ジョン・ドゥ事件「セブン」

サスペンス

肉欲以外全ての大罪を犯している
ような気がします。

[原題]Se7en
[製作年]1995[製作国]アメリカ
[日本公開]1996
[監督]デヴィッド・フィンチャー
[脚本]アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
[製作]アーノルド・コペルソン/フィリス・カーライル
[撮影]ダリウス・コンジ
[編集]リチャード・フランシス=ブルース
[音楽]ハワード・ショア
[主題歌]デヴィッド・ボウイ
    「ハーツ・フィルシー・レッスン」
[上映時間]127

主な登場人物

ウィリアム・サマセット部長刑事(モーガン・フリーマン):
殺人課のベテラン刑事。知的で冷静。独身。1週間後に定年退職を控えていた。

デイヴィッド・ミルズ刑事(ブラッド・ピット): 新任の若手刑事。短絡的で頭で考えるよりすぐ行動に出るタイプ。美しい妻トレイシーがいる。

その他の登場人物

トレイシー・ミルズ(グウィネス・パルトロー):ミルズの妻。元教師。
ジョン・ドゥ(ケヴィン・スペイシー):連続殺人犯
警部(R・リー・アーメイ):分署長
テイラー刑事(ダニエル・ザカパ)
マーティン・タルボット地方検事(リチャード・ラウンドトゥリー):黒人検事
マーク・スワー弁護士(リチャード・シフ)
カルフォルニア(ジョン・C・マッギンリー):SWATチームのリーダー
ワイルド・ビル(マーティン・セレン):皮革店の店主
風俗店にいた客(リーランド・オーサー):拘束着を着けられた被害者
風俗店の受付(マイケル・マッシー):客と一緒に事情聴取される
グールド夫人(ジュリー・アラスコグ):被害者の弁護士の妻

あらすじ

定年退職を控えたベテラン刑事のサマセットは、殺人現場で新任の若手刑事ミルズから挨拶を受ける。あと7日間と引き継ぎ期間が短い分、手柄を焦るミルズにサマセットは黙って見ていろと指示するだけだった。月曜日妻トレイシーと就寝していたミルズは、電話で起こされすぐに現場に向かった。その遺体は、スパゲティの中に顔を埋めたまま窒息死していた。サマセットとミルズが、巨漢の遺体のある暗い部屋に入って捜査を開始。検死の結果、遺体は頭に拳銃を突きつけられて、バケツを置いて延々12時間食べるように脅迫、気を失ったところを蹴られ内臓破裂させた殺人事件と断定した。動機がはっきりしない猟奇殺人に、また殺人事件が起こると感じたサマセットは分署長に、定年前の死後じゃないと担当を替えて欲しいと言うが、あと6日でなんとかしろと言い、逆に勇足のミルズを担当から外した。火曜日、グールド弁護士が殺害される。現場となった事務所では絨毯に血文字で「強欲」と書かれ、妻と見られる写真には目の部分が血で塗りつぶされていた。ミルズが捜査担当官になったが、心配した分署長はサマセットに協力を要請するがもううんざりだと取り合わない。署長は肥満男の胃の中から取り出された物を置いていった。無理やり飲み込まされた何かの破片で、再び被害者の家に行ったサマセットは冷蔵庫の裏に、脂で「大食」と書かれ、さらに貼ってあるメモを見つけた。メモには「地獄より光に至る道は長く険しい」とミルトンの「失楽園」の一節だった。サマセットはこれは「大食、強欲、怠惰、憤怒、高慢、肉欲、妬み」の7つの大罪を模した、連続殺人事件だと断定した。あと5件の殺人が起きるだろうと予測するサマセットだったが、事件の担当は断固として拒否した。一方、野心家のミルズは事件に対して意欲的だった。その夜サマセットは図書館で調べ上げた資料をミルズの机の上に置いて帰った。水曜日、ミルズが警察署の部屋に行くとまだサマセットおり、ミルズが電話に出るとミルズの妻トレイシーからの電話で、サマセットに代わって欲しいと言う。ルイーズは、サマセットを夕食に誘った。ミルズの自宅にやってきたサマセット。ミルズとルイーズは、高校からの交際を経て結婚しという。一方サマセットは独身だった。

どんな映画?

キリスト教の「7つの大罪」を元に、デヴィッド・フィンチャー監督が映画化。定年間近と言う設定でモーガン・フリーマンと若手刑事役のブラッド・ピットを主演に、当時まだ注目されていなかったグウィネス・パルトローが共演しています。

月曜日
定年退職まであと7日と迫った
ベテラン刑事サマセット
後任にやって来たのは
若手刑事のミルズ
すぐに実績が欲しいと前のめり
自宅でかなり太った男が
スパゲティの中に顔を埋めた
状態で死亡

検死の結果 
男は銃を突きつけられながら
延々にスパゲティを
食べるように強要され
蹴られ内臓破裂で死亡した
殺人事件と判明します。

定年前の事件にしては重すぎ

とサマセットは署長に
訴えますが
6日で何とかしろ!と

火曜日
弁護士が殺害され
ミルズが現場に向かうと
事務所の絨毯に血で
「強欲」
と書かれていました。

なんか連続殺人事件っぽいー

ジョン・ドゥが証言する場所に連れて行かれるサマセットとミルズを待っていたのはー

ジャンル的には、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」や、横溝正史の「悪魔の手毬唄」のような、童謡や聖書などの筋書き通りに事件が怒る、いわゆる見立て殺人を扱っているものなのですが、この映画は犯人の動機が判然としない、猟奇的快楽殺人鬼を追う映画となっております。

