真実はいつも一つ。
って誰かが言っていますよ。
[原題]Sergeant Rutledge
[製作年]1960[製作国]アメリカ
[日本公開]1960
[監督]ジョン・フォード
[製作・脚本]ウィリス・ゴールドベック
[製作]パトリック・フォード
[撮影]バート・グレノン
[音楽]ハワード・ジャクソン
[上映時間]111
主な登場人物
ブランクストン・ラトレッジ(ウディ・ストロード):
バファロー・ソルジャーと呼ばれる黒人部隊の軍曹。正義感が強く
カントレル中尉(ジェフリー・ハンター):
ラトレッジの弁護をすることに。
メアリー・ビーチャー(コンスタンス・タワーズ):
久しぶりに故郷に戻って来た女性。証言者としてラトレッジの裁判に立つことに。
その他の登場人物
コーデリア・フォスゲート夫人(ビリー・バーク):議長であるフォートゲート大佐の妻
あらすじ
別名バッファロー・ソルジャーと呼ばれる黒人部隊、第九騎兵隊の兵士ラトレッジ軍曹が白人の少佐と、その娘の強姦殺人で有罪となった。弁護をカントレル中尉が行い、軍事法廷で答弁が行われた。黒人が白人を殺害したとあっては免れようもなく縛り首だった。有罪を主張する検察に対し、ラトレッジははっきりと無罪を主張した。まず検察側の証言として、弁護側の証人でもあるメアリーが証言席に座った。彼女は父のビーチャー氏と会うため、12年ぶりに東部から故郷のアリゾナに帰る途中の汽車の中でカントレル中尉に会った。スピンドル駅に着き、メアリーと中尉は別れた。駅に降りるが父はおらず、駅員室に入ると駅長は矢で殺されていた。驚いたメアリーが外に飛び出すと黒人兵士に口を塞がれ、この辺にアッパチが来ていて危険だとつげる。兵士はラトレッジで、アパッチを二人殺害し二人は駅員室に入った。ラトレッジは銃で撃たれ負傷していた。手当しようとするメアリーを白人と黒人が一緒にいるのはまずいと遠ざけようとする。そして次に証言席にたったのは議長の大佐の妻で殺害された少女ルーシーとは懇意にしていた。事件当日ハブルの雑貨店でルーシーと会い、ラトレッジやハブルの息子と会話をしラトレッジと馬で出ていき、夫人はその後自宅で銃声を聞き、家からラトレッジが出てきたのを見たというのだ。
どんな映画?
この映画は1960年代に西部劇で白人少女のレイプ殺人という非常に重たい題材を扱っています。
1881年のアメリカ合衆国陸軍南西地区本部。
お偉方のご婦人が注目する裁判が始まります。
直前に到着した弁護人のカントレル中尉にとって非常に気が重いものでした。
何故なら容疑者として出廷したのは
第九騎兵隊の黒人兵士ラトレッジ軍曹だったからです。
傍聴人が縛り首にしろと罵る中
カントレルの提案により関係者以外を全員退廷させることに。
そして法廷に残されたのは
証人の若い娘メアリーでした。
罪状があまりにも残酷なものだった
ため内容が省略され認否が問われる中、ラトレッジ軍曹の回答は
「無罪」
というものでした。
弁護側の証人として出廷していた
メアリーでしたが、
まず検察側の承認として証言台に、
彼女の口から事件の前の状況が語られるのですが…
バッファロー・ソルジャーは雪の日にバッファローの毛皮をきこんで向かってきた隊を先住民がバッファローそのものだと言ったことからだと映画の中で述べられています。
南北戦争中に北軍の黒人部隊として結成された第10騎馬連隊、第9騎馬連隊のニックネームとして使用されたそうです。この当時連隊の主な任務はアパッチ対策でした。
この映画で、黒人軍曹であるラトレッジにかけられた容疑は白人の少佐殺害と、その娘の暴行殺人と非常に重いものでした。特に少女は殴られ暴行された上に絞め殺されるという非常に猟奇的で、彼女がいつも身につけていた金の十字架が首からちぎり取られているという変質者の犯行と思われます。
この頃黒人による白人の殺害は容疑がかかっただけでも危険なもの。そこに白人のカントレル中尉、メアリーが差別や偏見に囚われず、ラトレッジの弁護に当たるのでした。異色西部劇として見応え充分かと思われます。
脇には「オズの魔法使いで」(1939年)に北の良い魔女を演じて有名なビリー・バークが出演。この映画が最後の出演作となりました。
スタッフ・キャスト
監督は西部劇の神様ジョン・フォード。1939年に西部劇映画の金字塔「駅馬車」を発表。この映画でジョン・ウェインがジーパン履いてるのが印象的でした。その後OK牧場の決闘を題材にしたヘンリー・フォンダ主演の「荒野の決闘」、個人的には西部劇の最高傑作と思っているこの作品は地球人なら必見の映画です。その後もジョン・ウェインを多用し「逃亡者」(1947年)、「三人の名付親」(1948年)、運動会で必ず流れる楽曲「黄色いリボン」(1949年)、「捜索者」(1956年)、「奇兵隊」(1959年)など数々の西部劇映画を監督。この「バファロー大隊」はその中の一本に当たるのですが、少し異色の法廷ドラマでもあります。
アカデミー賞では「男の敵」(1935年)、「怒りの葡萄」(1940年)、「我が谷は緑なりき」(1941年)、「静かなる男」(1952年)の4本で監督賞を受賞。4度の受賞は史上最多記録になりますが、いずれも西部劇じゃありません。当時B級だと見なされていた西部劇の地位を上げた人物でもあります。
クレジットはジェフリー・ハンターより下ですが実質的主人公のウディ・ストロード。アメリカ映画界で黒人男優の父と言われるストロード。その端正な顔立ちと完璧な肉体。とにかく体がすごい!この映画の同年に出演したスタンリー・キューブリック監督の「スパルタカス」では、剣闘士を演じその素晴らしい肉体を披露しております。その後は西部劇やパニック映画など様々な映画に出演し活躍されました。
正義感溢れる白人カントレル中尉を演じたジェフリー・ハンターは当時正統派二枚目俳優としてアイドル的人気を集めていました。1956年にジョン・フォード監督の「捜索者」に出演。インディアンに連れ去られた姪を探すジョン・ウェインと行動を共にする青年を演じています。残念ながら1969年に42歳の若さで亡くなられていいます。
ヒロインのメアリーを演じたコンスタンス・タワーズ。1959年にジョン・フォード監督の「奇兵隊」に出演。ブロンドの髪に涼しい目元が特徴の美人です。その後サミュエル・フラー監督の実験的映画「ショック集団」(1963年)に出演、翌年には同じくフラー監督が彼女を全面的に押し出した問題作「裸のキス」に主演します。この映画の冒頭でいきなり丸刈り頭で登場、情夫をぶち殺すというヒロインらしからぬ登場シーンで度肝を抜かれる映画でした。60年代後半からはブロードウェイ出演に力を入れ映画にはあまり登場しなくなりましたが、現在でもテレビや脇役などで活躍されていらっしゃいます。
まとめ
変態殺人犯は当然地獄行き
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