料理に違う食材が使われているという都市伝説がよくあります。
[原題]Soylent Green
[製作年]1973[製作国]アメリカ
[日本公開]1973
[監督]リチャード・フライシャー
[原作]ハリイ・ハリソン
「人間がいっぱい」
[脚本]スタンリー・R・グリーンバーグ
[撮影]リチャード・H・クライン
[上映時間]97
主な登場人物
ロバート・ソーン(チャールトン・ヘストン):
ニューヨーク市警14分署の殺人課の刑事。殺人事件の捜査に当たる。
ソル・ロス(エドワード・G・ロビンソン):
本としてソーンと同居する老人。
その他の登場人物
タブ・フィールディング(チャック・コナーズ): サイモンソンのボディガード
ウィリアム・サイモンソン(ジョセフ・コットン): ソイレント社幹部
シェリル(リー・テイラー=ヤング): 部屋付家具
ハッチャー(ブロック・ピータース): ソーンの上司
マーサ(ポーラ・ケリー): タブの家の家具
あらすじ
文明が進み大量生産、大量消費の時代から大気汚染、環境破壊が進んでいた近未来2022年のニューヨーク。人口は4000万人。人口爆発により深刻な食糧不足に陥った現代では、外出禁止令が発令される中、テレビではソイレント社が開発する海洋プランクトンを使用した高栄養食「ソイレント・グリーン」をニューヨーク知事が配給すると宣言する。刑事のソーンは「本人間」であるソルの協力を得て次々に起こる謎の殺人事件について独自に捜査をしていた。そんな時ソイレント社の幹部であるサイモンソンが自宅で男に撲殺される。男は何者かによって雇われているようだ。捜査に当たったソーンは周囲の人間に事情聴取を始めるが、彼の周りにいたのはタブというボディガードと若い美女。彼女はサイモンソンの「家具」だった。サイモンソンには抵抗した形跡がない。贅沢な暮らしぶりに枕カバーを外して物色した物を持ち帰るソーン。遺体は運ばれ葬儀もなくゴミ処理場に運ばれるという。ソーンはアパートの階段に溢れる人間を踏みつけながら部屋に戻る。ソーンはサイモンソンの部屋から持ち帰ったものをソルに見せると、ペンや本や酒に驚き、最後に出した牛肉に涙した。ソーンは署に出向き捜査の状況をハッチャーに報告。ハッチャーはソーンにお前のところの「本」はもう歳だから新しい「本」に替えろと忠告するがソーンはまだいけると取り合わない。街では「ソイレント・グリーン」の配給日のため、多くの人々が集まり大行列を作っていた。その行列の中にはソルの姿もあった。一方ソーンは群衆の中にサイモンソンのボディーガードのタブがアパートに入っていくのを見かけ追いかける。部屋の中には家具である黒人の女がおりタブは留守だと言う。家に戻ったソーンはソルと共に食事を楽しむ。その夜再び捜査に出るとソーンは何者かにつけられていると感じる。
どんな映画?
