元カレの遺産ってもらう権利あるんですか?
[原題]The Honey Pot
[製作年]1967[製作国]アメリカ
[日本公開]1967
[監督・脚本]ジョーゼフ・L・マンキウィッツ
[原作]トーマス・スターリング/フレデリック・ノック
[撮影]ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ
[編集]デヴィッド・ブレサートン
[音楽]ジョン・アディソン
[上映時間]132
主な登場人物
セシル・フォックス(レックス・ハリソン):
ヴェニスの大豪邸に住む大富豪。演劇好き。俳優出身のマクフライを執事に雇い、過去に関係のあった女性三人に遺産を渡すと言う手紙を出す。
ローン・スター・クロケット・シェリダン夫人(スーザン・ヘイワード):
大富豪。睡眠障害の為看護師のサラを雇い薬を出させていた。過去にフォックスと内縁関係だったが、フォックスに逃げられていた。
その他の登場人物
ウィリアム・マクフライ(クリフ・ロバートソン):執事、俳優経験者
プリンセス・ドミニク(キャプシーヌ):高貴な生まれだが破産中
マール・マッギル(エディ・アダムス):女優
サラ・ワトキンズ(マギー・スミス):夫人の看護師
リッツィ警部補(アドルフォ・チェリ):現地警察官
オスカー・ルードウィッヒ(ハーシェル・バーナルディ): 探偵
あらすじ
ヴァニスに住む大富豪のセシル・フォックスは大の演劇好きだった。そんなフォックスが執事を募集しており、高額の報酬に応募してきたのが、ラスベガスでも働いたことがある俳優もどきのマクフライだった。単なる執事の募集でないことを察していたマクフライはフォックスに真意を尋ね、小道具を準備し始めた。カルフォルニア、パームスプリングス、女優のマール・マッギル宛にフォックスから会いたいと手紙が届く。フランスの古城では、高貴な身分であるドミニクもフォックスから手紙を受け取る。そこには誰に自分の遺産を渡すか決めたいと書かれていた。フォックスの屋敷では、彼を重病人に仕立てる準備で、リハーサルまで行っていた。フォックスは三人目の女性にも手紙を出したので朝には到着するだろうと言う。三人目はドイツのバーテンバーテンにいるシェリンダ夫人だった。昔ウラン鉱山で知り合った彼女はあまりにも強欲で精力旺盛だった為に、20年前に置き手紙を残してスイスに逃亡したと話す。マクフライは、三人の女に遺産相続ができると騙すなんて面白いことを考えるとフォックスに話す。寝台車で向かっていたシェリダン夫人は、専属看護師のサラを連れており、いつもの睡眠薬を要求する。サラはトランクの中から「プラシーボ(偽薬)」の瓶のラベルを睡眠薬に張り替えて、夫人に薬を渡した。到着した夫人とサラをマクフライが出迎え、あと二人別々に飛行機で到着していると話ながら、部屋に案内した。向かいのドアからドミニクがマクフライに声をかけ、食事前にフォックスと会いたいと告げ扉を閉めた。今度はその隣のマールが、自分の順番はと尋ねると食後だと家われ、なぜあの女より後になるのかと不満をぶつけると、マクフライは順番は自分が決めている彼女の方が到着が早かったと言う。便宜を図ってくれたらお礼はすると言うと考えておくと一蹴する。あんな洗剤みたいな名前の女も呼ぶなんてと憤慨するシェリダン夫人に睡眠薬を持ってくるように言われたサラは、隣の部屋の壁からリフトで氷が階上に運ばれているのを見て不思議に思う。そのリフトからマクフライが氷を取り上げ重病人のふりの設定作りに余念がなかったが、一方のフォックスは元気いっぱいに振る舞っていた。三人の女性を騙した後、どういった終幕を考えているのか?と言うマクフライに、フォックスはまだ考えていないと答えるのだが…
どんな映画?
トーマス・スターリングの小説を元にフレデリック・ノットが戯曲化したものを、エリザベス朝のイギリスの劇作家ベン・ジョンソンの「ヴォルポーネ」を下敷きにして、ジョーゼフ・L・マンキウィッツ監督が映画化。レックス・ハリソン、スーザン・ヘイワード、クリフ・ロバートソン、キャプシーヌ、マギー・スミスなどの豪華出演陣を配した、コメディタッチのミステリー映画となっております。
ヴェニスに住む大富豪のフォックス
彼の屋敷に執事の面接の為
マクフライと言う男が訪れます。
役者の経験があるマクフライを
フォックスは即採用!
マクフライを舞台監督兼執事に任命
ん?舞台監督?
フォックスはマクフライに
自分は重病で余命宣告を受けている
というふりをして 三
人の元カノを手紙で招集した
と言うのです。
はて?何のために?
