ピーピング・ジェフ「裏窓」

サスペンス

いくら外に出られないからといって
のぞきはいけません。

[原題]Rear Window
[製作年]1954[製作国]アメリカ
[日本公開]1955
[監督]アルフレッド・ヒッチコック
[原作]ウィリアム・アイリッシュ(コーネル・ウールリッチ)
[脚本]ジョン・マイケル・ヘイズ
[音楽]フランツ・ワックスマン
[上映時間]112

主な登場人物

右 L・B・ジェフリーズ(ジェームズ・スチュアート): カメラマン。ただ今足を骨折し絶賛自宅待機中。
左 リザ・フレモント(グレース・ケリー): ジェフの彼女、モデル。金持ちで美人、行動力あり。

ステラ(セルマ・リッター):
ジェフの面倒をみる看護師。

その他の登場人物

ラース・ソーウォルド(レイモンド・バー): 怪しい向かいの住人
トーマス・ドイル警部補(ウェンデル・コーリイ): 友人

あらすじ

カメラマンのジェフはレース中の事故を撮影中、自分も負傷し左足を骨折してしまった。自宅で車いすの生活を余儀なくされ、窓から向かいのアパートの住民たちを眺める毎日を送っていた。一階にはミス・ロンリーと呼んでるオールドミスの一人暮らし、二階には下着姿で踊るダンサーと夫婦仲の悪いセールスマン、最上階は音楽家とベランダで寝て、犬を飼ってる夫婦。彼の面倒を見に来るのはおばさん看護士のステラ。しきりに恋人であるリズとの結婚を勧めてくるが、金持ちで雑誌の表紙を飾るようなリズと貧乏カメラマンの自分とはうまくいかないと思っている。ある夜、女の悲鳴とともにがしゃんという音を聞く。不振に思って窓の外を見るが、雨が振り始める。しばらくすると午前二時前レインコートを着てスーツケースを持ったセールスマンが出て行き、三十分後くらいに戻ってきた。少し眠りこけるとまたセールスマンが部屋に戻ってきたのを見かける。翌日、セールスマンを怪しんだジェフはカメラの望遠レンズを使って彼を観察する。するとキッチンで何本もの刃先の長い包丁を新聞に包むところをみてしまう。その夜リズが会いに来た時、セールスマンが妻をばらばらにしたのではないかと話す。リズは悪趣味だと怒り出すのだが、ジェフを攻め立てた後セールスマンが大きな荷物を荷づくりするのを見て、リズも興味をもってしまい…

どんな映画?

ずーっと家の中にいるとすることなくなりますね〜。
まあ自分みたいなオタクなら家ですること沢山あるので大丈夫なんですが
普通の人は飽きちゃってストレス溜まるでしょうね。

ってなわけで(?)
足を骨折し自宅療養を余儀なくされたカメラマン ジェフはぼーっとアパートの窓から向かいの住人を眺める毎日。

ジェフのケアをする通いの看護師ステラはしきりに
「ピーピングトーム!」
とジェフに犯罪だーとなじります。

ピーピングトムって?
のぞき屋を意味する俗語ですが、あのチョコレートで有名なGODIVAの元ネタになったゴダイヴァ夫人の伝説が元になっています。夫人は領主である夫の圧政を抗議する為に裸で馬に乗り村を横断した逸話があります。この絵がGODIVAのトレードマークですね。んでこの思いを汲んだ村人があえて夫人の姿を見ないようにしていたにもかかわらず、覗き見した男がピーピング・トム伝説となりましたとさ。

のぞきと言うか眺めているというか
そんな状態のジェフでしたが
ある悩みがありました。

彼女がパーフェクトなんです!

