真夜中の銃声「ミッドナイトクロス」

サスペンス

事故とか事件が偶然
撮れてしまうのは困りますネ。

[原題]Blow Out
[製作年]1981[製作国]アメリカ
[日本公開]1982
[監督・脚本]ブライアン・デ・パルマ
[製作]ジョージ・リットー
[製作総指揮]フレッド・カルーソ
[撮影]ヴィルモス・ジグモンド
[編集]ポール・ハーシュ
[音楽]ピノ・ドナッジオ
[上映時間]111

主な登場人物

ジャック・テリー(ジョン・トラボルタ):
インディペンデント系のB級映画の音響効果の仕事をしている。音を収集している最中に偶然、発砲音と車が突っ込んで来るのを目撃してしまう。

サリー(ナンシー・アレン):
ジャックが車から助けた若い女性。メークの仕事をしていると言っているが実は、スキャンダル撮影専門のコールガール。

その他の登場人物

バーク(ジョン・リスゴー):殺し屋
マニー・カープ(デニス・フランツ):事故を目撃したと言うカメラマン
フランク・ドナヒュー(カート・メイ):ニュース番組のレポーター
ローレンス・ヘンリー(ジョン・マクマーティン):知事の参謀で友人

あらすじ

映画の音響効果の仕事をしているジャックは、実力は認められながらもB級エロ映画の音響の仕事に甘んじていた。テレビでは、マクライアン知事が間も無くホテルで大統領選に出馬宣言をするだろうと報道されていた。リポーターのフランク・ドナヒューが現場からリポートしていた。ジャックは一人で、効果音の収集のため深夜自然音を録音していた。銃声のような音を拾った後に、車が橋の欄干を突き破り川に落ち沈んでいった。ジャックは慌てて川に飛び込み乗っていた女性を助けた。病院でジャックは警察からしつこく事情聴取をされ不快に感じた。助けた女の子に面会すると、彼女は思いの他可愛らしくサリーと名乗ったが混乱しているようで早く帰りたいと仕切りに訴えた。彼女の服と鞄を取りに行ってあげようと受付に戻ると、病院の入り口は警察や人でごった返していた。ジャックは近くにいた警官にジャックが彼女を助けた車の中にもう一人大統領候補のマクライアン知事がおり、彼は死亡したと聞かされた。ジャックはヘンリーという知事の友人で参謀に、女を助けたことを忘れろと言われる。一方的な物言いに、納得できないジャックだったが、サリーと一緒にいたことが遺族に知られると負担になると説得され承諾する。ジャックはサリーを車に乗せると、モーテルに行きたいと言われそのままモーテルに行き、ぐったりしているサリーをベッドに寝かせた。ジャックは車に乗せていた録音機器から事故当時録音していたテープを注意深く聞き直した。すると事故直前に銃声がしており、知事が乗っていると分かって襲撃されたことが想定できた。その夜何者かが、マクライアン知事が乗っていた車から、撃たれた跡が残ったタイヤを取り替えていた。朝になり眠ってスッキリしたサリーに起こされたジャック。ジャックはサリーに何故マクライアン知事と一緒に車に乗っていたのか尋ねるとサリーは話を断ち切って帰ると言う。せめて連絡先でも教えてくれと言うジャックに、サリーは自分の友達に連絡して欲しいと言って帰って行った。ジャックが映画会社に戻ると、テレビで現場を撮影したカメラマンの男がインタビューを受けているのを観る。ジャックは慌てて出て行きスクープの載った雑誌を購入した。

どんな映画?

ブライアン・デ・パルマ監督がミケランジェロ・アントニオーニ監督の1967年の映画「欲望」を元ネタに脚本を書き上げ「ミッドナイトクロス」として映画化。主演に「キャリー」(1976年)にちょい役で出演したジョン・トラボルタと、「キャリー」でトラボルタとカップル役を演じたナンシー・アレンが出演しております。

B級インディペンデント映画の
音響効果の仕事をしているジャック。
今担当しているのは
「狂乱の女子学生」という
お色気サスペンス映画
どうもうまく女優の絶叫が取れません。

夜になり川の側で
音を収集するジャック。
そばにいたカップルに怪しまれ
ながらも気にせずお仕事
そこに発砲音と共に
車がガードレールを突き破り
川へ落下

ジャックはすぐさま
川へ飛び込み若い女性を助けます。
病院で事情聴取されますが
なんか感じわる!
女の子に面会すると彼女は
サリーと名乗りちょっと
錯乱している様子で
しきりに帰りたがります。

ジャックが病室を出ると
実はあの車には大統領候補の知事が
同乗しており
知事は死亡していました。
ジャックは知事の参謀から
女と乗っていたことは
黙っていてほしいと依頼されます。

何だか納得がいかないジャック
その夜サリーをモーテルに
連れて寝かせた後
事故を録音していたテープを
何度も聞き返すジャック

やっぱり発砲音の後に
車が事故に遭っている
知事は暗殺されたのでは!!?

