探偵のルー・アーチャーシリーズ第一弾の映画化になります。
妻と別居し離婚調停中の探偵ルー・ハーパー
検事時代の友人である弁護士のアルバートから
紹介を受け向かったのはサンプソン氏の豪邸
美熟女サンプソン夫人は行方不明になった
サンプソンを探して欲しいと依頼。
一方 広大な邸宅内のプールで狂ったように
踊る若い娘ミランダ。
彼女はサンプソン氏の娘ですが夫人は後妻で
血は繋がっていません。
一緒にいるアランはイケメンパイロットだが
ゴロツキ風。
アランとミランダはできているのかな〜と
思っているとアランにはちゃんと心に決めた
女がいるし、ミランダにはサンプソン氏が決めた
婚約者がいるという。
その婚約者が何とアルバート!?
ずいぶん年が離れてないかい?
まあ いーかとサンプソン氏が使っていた
サンプソンの部屋に向かうのですが…
ポール・ニューマンは年とった方がかっこいい!
何と言っても見どころの一つはローレン・バコールを筆頭に豪華出演陣。
このローレン・バコールの役回りは、かつて夫であったハンフリー・ボガートとローレン・バコールが出演した名作フィルム・ノワール「三つ数えろ」(1946年)のオマージュとして、私立探偵フィリップ・マーロウに人探しを依頼するスターンウッド将軍に当たるとされています。
主人公の名前は原作ではルー・アーチャーでしたが、ルー・ハーパーに変更されています。原題もハーパーとなっております。
この映画は大ヒットし、脚本を担当した巨匠ウィリアム・ゴールドマンのキャリア開始の狼煙となりました。
続編に同じくポール・ニューマン主演で「続・動く標的」(1975年)があります。こちらは1950年に発表されたルー・アーチャーシリーズ第二弾「魔のプール」を原作にして、ポール・ニューマンの愛妻ジョアンナ・ウッドワードと共演しています。また、ティッピ・へドレンの娘メラニー・グリフィスがティーンエージャーで出演しています。
スタッフ・キャスト
監督のジャック・スマイトはアメリカ合衆国の映画監督。ロッド・スタイガーが変態殺し屋を演じてカルト的人気のある「殺しの接吻」(1968年)、同じくロッド・スタイガー主演で「いれずみの男」(1969年)、「エアポート’75」(1974年)など中々のラインナップの監督さんです。
脚本は小説家兼脚本家の巨匠ウィリアム・ゴールドマン。自ら原作脚本を担当した作品に、ダスティン・ホフマン主演の「マラソンマン」(1976年)、先日アカデミー賞主演男優賞を受賞したアンソニー・ホプキンス主演の「マジック」(1978年)があります。また脚本では「動く標的」を皮切りに「明日に向かって撃て!」(1969年)、「ステップフォードの妻たち」(1975年)、「大統領の陰謀」(1976年)、「遠すぎた橋」(1977年)、ローレン・バコールも出演していた「ミザリー」(1990年)などサスペンスの名作揃いです。
中年イケオジ探偵を演じたのは40代に差し掛かったポール・ニューマン。アメリカ合衆国のスターでありレーサーであり愛妻家でありドレッシング販売の実業家といくつもの顔を持つお方。60年代の活躍は目覚ましく、代表作の一つである「ハスラー」(1961年)、隠れた名作とされる「ハッド」(1963年)など評価の高い作品に出演。「動く標的」は大ヒットし、同年にはヒッチコック監督のスパイサスペンス「引き裂かれたカーテン」に主演。翌年の1967年にはカルト的人気がある「暴力脱獄」に主演。60年代の締めくくりにアメリカン・ニューシネマ代表作の一つ、「明日に向かって撃て!」(1969年)に主演し、名実ともに不動のものとなりました。
バーの歌手ベティを演じたのがジュリー・ハリス。ジェームズ・ディーンと共演した「エデンの東」(1955年)が代表作となりますが、1963年に「たたり」で館によって精神不安定に陥るオールドミスを熱演。「禁じられた情事の森」(1967年)にはエリザベス・テイラーに夫を寝取られる妻役など、この映画でもそうですが可哀想な役が多かったです。
サンプソン氏の娘役を演じたパメラ・ティフィンはビリー・ワイルダーのコメディ映画「ワン・ツー・スリー」(1962年)に出演、また同年に出演したテネシー・ウィリアムズの戯曲を映画化した「肉体のすきま風」(1961年)ではゴールデングローブ賞の新人女優賞にノミネートされています。かなーり期待されていた美人女優さんでしたが、その後はイタリアに渡りフランコ・ネロ主演の「新・殺しのテクニック」(1970年)などに出演し活躍の場をイタリアに移し昨年お亡くなりになられています。
サンプソン夫人を演じたローレン・バコールや、度々登場でこの頃同じような中年女性ばかり演じていたシェリー・ウィンタース。「サイコ」(1960年)に元祖絶叫女王に輝いたジャネット・リーなど豪華女優陣が脇を固めております。
まとめ
妻に未練たらたらで地獄行き
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