先が見えない今日この頃
今年もなりゆき任せで
生きていこうと思います。
[原題]The Man Who Knew Too Much
[製作年]1955[製作国]アメリカ
[日本公開]1956
[監督・製作]アルフレッド・ヒッチコック
[原案]チャールズ・ベネット/D・B・ウィンダム・ルイス
[脚本]ジョン・マイケル・ヘイズ/アンガス・マクファイル
[撮影]ロバート・バークス
[作詞・作曲]ジェイ・リビングストン&レイ・エヴァンス
「ケ・セラ・セラ」
[音楽]バーナード・ハーマン
[上映時間]120
主な登場人物
ベンジャミン・マッケンナ(ジェームズ・ステュアート):
愛称ベン、アメリカ人外科医。パリの学会に参加した後妻子と共にモロッコに立ち寄る。
ジョセフィン・コンウェイ・マッケンナ(ドリス・デイ):
愛称ジョー、ベンの妻。結婚前は舞台女優として活躍していた。
その他の登場人物
ルイ・ベルナール(ダニエル・ジェラン): バスの中で出会うフランス人、実は諜報員
ブキャナン警視(ラルフ・トルーマン): スコットランドヤードの刑事
シンディ・フォンテーヌ(キャロリン・ジョーンズ):ジョーの友人
エドワード・ドレイトン(バーナード・マイルズ): ホテルで出会うイギリス人夫妻。
ルーシー・ドレイトン(ブレンダ・デ・バンジー):エドワードの妻。
指揮者(バーナード・ハーマン):ロイヤル・アルバート・ホールで指揮
あらすじ
アメリカ人医師のベンは妻のジョーと息子のハンクを連れてパリでの学会の後、フランス領モロッコにやって来ていた。バスの中でハンクがよろけたはずみで座っていた現地の夫人のベールを剥ぎ取ってしまう。怒った夫人の夫はハンクにひどく巻くし立てたが、ある男がが仲裁に入ってくれた。男はルイ・ベルナールと名乗り、人のいいベンは自分が医師であることや住んでいる場所など個人情報をペラペラ話し、後で一緒に食事の約束をして別れた。妻のジョーはルイがバスの中にいたアラブ人と話しているのを見かけ、訝しがる。ホテルに到着した一家だったが、すれ違った夫婦にジョーは何だかジロジロ見られているような気がしていた。部屋に入りレストランに行くため着替え、ジョーは「ケ・セラ・セラ」を歌いながらハンクを寝かしつける準備をしていた。夕食の約束をしていたルイはジョーの歌声を誉めた。ジョーは歌手として活躍し舞台にも出演していたが結婚してからは休業していた。彼のことを聞き出すが、なんとなくはぐらかされ、そこに男が訪れ「モンゴメリーさんの部屋ですか?」と尋ねた。ルイは人違いだとあしらい、急に電話を借りたいと言い急用ができたと言って帰ってしまった。二人でレストランに行くと、後ろにさっきジロジロ見てきた夫婦がいたが、突然ジョーたちにドレイトン夫妻と名乗り、ロンドンで舞台を観たことがあると話しかけ、一緒のテーブルで食事をすることになった。そんな中ルイが女性同伴でレストランを訪れるのを見て不快に思う。ドレイトン夫妻は明日一緒に市場に行こうと誘ってくれたので一緒に行くことにする。ハンクもすっかりドレイトン夫人に慣れ市場で楽しんでいたが、白い装束の男が警察に追われている所に出くわす。男はもう一人の男に背中をナイフで刺され、異変に気づいたベンが近づくと男は顔を黒く塗ったルイだった。ルイはベンの耳元でロンドンで政治家の暗殺計画があり、ロンドンに言って警告をしてほしいと囁く。最後にアンブローズ・チャペルと言い残してコト切れてしまった。ベンはすぐさまルイの残した言葉をメモに取った。
どんな映画?
アルフレッド・ヒッチコック監督が1934年にイギリスで発表した映画「暗殺者の家」のセルフリメイクになります。ジェームズ・ステュアートが主演し、ドリス・デイが劇中で歌った主題歌「ケ・セラ・セラ」はアカデミー賞歌曲賞を受賞しました。
アメリカ人外科医のベンは
妻で歌手のジョーと一人息子のハンクと共にパリでの学会の帰り
観光でフランス領モロッコにやってきます。
モロッコはフランス領でしたが1956年には
フランスから独立しています。
バスの中でハンクを助けれくれた男はルイと名乗り
ベンのことを根掘り葉掘り聞いてきます。
ホテルに着いたら一緒に食事をしようと約束して別れますが
能天気に個人情報をベラベラ喋るベンと違い
妻のジョーはこのルイを何だか怪しいと思っています。
ジョーはロンドン公演もこなした人気歌手でしたが
ベンと結婚し半分引退同然でした。
ホテルでルイと約束していたのにすっぽかされ
納得いかない夫妻でしたが
イギリス人夫婦のドレイトン夫妻が
ジョーのファンだと話しかけてきます。
すっかり打ち解けベンとジョーは翌日
ドレイトン夫妻に誘われて市場に出かけます。
そこで殺人事件に遭遇!!!
