眼がいい人は、眼が悪い人が思っている以上に
相手の顔のシミとか毛穴とかはっきり見えてますよ。
[原題]“X”: THE MAN WITH X-RAY EYES
[製作年]1963 [製作国]アメリカ
[日本公開]劇場未公開・ビデオ発売
[監督・製作]ロジャー・コーマン
[製作総指揮]サミュエル・Z・アーコフ/ジェームズ・H・ニコルソン
[音楽]レス・バクスター
[上映時間]80
主な登場人物
ジェームズ・エグザビア博士(レイ・ミランド):
何でも透視できる目薬を開発。自分自身で実験しトラブルに巻き込まれる。自業自得な面も。
ダイアン・フェアファックス博士(ダイアナ・ヴァン・ダー・ヴリス):
ジェームズの研究に資金提供している団体から派遣され博士の助手になる。
その他の登場人物
サム・ブラント(ハロルド・J・ストーン):ジェームズの同僚で友人
ウィラード・ベンソン(ジョン・ホイト):同僚医師
クレイン(ドン・リックルズ):遊園地の呼び込み
あらすじ
医師であり研究者であるジェームズ・エグザビア博士は人間の目に見えない光の波長ガンマ線から放射線を見えるようにする研究に没頭し、財団から多額の資金を得ていたが一向に研究成果の報告がなされていなかった。そのため財団から美人研究者のダイアンが派遣されてきた。ジェームズはダイアンを連れて研究室に行き、猿に目薬を指し板に向かって光が見えるかの実験を行った。猿は見えているランプのボタンを押させて見ると、猿は板越に光が見えているようだったがそのままショック死してしまった。財団に出頭することになったジェームズは急いで研究成果を報告するため自分自身を実験台にすることにする。友人で同僚であるブラント博士を説得し実験を開始する。目薬を点眼すると初めは眼を開くことができなかったが次第に少しの透視をすることができるようになった。しかしまだ表面だけで完成させるためにジェームズは自らさらに点眼してしまう。眼に異常を感じたジェームズはそのまま意識を失ってしまい、財団の報告会に参加できなかった。代わりにダイアンとブラント博士が財団の役員たちの説得に当たったが敢え無く資金は凍結されてしまう。結局一般の医師になり現場に戻ったジェームズだったが、目薬により特殊能力を身につけており同僚の誤診を指摘するが根拠がないと取り合ってもらえないい。落ち込むジェームズを励ますためにサプライズでダイアンが訪れ、若手医師たちのパーティーに誘った。パーティーで踊る若者たちの中で、若い娘に誘われたジェームズは一緒に踊るが特殊能力で全員の衣服が透けて見えた。ダイアンの素っ裸も見えてニヤつくジェームズにいくら医者とはいえ不快感を顕にするダイアン。手術当日ジェームズは執刀医をメスで切りつけ無理やり自分で手術してしまう。ダイアンとブラント博士はジェームスを匿うがもっと実験を続けたいと言うジェームズを鎮めようと鎮静剤を持って迫るブラント博士を思わず窓から突き飛ばしてしまう。ブラント博士は即死。逃げてというダイアンを尻目にジェームズはとっとと逃走する。
どんな映画?
サミュエル・Z・アーコフとジェームズ・H・ニコルソン率いるAIP(アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ)で製作された一連のB級映画作品の中の一つではありますが、特に異彩を放ちカルト的人気を誇る作品です。
日本では劇場未公開作品ですが、テレビでは放映されていたのでよく知られています。
ビーカーの中の目ン玉に
いきなりレイ・ミランドのどアップ。
レイ・ミランドの瞳はブルーだったのねん。
レイ・ミランドが演じるジェームズ・エグザビア博士は
何でも見える目薬の発明に没頭。
とある団体から資金援助を受けていました。
中々研究は進まず団体は成果の調査の為
美人研究者のダイアンを派遣させ
助手として付きそうことに。
ジェームズは友人の研究者サムの静止も聞かず
自分自身の眼で実験をすることに。
紙の下や服一枚の透視はできるようになりますが
これではまだまだ。
結局財団は研究費の資金提供を打ち切る決定を下します。
医者に戻ったジェームズですが
さらに目薬を自分の眼に投与。
とうとうレントゲンのように骨まで透視できるように!
