お年を召されると紫色に髪を染めるのは
何でなんでしょうか?
[原題]The Mirror Crack’d
[製作年]1980[製作国]アメリカ・イギリス
[日本公開]1981
[監督]ガイ・ハミルトン
[原作]アガサ・クリスティ
「鏡は横にひび割れて」
[脚本]ジョナサン・ヘイルズ/バリー・サンドラー
[音楽]ジョン・キャメロン
[主題歌]マリー・ルウ
[上映時間]105
主な登場人物
ジェーン・マープル(アンジェラ・ランズベリー):
探偵おばさん。田舎町に住む独身老女。甥のダーモットは刑事で彼に何かと助言を与える。
マリーナ・グレッグ(エリザベス・テーラー):
ハリウッドの大女優。復帰をかけて撮影に訪れている。
ジェイソン・ラッド(ロック・ハドソン):
マリーナの夫、映画監督。
その他の登場人物
ローラ・ブルースター(キム・ノヴァク):女優、マリーナとは犬猿の仲
マーティ・N・フィン(トニー・カーチス):プロデューサー、ローラの夫
ダーモット・クラドック刑事(エドワード・フォックス):マープルの甥。ロンドン警視庁の主任警部。
エラ・ジリンスキー(ジェラルディン・チャップリン): ジェイソンの助手
俳優(ピアーズ・ブロスナン): ジェイミー役
ベイツ(チャールズ・グレイ): ゴシントン・ホールの執事
映画の中の探偵(ナイジェル・ストック)
あらすじ
ミス・マープルは途中で終わった探偵映画の犯人をいとも簡単に言い当てる、推理の名人。ある日ミス・マープルの住むイングランドの田舎町セント・メアリー・ミードがハリウッド映画の撮影に使われると、町は賑わった。それは「スコットランド女王メアリー」という映画の撮影だった。しかしその主演であるアメリカの大女優マリーナは精神的に不安定で薬なしにではいられなかった。その日町をあげての歓迎セレモニーが行われ、マリーナはスミレ色のドレスに帽子を身に着けて上機嫌で登場した。しかしミス・マープルは余興の最中にケガをしてパーティーには参加できず帰宅。ゴシントン・ホールで行われていたパーティーに地元婦人会幹事のへザー・バブコックはマリーナに挨拶し、自分のことを覚えていないかと問いかける。バブコックは戦時中マリーナが訪れた慰問公演で会ったことがあると話し始める。そこにマリーナとは犬猿の仲である女優のローラが華々しく登場する。それを見て危惧するマリーナの夫ジェイソン。バブコックは調子に乗ってマリーナに話し続け、その当時バブコックは体調不良だったが無理を押して訪れ、キスまでできたを話すがマリーナの目はローラにくぎ付けになっていた。ジェイソンはマリーナにローラをぶつけたことに怒りを隠せなかったが、ローラの夫でプロデューサーのマーティは映画を成功させるためとジェイソンをなだめる。一方ジェイソンがバブコックに渡したダイキリを飲んだ後バブコックは椅子に座ったまま死んでいた。そのパーティーにメイドで入っていたチェリーがミス・マープルの家でその時のことを詳しく彼女に話す。ヘザーに体からは大量催眠剤フェノバルビタールが検出されそれが直接の死因だったというのだが・・・
どんな映画?
今年生誕130年を迎えたイギリスを代表するミステリー作家アガサ・クリスティ女史の人気探偵シリーズミス・マープルの中の一本です。
素人探偵ミス・マープルの住む田舎町が
にわかに賑わいます。
ハリウッド映画の撮影に使われと言うのです。
アメリカの大女優マリーナが
復活をかけた大作でした。
歓迎ムードでお祭り騒ぎで街は
一行を大歓迎。
ミス・マープルたちも出かけますが
途中で転んで足を痛めてしましい
ミス・マープルはパーティーに参加できず帰宅。
その後行われたゴシントン・ホールで事件が!
マリーナに話しかけたのは地元婦人会のヘザー。
ヘザーは戦時中の慰問でマリーナに会ったことがあると話し始めますが
ちょうどそこにマリーナとは犬猿の仲の女優ローラが登場し
周囲も驚くほどの喧嘩っぷり。
その最中カクテルを飲んだヘザーに異変が。
椅子に座ったまま絶命していたのです!!
ちょうどマリーナは謎の人物から脅迫を受けていました。
果たしてヘザーはマリーナの代わりに殺されたのでしょうか?
果たして真相は??