背中をナイフで刺された男はアラブ人に変装していたルイでした。
近寄ったベンにルイは要人の暗殺計画と
「アンブローズ・チャペル」
と言い残して亡くなります。
ベンは某国の要人暗殺計画に巻き込まれるのでした。
誘拐されたハンクに電話口で話しかけるベンとジョーのマッケンナ夫妻。
主演のジェームズ・ステュアートは1948年の「ロープ」、1954年の「裏窓」から三本目のヒッチコック作品への出演となり、1956年にリリースされた映画で最も興行的に成功した映画になりました。 1934年にイギリスで成功を収めた「暗殺者の家」ではピーター・ローレが悪役を演じ舞台はスイスで、誘拐されるのは息子ではなくもうちょっと大きい娘でした。今作では、だいぶ脚本がアレンジされ、されに異国情緒あふれるロケいーションと息子を想う母親の気持ち、夫婦の協力、オーケストラのクライマックスのシンバル、ドリス・デイの歌など初期の頃からより熟練されてきたエンターテイメント性を遺憾なく発揮された作品となりました。 ドリス・デイが歌う主題歌の「ケ・セラ・セラ」はこの映画のラストの見せ場でもあり、息子に呼びかけるために、はち切れんばかりの声量で歌うドリス・デイに感動すら覚えます。
ロイヤル・アルバート・ホールの指揮者としてバーナード・ハーマンがカメオ出演されています。バーナード・ハーマンが映画に出演したのはこの映画だけだそうなので貴重な映像です。
スタッフ・キャスト
脚本はアメリカ合衆国出身のジョン・マイケル・ヘイズ。アルフレッド・ヒッチコック監督の4作品、「裏窓」(1954年)、「泥棒成金」(1955年)、「ハリーの災難」(1955年)、そしてこの「知りすぎていた男」(1956年)と立て続けに脚本を担当し成功を収めました。1957年にはマーク・ロブソン監督、ラナ・ターナー主演の「青春物語」を脚本、内容は不評でしたが1960年の「バターフィールド8」ではエリザベス・テイラーがアカデミー賞主演女優賞を獲得しています。また、翌年にはウィリアム・ワイラー監督オードリー・ヘプバーン主演の映画「噂の二人」(1961年)の脚本、「僕は御免だ」(1959年)でも出演したキャロル・ベイカーが伝説のハリウッド女優ジーン・ハーローを演じた伝記映画「ハーロー」(1965年)などの脚本を担当し、女優を引き立たせるメロドラマを得意とした脚本家でした。
ベンの妻ジョーを演じたのがアメリカの女優で歌手のドリス・デイ。1942年に歌った「センチメンタル ジャーニー」が全米No.1ヒットを記録。1950年に主演、劇中で歌った主題歌もヒットした「二人でお茶を」の映画に出演。1953年に出演したミュージカル西部劇「カラミティ・ジェーン」で主役のカラミティ・ジェーンを演じまたもや大ヒットを記録しています。そしてこの「知りすぎていた男」に出演、同年には航空フィルムノワールとして知られている「影なき恐怖」に出演。1959年にロック・ハドソンと初共演した「夜を楽しく」に出演、その後ロック・ハドソンとは「恋人よ帰れ」(1961年)、「花を贈らないで!」(1964年)で共演しています。映画は1968年を最後に引退、その後はテレビに活躍の場を移し「ドリス・デイ・ショー」などに出演されていました。
殺されるフランス人を演じたダニエル・ジェランはフランスの俳優。1955年にアンリ・ヴェルニイユ監督、フランソワーズ・アルヌール主演の「過去をもつ愛情」で妻を殺害する男で主演しています。ブリジット・バルドー主演の「裸で御免なさい」(1956年)やルネ・クレマン監督の「パリは燃えているか」(1966年)など多くのフランス映画に出演しています。また、「ラストタンゴ・イン・パリ」(1972年)に出演して有名になったマリア・シュナイダーはこの方の娘さんになります。
ジョーの友人役で登場したキャロリン・ジョーンズは「肉の蝋人形」(1953年)で蝋人形にされてしまう友人役を演じ、ドン・シーゲル監督の「ボディ・スナッチャー」(1956年)でも友人夫婦役で登場しております。
ヒッチ先生登場シーン
モロッコの市場で曲芸を見物しているマッケンナ夫妻の左端からひょっこり出てくる後頭部が薄いスーツのお方。
まとめ
旅行先で地獄行き
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