スマホを見て歩いている人たちが、お経を読んでいるように見えるのはわたくしだけでしょうか?
[原題]Fahrenheit 451
[製作年]1966[製作国]イギリス
[日本公開]1967
[監督・脚本]フランソワ・トリュフォー
[脚本]ジャン=ルイ・リシャール
[原作]レイ・ブラッドベリ
「華氏451度」
[音楽]バーナード・ハーマン
[上映時間]112
主な登場人物
ガイ・モンターグ(オスカー・ウェルナー):
本を燃やす専門のエリート消防士。通勤モノレールの中で妻にそっくりな女性クラリスと出会い意識が変わっていく。
クラリス(ジュリー・クリスティ):
女教師。モンターグに声をかけ、自分は本が好きだと伝える。
リンダ(ジュリー・クリスティ):
モンターグの妻。すっかりテレビ漬け薬漬けの毎日を送っている。
その他の登場人物
消防隊長:(シリル・キューサック)
フェビアン(アントン・ディフリング): 同僚消防士
あらすじ
オープニング(様々なテレビアンテナのクローズアップ)
近未来消防士は情報により家宅捜査し、隠し持っている書物をすべて没収し焼却するのが仕事だった。消防士のモンターグも仕事に忠実で将来有望だった。ある日モンターグが帰宅の為モノレールに乗っていると、近所だという若い女性が話し掛けてきた。彼女はモンターグの妻リンダにそっくりだったが彼女はクラリスと名乗り髪がショートだった。彼女はモンターグの消防士の制服の451という数字はどういう意味だと尋ねると、華氏451度のことでそれは本に火がついて燃え出す温度だと教えてくれる。彼女は昔消防士は火を消す仕事をしていたとモンターグに話すが彼は信じない。彼女は本が好きだというが、彼は本は民衆を動揺させ反社会分子に変えるという。家に帰ったモンターグはテレビ漬け、薬漬けのリンダに空虚な思いを感じていた。テレビではテレビの前の相手を「いとこ」と呼び、家族劇場という番組をやっていた。(新聞は活字のない漫画)消防署に行くと隊長室に呼ばれ昇進を打診される。帰宅するとリンダが意識不明で倒れており、輸血隊が来て血を入れ替えるという。翌日リンダはうって変わったように活発で精力的にふるまう。モンターグはモノレールでクラリスをみるうちに本に興味を持ち、リンダが寝ている間読みはじめる。初めて手にとった小説は「デビッド・コッパーフィールド」だった。
どんな映画?
近未来の消防士のお仕事は火事の消化ではなく本を燃やすこと。
どこかの家で本を隠し持っているとタレこみがあれば
出向き容赦なく処分します。
エリート消防士のモンターグは何の疑問もなく任務を遂行しています。
そんなある日モンターグは通勤のモノレールの中で
近所だという若い女性クラリスに声をかけられます。
クラリスはモンターグと一緒に帰りながら
どうして本を燃やすのかとたずねると
本を読むと反社会分子になると答えます。
家に帰るとクラリスにそっくりなモンターグの妻リンダがテレビに夢中になっています。
リンダは薬づけでオーバードースになっていても意に介しません♪
翌朝にはけろりです。
昇格を打診されていても何だかモンターグのテンションは上がりません。
とうとうモンターグは書物を開いてみるのでした。
秘密図書館の女性がマッチで火を着けるシーンは衝撃的です。
タイトルは紙が燃え始める温度、華氏451度≒摂氏233度を意味しています。レイ・ブラッドベリが小説「華氏451度」を書いたのは1953年の頃。この頃日本でもNHKがテレビ放送を開始し、本格的なテレビ時代が始まりました。
テレビ時代を危惧した映画なのですが、わたくし自身大のテレビっ子。テレビがないと生活できません。確かにテレビは人をバカにするには十分な道具だな~とも思いますし、活字離れが進むのもうなずけます。漫画も一躍買っているかもしれません。昨今の出版不況から考えると、本どころか新聞も売れなくなっています。もっともスマホやタブレットで読めてしまうことから、そのものの需要がなくなったわけではないのですが、それでは自分に必要でないものは接することがなくなってしまう危険性が出てきてしまうのです。何が自分にとって必要なものか、そうでないかを判断するためにもいろいろな本に接することが重要なんですね~。それにしても逆にテレビ離れが急速に進んでいること自体予測できたんですかね。
スタッフ・キャスト
監督はフランス、ヌーヴェルヴァーグを代表する監督の一人であるフランソワ・トリュフォー。27歳で長編でヴュー作である「大人は判ってくれない」から、
トリュフォーは計25本の映画をこの世に送り出しましたが、1984年に52歳で亡くなりました。早すぎますよね…
トリュフォー監督は1977年のスティーヴン・スピルバーグの映画「未知との遭遇」で、フランス人UFO学者を演じていました。けっこう小柄な方です。
原作のレイ・ブラッドベリはアメリカのSF小説家。映画化された作品の中には、友人でもあった特撮の神様レイ・ハリーハウゼンが参加し、「ゴジラ」(1954年)にも影響を与えた「原始怪獣現る」、ロッド・スタイガーが刺青の男を演じる「いれずみの男」(1969年)、「何かが道をやってくる」(1983年)などが挙げられます。
主演の消防士ガイ・モンターグを演じたオスカー・ウェルナーはオーストリア出身の俳優。トリュフォー監督作品では1962年に「突然炎のごとく」に出演しております。
モンターグの妻リンダと女教師クラリスの一人二役を演じたジュリー・クリスティはイギリス人女優。「華氏451」に出演の前年1965年に「ダーリング」で早くもアカデミー賞主演女優賞を受賞、同じ年には大作「ドクトル・ジバゴ」のラーラ役で出演。すぐにスターになりました。1973年にはベッドシーンが有名になった「赤い影」に出演しています。
本を読むのは大事だよ~
でもテレビも見ていいと思うよ~
まとめ
本を読んで地獄行きなんて今の時代どうなんだい?
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