二人でカードをしながら
マクフライはフォックスの真意を
尋ねるのですがはぐらかすばかり。
そんなこんなでフォックスの 元
にやって来たのは
アメリカで女優として成功したマール
フランスの古城に住む王女ドミニク
今や大富豪のシェリダン夫人と
その付き添いの看護師サラ
三人の元カノ+一人
シェリダン夫人はサラに
睡眠薬を持ってくるように言いますが
実際には偽薬を渡していました。
実はお金に困っている
マールとドミニクは
フォックスの遺産を狙っていました。
しかしそこに立ち塞がるのは
シェリダン夫人!
フォックスの遺産を受け取る
権利があるのはこの私だけ!!
と主張するのですが…
フォックスの遺書を読み上げるにわか執事のマクフライ。
原題のハニーポットは、直訳するとハチミツの壺なんですが、端的に言えばプーさんを引っ掛ける罠のこと。邦題がこのようなタイトルになってしまったのは、ジョーゼフ・L・マンキウィッツ監督の映画「三人の妻への手紙」(1949年)によるものだと思われますが、内容は一切関わり合いがありません。
物語のベースとなる「ヴォルポーネ」の原作者ベン・ジョンソンはシェイクスピアと同年代の劇作家で、シェイクスピアが亡くなった時に追悼文を書いたことでも知られているお方です。 この映画で冒頭にフォックスが一人で観劇しているのが「ヴォルポーネ」で、ヴォルポーネはイタリア語で「きつね」、その召使のモスカは「ハエ」を意味しています。フォックスとマクフライは同様の意味で、この劇はヴォルポーネが死んだふりをしてその遺産を狙った三人から逆に金を巻き上げようとするお話となっております。
マクフライを演じたクリフ・ロバートソンは、翌年に主演した「まごころを君に」(1968年)でアカデミー賞主演男優賞を獲得しています。
この映画でも、足が綺麗だった頃のマギー・スミスがおいしいところを持って行きなかな痛快な作品となっております。
スタッフ・キャスト
シェリダン夫人を演じたのはハリウッドで50年代を代表する女優の一人スーザン・ヘイワード。1937年にバスビー・バークレー監督のミュージカル・コメディ映画「聖林(ハリウッド)ホテル」にクロークの若い娘役で映画デビュー。「ボー・ジェスト」(1939年)でゲーリー・クーパーと共演。スチュアート・ヘイスラー監督の「地下室の狂人」(1941年)に出演。しばらく二番手三番手の出演に甘んじていましたが、1946年にウィリアム・アイリッシュ原作のフィルム・ノワール「暁の死線」でヒロイン役で出演。続いてロバート・ヤング主演のノワール映画「私は殺さない」(1947年)で主要な人物を演じ、されに「スマッシュ・アップ」で、アルコール依存症で自滅していく女性を演じ、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされ主演女優の仲間入りを果たします。ジョーゼフ・L・マンキウィッツ監督の「他人の家」(1949年)に出演し、「スマッシュ・アップ」に続いて再びスチュアート・ヘイスラー監督の大河ドラマ「タルサ」(1949年)で主演。マーク・ロブソン監督の「愚かなり我が心」(1950年)では自滅していく主婦を演じ再びアカデミー賞にノミネートされ、ヘンリー・ハサウェイ監督の西部劇「悪の花園」(1954年)などに出演。さらにダニエル・マン監督の「明日泣く」(1955年)では実在のスターの半生を演じ高く評価されました。なんだかアルコールで身を持ち崩す女性の役が多いような気がしますが実力は本物。1958年にロバート・ワイズ監督の「私は死にたくない」で死刑宣告される女囚を演じアカデミー賞主演女優賞を獲得しました。
やんごとなきお方プリンセス・ドミニクを演じたのはフランスのモデル出身の女優のキャプシーヌ。1940年代頃からフランスで映画出演をしておりましたが、活躍の場をハリウッドに移し、1960年に出演したチャールズ・ヴィダー、ジョージ・キューカー監督の伝記映画「わが恋は終わりぬ」で、リスト役を演じたダーク・ボガードと共演。ヘンリー・ハサウェイ監督の西部劇「アラスカ魂」(1960年)、エドワード・ ドミトリク監督の「荒野を歩け」(1962年)に出演した後、自身の代表作でもあるブレイク・エドワード監督の「ピンクの豹」(196年)に出演し、クルーゾー警部の妻シモーヌ役を演じています。その後「ピンク・パンサー」シリーズとして第6作目と7作目に同じ役で登場しています。残念ながら1990年に62歳でお亡くなりになっています。
女優のマールを演じたのはアメリカ合衆国の女優エディ・アダムス。1960年にビリー・ワイルダー監督の「アパートの鍵貸します」での秘書役で、スクリーンデビュー。その後デルバート・マン監督「恋人よ帰れ」(1961年)や、スタンリー・クレイマー監督の「おかしなおかしなおかしな世界」(1963年)、ロバート・マリガン監督の「マンハッタン物語」(1963年)などの映画に出演しながら、テレビのトーク番組のホスト役で人気を博しました。その後の映画出演はB級映画の出演が多く、特筆するような作品はないのですが、テレビドラマでは多くの作品に登場されています。
まとめ
金の砂時計はノーリプライで地獄行き
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