サリーを抱き上げるジャックの頭上には盛大な花火が

この映画は、ブライアン・デ・パルマ監督がミケランジェロ・アントニオーニ監督の映画「欲望」をパクってインスパイアされて製作。原題も「欲望」は「Blow up」で、「ミッドナイトクロス」は「Blow Out」です。「Blow up」は写真の引き伸ばしの意味があり、「Blow Out」は爆発音やタイヤのパンクの意味があります。
事件自体にはかつてジョン・F・ケネディの末弟であるエドワード・ケネディが、自ら飲酒運転していた車が桟橋から海に突っ込み、同乗していた女性を見捨てて死亡させてしまった「チャパキディック事件」を元にしているとのこと。また、フランシス・フォード・コッポラ監督、ジーン・ハックマン主演の映画「カンバセーション…盗聴…」(1974年)も類似点が見られます。 偶然撮れてしまった殺人の証拠から物語が発展していくプロットは同じですが、「ミッドナイトクロス」の主人公は基本善良な市民で、証拠を元に脅迫しようとした「欲望」の主人公とは一線を画しています。 主人公のジャックは過去に自分のミスで同僚を死なせてしまった罪悪感があり、サリーもまた知らずに事件に加担してしまったことを後悔しており、かなり抽象的な「欲望」より、よりわかりやすく殺し屋の登場でさらにアクションも加わったサスペンス映画に仕上がっています。 ただ、最終的に何も解決されない虚無感は、「欲望」と共通しております。

音楽は「キャリー」も担当したピノ・ドナッジオ。
デニス・フランツが観ているテレビの映像はデ・パルマ監督の映画「Murder a la Mod」(1968年)。当初フランシス・フォード・コッポラ監督の「ディメンシャ13」(1963年)を観ている予定だったそうですが、製作者のロジャー・コーマンと折り合いがつかなかったそうです。

スタッフ・キャスト

変態殺し屋を演じたのはアメリカ合衆国の俳優ジョン・リスゴー。ブロードウェイなど舞台で活躍したのち映画にも進出。1976年にブライアン・デ・パルマ監督の「愛のメモリー」で、主人公の友人役を演じています。ボブ・フォッシー監督の自伝的ミュージカル映画「オール・ザット・ジャズ」(1979年)に出演後、デ・パルマ監督の「ミッドナイトクロス」の殺し屋役で出演。翌年の1982年にはジョージ・ロイ・ヒル監督、ロビン・ウィリアムズ主演の映画「ガープの世界」で、女性に性転換したごつい元フットボール選手を演じ、この体当たりの演技でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされています。また、同年に出演したジェームズ・L・ブルックス監督、シャーリー・マクレーン主演の「愛と追憶の日々」(1983年公開)でも同賞にノミネートされています。そこから、ハーバート・ロス監督の青春ダンス映画「フットルース」(1984年)の牧師役、ジョディ・フォスター共演のサスペンス映画「ヴィクトリア」(1986年)、ウィリアム・ディア監督のコメディ映画「ハリーとヘンダスン一家」(1987年)、デ・パルマ監督の「レイジング・ケイン」(1992年)などに立て続けに出演。「レイジング・ケイン」では、主演で1人5役を演じています。その後もアラン・J・パクラ監督の「ペリカン文書」(1993年)、ヒル・コンドン監督の「愛についてのキンゼイ・レポート」(2004年)、同監督の「ドリームガールズ」(2006年)などにも出演しコンスタントに映画に出演し活躍されています。

事故を撮影していたカメラマンのおっさんを演じたのはアメリカ合衆国出身の俳優デニス・フランツ。1978年のブライアン・デ・パルマ監督のSFホラー映画「フューリー」に警官役で出演。同監督の「殺しのドレス」(1980年)ではやはり刑事役で登場。1983年のリチャード・フランクリン監督の「サイコ2」では管理人役で出演。翌年デ・パルマ監督のエロサスペンス映画「ボディ・ダブル」(1984年)にも出演しています。また、映画だけでなく刑事テレビドラマの「NYPDブルー」(1993年から2005年放送)では、ニューヨーク市警察のベテラン刑事アンディ・シポウィッツ刑事として主演し、この演技で4度エミー賞を獲得しています。

まとめ

大統領候補暗殺に首突っ込んで地獄行き

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