キスしすぎで賞「汚名」

サスペンス

何事にも勢いは大事だと思います。

[原題]Notorious
[製作年]1946[製作国]アメリカ
[日本公開]1949
[監督]アルフレッド・ヒッチコック
[製作]デヴィッド・O・セルズニック
[脚本]ベン・ヘクト
[音楽]ロイ・ウェッブ
[上映時間]101

主な登場人物

T・R・デヴリン(ケーリー・グラント):
FBIエージェント。ドイツ人科学者のセバスチャンに近づく為アリシアを差し向けようと暗躍する。

アリシア・ハバーマン(イングリッド・バーグマン):
スパイの容疑がかけられた男の娘。

アレクサンダー・セバスチャン(クロード・レインズ):
ドイツ人科学者。アリシアの夫となる。マザコン気味。

その他の登場人物

ポール・プレスコット(ルイス・カルハーン):アメリカ諜報員
セバスチャンの母(レオポルディーネ・コンスタンチン):アリシアに疑惑を持つ
ジョセフ(アレクシス・ミノティス)
博士(レインホールド・シュンツェル)

あらすじ

1946年4月フロリダ州マイアミ、連邦裁判所南フロリダ地裁でハバーマンを国家反逆罪で有罪とする判決が降りた。娘であるアリシアは父親がナチのスパイだったと好奇の目にさらされた。やけになってパーティで酒を煽っていたアリシアは、残った男に声をかけ外に出てドライブしようと言う。アリシアの運転で猛スピードだったためすぐに警察に呼び止められたが同乗の男が手帳を見せると警察はそのまま立ち去った。アリシアが男に尋ねると男はデブリンと名乗った。デブリンは、アリシアに戦前から南米で暗躍しているファービンと言う組織を探るために依頼に来たFBIのエージェントだった。断るアリシアに彼はアリシアと父との盗聴していたレコードをかけ、ドイツのスパイに協力せよという父に母親はアメリカ人だから父とは縁を切ると言っていた。結局アリシアは彼に従いブラジルのリオにむかう。その飛行機の中でアリシアは父が留置所で服毒自殺したと知らされるが、複雑な面持ちで涙は無かった。リオについた二人は愛し合うようになりキスばかりしていた。そんな中上層部ではアリシアをドイツ人科学者のセバスチャンに接近させる作戦を考えデブリンに伝えるが彼は難色をしめしたがセバスチャンが彼女を愛していたと聞き承諾した。セバスチャンに接近しドイツに武器を流しているという彼の屋敷で何が行われているかを探る任務だった。

どんな映画?

この映画はヒッチ先生46歳の作品で、映画史上に残る、最長(最多)キスシーンが有名です。
タイトルの「Notorious」は直訳すれば「悪名高い」といった感じ。

アリシアの父親はドイツのスパイ容疑で逮捕されてしまいます。
マスコミや警察から監視されるアリシアはパーティーでヤケ酒。

そこにいた男とドライブに出かけます。
当然飲酒運転で警察に止められますが
男が手帳を見せると敬礼してそのまま立ち去ります。
男が警察だと思ったアリシアはどっか行け~と男を叩きます。

男はデブリンと名乗りアリシアに近づいたのは父親も関係しているドイツのスパイ組織ファービンを探るためだというのです。
アリシアの父親はドイツ人でしたが母親がアメリカ人だった為アメリカに愛国心があったのです。
デブリンは父親の汚名を返上するため協力しろと要請。