この映画は悲惨な近未来を描いたディストピア映画の1本とされています。
また、性格派俳優であった79歳のエドワード・G・ロビンソンの遺作になりました。
2022年のニューヨーク
人口爆発や環境破壊により世界的に食糧難に陥り、街に人々が溢れている状態。
刑事のソーンは本がわりに彼に情報を与える老人のソロとアパートで同居中。
殺人事件の捜査にあたっていました。
テレビではソイレント社がニューヨーク市長と組んで配給制の食料
「ソイレント・グリーン」
の供給を高らかと発表しています。
食料には味がなく電気にも事欠く始末。
電球が切れそうになるとソロが
自転車漕ぎ漕ぎでダイナモ発電です❤️
そんな中、ソイレント社の幹部であるサイモンソンが高級マンションの自宅で撲殺されます。
捜査の為ソーンがサイモンソンの部屋に入るとそこにはボディガードと「家具」として置かれている女性シェリルがいます。
貧富の差が拡大する現代では金持ちは美人を嗅ぐとして所有しています。
刑事のクセに一通り物色して家に持ち帰るソーン。
捜査を続ける内に何者かに狙われるようになり…
公営安楽死施設に自らやって来たソル。
死の直前にスクリーンに描かれていたのはかつて存在していた美しい自然風景でした。
アメリカのSF作家ハリイ・ハリスン原作の「Make Room! Make Room!」(1966年)を元に映画化されましたが、 使用されたのは設定や名前ぐらいでオチなどは全く異なります。ただ小説が書かれた1960年代には30億人くらいだった世界人口が30年後の世紀末には70億人を超えるだろうと予想された未来を描いています。実際は1999年までには到達しなかったのですが、2020年現在80億人に迫っています。
この映画の中であふれる人々を踏みつけながら階段に登るチャールトン・ヘストンの姿が笑えるけど笑えません。
古くは地上と地下に分かれて貧富が分断化された未来を描いたフリッツ・ラング監督の「メトロポリス」(1927年)、本を読んで知識をつけることが許されない管理社会を描いたフランソワ・トリュフォー監督の「華氏451」(1966年)、人口爆発と環境破壊により赤ちゃんを産むことが許されない未来を描いた「赤ちゃんよ永遠に」(1972年)などがありますが、文明が進み人間が増えていくに従ってロクでもない未来しかなく、漠然とした不安や閉塞感しか残されていなのかと思うと絶望的な気分になります。特に現在の世界的なパンデミックの最中にいると一入ですね。
てゆーか「ソイレント・グリーン」は2022年「メトロポリス」は2026年ってあともうちょっとじゃん!!
スタッフ・キャスト
監督のリチャード・フライシャーは40年にも渡る活動の中で、初期の頃は「ボディ・ガード」(1948年)、「静かについて来い」(1949年)、「カモ」(1949年)、「札束無情」(1950年)、「替え玉殺人事件」(1951年)、「その女を殺せ」(1952年)などのフィルム・ノワール作品を多く監督されていましたが、「ミクロの決死圏」(1966年)などのSFサスペンスにも定評があり、この映画もその中の一つです。様々なジャンルに対応できる多才な職人監督さんで多くの作品を残されました。
その肉体美からアクション映画やサスペンス映画、西部劇と数多くの役柄をこなしてきたチャールトン・ヘストンですが、「猿の惑星」(1968年)出演からSFサスペンス映画界に進出。続編の「続・猿の惑星」(1970年)にも主演し、翌年の1971年にはかつてヴィンセント・プライスが主演したカルト映画「地球最後の男」のリメイク「地球最後の男 オメガマン」に出演し、どの映画でもタフガイぶりを発揮されています。
印象的な顔力と風貌で晩年まで長きにわたって活躍されたソロ役のエドワード・G・ロビンソン。自身の出世作となった「犯罪王リコ」(1930年)の出演により1973年にお亡くなりになるまで多くの映画で主演や重要な役をこなし、ギャング映画からフィルム・ノワール、コメディ映画など幅広く活躍されました。1944年に「深夜の告白」 、「飾窓の女」と両者ともにフィルム・ノワールの傑作とされている作品に出演。その後もオーソン・ウェルズ監督の「ストレンジャー」(1946年)や「赤い家」(1947年)
、「夜は千の眼を持つ」(1948年)など多くのサスペンス、ノワール映画に出演。晩年には味のある老人役がハマっていました。
かつてドジャースやシカゴ・カブスで活躍したメジャーリーガーのチャック・コナーズがジョゼフ・コットン演じる撲殺されるソイレント社の幹部サイモンソンのボディ・ガード役で登場。
また、「ある愛の詩」(1970年)で一世を風靡したライアン・オニールの元妻だったリー・テイラー=ヤングが家具美人として登場しております。
まとめ
未来は人口爆発で地獄行き
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