ウィリアム・サマセットは脚本担当のアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーの好きなサマセット・モームから取られてそうで、本編の中にもサマセット・モームの著書「人間の絆」が登場しています。この原作を映画化したのがベティ・デイヴィス主演の「痴人の愛」(1934年)になります。

銀残しという手法を使っているため、全体的に暗い印象ですが、映像の不穏感が如実に出ています。 もうすぐ引退というサマセットが、今までどんなに凄惨な現場を目撃してきたのか想像に難くなく、こんな酷い世の中に子供を生む不安があったと吐露しています。 映画「群集」(1941年)でも登場しますが、「ジョン・ドゥ」は明らかに偽名で犯人の素性も人物像も映画の中では描かれておらず、犯行動機も判然としません。 映画は大ヒットしましたが、救いようのない展開に落ち込んでいる時の視聴は、あまりおすすめできない映画です。ただ、実際の猟奇殺人事件の顛末を見たようなカタルシスが残ります。

スタッフ・キャスト

監督はアメリカ合衆国出身のヒットメーカー、デヴィッド・フィンチャー。ミュージック・ビデオの監督などを経て1992年にご自身の黒歴史「エイリアン3」で映画監督デビュー。苦い経験からしばらく映画製作から離れた後満を持して「セブン」(1995年)監督。この映画が予想以上の大ヒット。1997年にマイケル・ダグラス主演の悪趣味サスペンス映画「ゲーム」を監督。再びブラッド・ピットとエドワード・ノートンを主演にした「ファイト・クラブ」(1999年)、ジュディ・フォスター主演、小役時代のクリステン・スチュワートが出演した「パニック・ルーム」(2002年)、実在の未解決事件をサスペンスフル、ジェイク・ギレンホール主演の「ゾディアック」(2006年)、ブラッド・ピット3度目の起用し、若返る特殊メイクが話題になったロマンス・ファンタジー「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(2008年)、Facebookで時代の寵児になっていたマーク・ザッカーバーグの創業秘話を元にした青春映画「ソーシャル・ネットワーク」(2010年)、スウェーデン産の世界的ベストセラー「ミレニアム」の映画版「ドラゴン・タトゥーの女」(2011年)、ベン・アフレック、ロザムンド・パイク主演のミステリー映画「ゴーン・ガール」(2014年)、監督の実父ジャック・フィンチャーの脚本を、ゲイリー・オールドマン主演で映画化「Mank/マンク」(2020年)、こちらはジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督の実弟であり、オーソン・ウェルズ監督の「市民ケーン」(1941年)の共同脚本で知られるハーマン・J・マンキーウィッツの伝記映画となっております。Netflix配信となっており、こちらで「ハウス・オブ・カード 野望の階段」(2013年~2018年)の製作総指揮を担当されています。

定年退職間近の刑事サマセットを演じたのはベテラン俳優モーガン・フリーマン。1964年にシドニー・ルメット監督の社会派映画「質屋」で、エキストラ出演。その後脇役が続きますが、1989年にウォルター・ヒル監督、ミッキー・ローク主演の「ジョニー・ハンサム」で、刑事役で出演。同年にエドワード・ズウィック監督の戦争映画「グローリー」(1989年)、この映画は南北戦争時に実在した黒人部隊を描いたものです。さらにモーガン・フリーマンを有名にしたのが、ブルース・ベレスフォード監督のヒューマンドラマ「ドライビング Miss デイジー」(1989年)で、ジェシカ・タンディ演じるユダヤ人老女の運転手役でした。1990年のブライアン・デ・パルマ監督の「虚栄のかがり火」でも刑事役を演じています。1992年にクリント・イーストウッド監督のリメイク西部劇「許されざる者」に出演。そして、1994年にフランク・ダラボン監督、スティーヴン・キング原作の「ショーシャンクの空に」に重要な役所で出演。この映画は、現在では度々上位にランキングされる程名作映画とされています。1997年にサスペンス映画、ゲイリー・フレダー監督の「コレクター」に主演。この映画で犯罪心理学者兼警官のアレックス・クロス博士を演じ、シリーズ化し、リー・タマホリ監督の「スパイダー」(2001年)でも同役を演じています。1998年のミミ・レダー監督の「ディープ・インパクト」では、大統領役を演じています。2004年に出演した、クリント・イーストウッド監督の「ミリオンダラー・ベイビー」では、クリント・イーストウッド演じるダンの友人役を演じ、アカデミー賞助演男優賞を獲得しています。2007年にロブ・ライナー監督のヒット作ハートフル友情映画「最高の人生の見つけ方」に、ジャック・ニコルソンと共に主演で出演されています。現在、80代後半に差し掛かり、近年ではナレーターやご本人役でご出演も多いですね。

まとめ

7つの大罪ショーで地獄行き

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