しぶしぶブラジルのリオに向かうアリシア。
その飛行機の中で父親が独房で服毒自殺したと聞かされます。

リオに到着した2人は愛し合うようになり
ちゅ~ちゅ~ちゅ~

しかし、アリシアの使命はドイツ人科学者セバスチャンに近づいて組織を探る、ハニートラップを仕掛けることだったのです

ミステリーやサスペンスに欠かせないと言われるマクガフィンですが、マクガフィンって何じゃらほいです。一般的には事件のきっかけや動機になる物や人物のことを意味するとのこと。ヒッチ先生の映画で特に巻き込まれ型サスペンスの場合、物語の展開に必要な謎がありますが大抵解決されていません♪「三十九夜」(1935年)や「バルカン超特急」(1938年)など結局スパイが持っていた秘密って何だったの?とはっきり明かされていないにもかかわらずこれらの作品はサスペンスの傑作とされています。
マクガフィンはあくまでマクガフィンであってただの小道具に過ぎず、物語の展開に大事なのは事件に直面した人々がどういった行動を取るかということです。

映画「汚名」において、当初ヒッチ先生が考えていたマクガフィンは原爆の元となるウランを想定していましたが、このマクガフィンを気に入らなかったセルズニックにより企画ごとRKOに売っ飛ばされてしまったそう。そもそもマクガフィンにこだわりのないヒッチ先生、結局「汚名」は800万ドル以上の収益を上げ
当時のRKOの記録を塗り替えたのでした。

そして、この映画に欠かせない有名シーンがケーリー・グラントイングリッド・バーグマンのキスシーン。当時のハリウッドでは風紀の乱れや過激な性描写を抑制するため1930年に映像製作倫理規定「ヘイズ・コード」が設けられました。このためキスシーンは3秒以内という規定があったため、主演の2人が3秒毎に繰り返す2分半に及ぶ最長(最多)キスシーンが生まれたのでした。
 
名シーンとともにアラサーのイングリッド・バーグマンが非常に美しい一本です。

スタッフ・キャスト

主演はヒッチ先生お気に入り俳優の1人であるケーリー・グラント。当初
デヴィッド・O・セルズニックがお抱えの俳優ジョセフ・コットンを推していましたが、ヒッチ先生ケーリー・グラントをプッシュ。強引さとミステリアスな魅力が必要な「汚名」のデヴリンの役はやっぱり私生活でもミステリアスを発揮するケーリー・グラントの方が敵役だったと思われます。ヒッチ先生の映画ではジョーン・フォンテインと共演した「断崖」(1941年)から2作目となりますが、この後グレース・ケリーと共演した「泥棒成金」(1955年)、エヴァ・マリー・セイントと共演した「北北西に進路を取れ」(1959年)に続きます。イングリッド・バーグマンとは「無分別」(1958年)で再び共演しております。

これまたヒッチ先生のお気に入りヒロインのイングリッド・バーグマンは前年の「白い恐怖」(1946年)から2度目の出演となります。また「山羊座のもとに」(1949年)ではジョセフ・コットンと共演しています。

何となく悪人顔のクロード・レインズ。ほとんど顔は出ませんでしたが「透明人間」(1933年)に主演し有名に。当初ヒッチ先生はフィルム・ノワール作品として有名な「ローラ殺人事件」(1944年)の有名コラムニストの役を演じたことで有名なクリフトン・ウェッブにセバスチャンの役を想定していたそうですが、今度はセルズニックの推しを通してクロード・レインズに変更。その為セバスチャンのキャラクターはより狡猾で神経質なものに変えられました。この演技でクロード・レインズはアカデミー賞助演男優賞にノミネートされていますのでキャスティングは成功と言えるでしょうね~。

セバスチャンの母親役を演じたレオポルディーネ・コンスタンチンはオーストリアの有名舞台女優。サイレント映画から活躍していましたが、当時息子役のクロード・レインズとは3歳しか離れていませんでした。

アメリカの諜報員を演じたルイス・カールハーンは後にジョン・ヒューストン監督の「アスファルト・ジャングル」(1950年)で新人時代のマリリン・モンローを愛人として囲う弁護士役で登場しています。

ヒッチ先生登場シーン

セバスチャンの邸宅で開かれたパーティーでシャンパン飲んでる。

まとめ

探っている物ってなんだっけ?で地獄行き

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