そんな彼女リザを演じているのがクールビューティーで名を馳せた伝説的女優のグレース・ケリー

自分とは釣り合わないのではと結婚を躊躇するジェフに対しリザはピンクのネグリジェでガンガン迫ってきます。
昼間は上品で美しい女性が、
夜になるとエロくなる❤️
まさにヒッチ先生のエロチシズムの極み。

リザにたじたじのジェフですがもう一つ記になることが。
向かいの怪しいオヤジの奥さんを急に見かけなくなったのです。

もしかして殺られた?
リザもステラも悪趣味と言いながら次第に引き込まれていくことに…

望遠カメラでのぞきが加速。

限られたシチュエーションで展開する物語は同じくジェームズ・スチュアート主演の「ロープ」にも共通しますが、こちらはグレース・ケリーの美しさも相まってヒットしました。
グレース・ケリーの整った美貌と金髪、上流階級を思わせる佇まい、でも恋多き女という2面性がヒッチ先生の琴線にドンピシャでした。ヒッチ先生の大のお気に入りで、この映画の同年に「ダイヤルMを廻せ!」に出演、翌年には「泥棒成金」に立て続けに出演しておりました。引退してなかったらもっと出演されていたかもしれません。

かなり無理がある展開ですが、最後まで一気に観られるエンターテイメント性はさすがです。ヒッチ先生の代表作の一本です。

1998年にアメリカのテレビ映画でリメイクされています。当時落馬事故で半身不随になっていたクリストファー・リーヴが主演しております。

またブライアン・デ・パルマ監督が1984年に「裏窓」と「めまい」を足して2で割って1にならなかった映画「ボディ・ダブル」を製作しております。
「裏窓」は作家さん達への影響力の強い作品となっております。

スタッフ・キャスト

原作はサスペンス小説の巨匠ウィリアム・アイリッシュ。コーネル・ウールリッチ名義の小説がほとんどですが、日本で有名な「幻の女」がウィリアム・アイリッシュだったのでこのイメージが強いです。映画化作品が多く、トリュフォー監督の「黒衣の花嫁」「暗くなるまでこの恋を」、フィルムノワール では「暁の死線」、「夜は千の目をもつ」、「黒い天使」などがあります。

20世紀のアメリカを代表する俳優の一人ジェームス・スチュアート。ヒッチ先生の作品には1948年「ロープ」に登場し、1954年の「裏窓」、1956年の「知りすぎていた男」、1958年の「めまい」になります。ケーリー・グラントと並びヒッチ先生のお気に入り俳優でしたが、「めまい」がイマイチな出来になってしまったため(現在では傑作とされていますが)、「北北西に進路を取れ」の主演を希望していましたがが叶わなかったとされています。

ヒッチ先生の大好きな女優グレース・ケリー。ヘンリー・ハサウェイ監督のフィルム・ノワール「14時間の恐怖」でスクリーン・デビュー。1952年にゲーリー・クーパーの若い新妻を演じた西部劇の名作「真昼の決闘」に出演。1954年にはビング・クロスビーと共演した「喝采」でアカデミー賞主演女優賞を受賞しています。また同年はトンデモ日本が出てくる「トコリの橋」に出演。この映画は朝鮮戦争のお話ですが中継地として横須賀に上陸、ウィリアム・ホールデンの妻役として日本に来る設定ですが、実際にグレース・ケリーは日本には来ていません。1956年の「上流社会」の出演を最後に女優から引退。年の離れた共演者食いで有名でしたが、モナコ大公レーニエ3世と結婚し現代版シンデレラとして現在でも語り継がれております。女優を辞めた後でもセレブとして何かと注目の的で、妊娠中にお腹を隠したエルメスのバッグがケリーバッグを呼ばれるようになったのはあまりにも有名です。1982年に自動車事故により52歳の若さでお亡くなりになりましたが、今は子孫が美しいすぎると話題ですね〜

いい味出して大活躍だったのがお手伝いさん女優のセルマ・リッター。ジョゼフ・L・マンキーウィッツ監督の「三人の妻への手紙」(1949年)、「イヴの総て」(1950年)に出演しており、「イヴの総て」では助演女優賞にノミネートされました。

ヒッチ先生登場シーン

作曲家がピアノを弾いている後ろで置き時計のネジを巻く。

まとめ

のぞきはあきまへんでで地獄行き

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