大きく目を見開くマリーナ。
彼女に何が起こったのか?
ミス・マープルシリーズはいわゆる安楽椅子探偵ものの一つ。実際に事件の現場には出くわしておらず状況説明や事実確認から犯人を推理して行きます。今回も出入りしていたメイドから事情を説明され推理を巡らせます。
この事件のきっかけとなった事象が大戦中美人女優で有名だったジーン・ティアニーに起こった出来事に酷似していました。アガサ・クリスティ自身この事実を知らなかったそうですが、感染症が胎児に及ぼす影響は今日では良く知られていますが、まだ予防接種が一般的でなかった当時に起こり得る可能性があったのかもしれません。
ただ、今のコロナもそうですが感染源を限定できるかどうかと言うことに問題があるな~とつくづく思われます。
ミス・マープルを演じた女優さんは
映画版では1960年代にマーガレット・ラザフォードというおばあさん女優。4本が映像化され人気でしたが活発に動き回るミス・マープルは原作者のアガサ・クリスティ自身あまり気に入っていなかったとのこと。1980年代から90年代にかけてイギリスのテレビシリーズでミス・マープルを演じたたのは女優のジョーン・ヒクソンでした。こちらはすっかりイメージが定着するほど、上品で冷静沈着なミス・マープル像が印象的です。ジョーン・ヒクソンはかつてアガサ・クリスティ原作を映画化した「血に笑ふ男」(1937年)で喋れないメイド役で登場しています。
スタッフ・キャスト
監督のガイ・ハミルトンは初期の「007」シリーズの監督として有名です。先月亡くなられたショーン・コネリーが初代ジェームズ・ボンド役で主演した「007 ゴールドフィンガー」(1964年)、「007 ダイヤモンドは永遠に」(1971年)を監督。続いて2代目ボンドのロジャー・ムーアが主演した「007 死ぬのは奴らだ」(1973年)、「007 黄金銃を持つ男」(1974年)を監督されています。この他に同じくアガサ・クリスティ原作の「地中海殺人事件」(1982年)の監督をされており、こちらはエルキュール・ポアロシリーズになります。
ミス・マープルを演じたアンジェラ・ランズベリーはイングランド出身で今年95歳の大女優。1944年のイングリッド・バーグマン主演のフィルム・ノワール「ガス燈」の若いメイド役でスクリーンデビュー。その後「ドリアン・グレイの肖像」(1945年)、「サムソンとデリラ」(1949年)などに出演。印象的なのは中年になってから出演した「影なき狙撃者」(1962年)での支配的な母親役でした。また老齢に近づいてからアガサ・クリスティ原作の「ナイル殺人事件」(1978年)、「バルカン超特急」のリメイク「レディ・バニッシュ/暗号を歌う女」(1979年)、ダークファンタジーの「狼の血族」(1984年)のおばあちゃん。そして当たり役だったのが1984年から10年以上続いたテレビシリーズ「ジェシカおばさんの事件簿」のミステリー小説家ジェシカ・フレッチャーでした。「ジェシカおばさんの事件簿」ではすでにあばあちゃんに近かったので「ガス燈」で若い頃のアンジェラ・ランズベリーを見るとあまりにも可愛いので驚きますよ♪大きな瞳は今でも健在ですが。
大女優を演じたエリザベス・テイラーはほんとに押しも押されぬ大女優。彼女にとっては本格的な映画出演は3年ぶりだったそう。生涯7人の夫を持ったエリザベス・テイラーがこの頃アメリカ人政治家のジョン・ウォーナーと結婚し女優業を控えていた時期からの復活を試みてい頃。50代に近づいていたエリザベス・テイラーですが、体重をセーブしていたとはいえ大分がっちりしています。顔はまだまだ美しいのですが、ライバル女優役で出演しているキム・ノヴァクがまだまだスタイルを維持していたことには驚かされます。
またエリザベス・テイラーの夫役を演じたロック・ハドソンとは、ジェームズ・ディーンの遺作としても有名な「ジャイアンツ」(1956年)以来の夫婦役です。190センチを超える長身ながら端正な甘い顔立ちで人気を博しました。また、5代目ジェームズ・ボンドのピアース・ブロスナンがチョイ役で登場、チャールズ・チャップリンの愛娘ジェラルディン・チャップリン、ハリウッドのプロデューサー役のトニー・カーチス、「ジャッカルの日」(1973年)の殺し屋役で有名なエドワード・フォックスなど豪華キャスト陣も見所の一つです。
まとめ
感染症で地獄行き
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