しかしそれが悲劇の始まりでした…
えっ?見えてる?
役得(?)で裸が見えるように。
透明になりたいとか、物質伝送したいとか、連綿と繰り返される科学がもたらす悲劇。この映画の主人公も医師としても優秀だし、人助けをしたいと言う気持ちを持ちながら自分の才能の足して独善的で傲慢な面があります。やはり結果的に誰も幸せにならない結末は科学が持つ二面性なのかもしれません。
って程のテーマがあるかどうかはわかりませんが都合よく裸だけ見えるとか、あっさりビルから転落するガラス窓とか、遊園地での見世物やカジノでの金儲け、カーチェイスなど見どころは満載、ラストのインパクトなど必見の映画です。
カルト的人気を誇る本作ですが、リメイクの話があっても今のところ頓挫中です。
スタッフ・キャスト
監督は低予算B級映画の早撮り多産の帝王ロジャー・コーマン御大。AIPで製作したエドガー・アラン・ポー原作の映画を監督、ポーと言ってもほぼタイトルや設定のみを踏襲しているだけで、内容自体はとんでもなものが多いのですがこれが人気となり「アッシャー家の惨劇」(1960年)、「恐怖の振子」(1961年)、「姦婦の生き埋葬」(1962年)、「黒猫の怨霊」(1962年)、「忍者と悪女」(1963年)、「赤死病の仮面」(1964年)などゴシック・ホラーものが多数あります。そのほかに「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」「血のバケツ」のようなコメディ・ホラー路線や、SF路線があります。この映画でオスカー俳優であるレイ・ミランドの新境地を切り開きました。
主演のエグザビア博士に名優レイ・ミランド。「失われた週末」(1945年)でアカデミー賞主演男優賞を獲得し三十代にして名実ともに実力派人気俳優になりました。その後も多くの作品に出演中年に差し掛かった頃にはヒッチコック監督の「ダイヤルMを廻せ!」(1954年)でグレース・ケリーを抹殺しようとする夫役として出演。ロジャー・コーマン監督作品では、1962年に「姦婦の生き埋葬」に出演。タイトルはすごいですがポーの「早すぎた埋葬」を元に映画化した作品で、レイ・ミランドは主演の当主役で出演しており、翌年には「X線の眼を持つ男」にも出演。こんな?映画にも出演する懐の深さ!イヤいい意味で。1970年には伝説のお涙恋愛映画「ある愛の詩」で図書館の名前にもなっている名家の当主を演じ、その続編にも登場しておりますが、B級映画ホラー映画にも惜しげもなく出演されていた素晴らしい俳優さんです。イヤいい意味で。
ヒロインのダイアンを演じたのはカナダ出身でアメリカで活躍した女優ダイアナ・ヴァン・ダー・ヴリス。1967年にはラリー・ピアース監督の問題作「ある戦慄」に子連れの母親役として、翌年にはバート・ランカスター主演のある意味恐怖映画の「泳ぐひと」(1968年)にも出演しており、何故かどちらも「ヘレン」という役。映画というよりはテレビドラマで活躍された女優さんです。
エグザビア博士の友人サムを演じたのは生格派俳優のハロルド・J・ストーン。アラン・ラッド主演のフィルム・ノワール「青い戦慄」(1947年)で映画デビューし、ハンフリー・ボガート主演の「殴られる男」(1956年)や、ヒッチコック監督の「間違えられた男」(1956年)などに出演しますが脇役。この方も主にテレビドラマで活躍されておりました。
ノンクレジットですがロジャー・コーマン監督にかかせない俳優ディック・ミラーとジョナサン・ヘイズがちゃんと(?)出演しております。
まとめ
全て見えたら地獄行き
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