男だらけのクリスマス会って
ある意味楽しそうですね。
[原題]Stalag 17
[製作年]1953[製作国]アメリカ
[日本公開]1954
[監督・脚本・製作]ビリー・ワイルダー
[脚本]エドウィン・ブラム
[原作]ドナルド・ビーヴァン/エドモンド・トルチンスキー
[撮影]アーネスト・ラズロ
[音楽]フランツ・ワックスマン
[上映時間]120
主な登場人物
J・J・セフトン(ウィリアム・ホールデン):
ドイツ人監視員に取り入り物資を得て、収容所内の賭けの元締めをしていたため、スパイだと疑われる。
その他の登場人物
フランク・プライス(ピーター・グレイブス):警務係
フォン・シェルバッハ大佐(オットー・プレミンジャー):収容所所長
ジェームズ・ダンバー(ドン・テイラー):中尉
ヨハン・セバスチャン・シュルツ(シグ・ルーマン):ドイツ人軍曹、元プロレスラー
デューク(ネヴィル・ブライド):リーダー格
アニマル(ロバート・ストラウス):太めの男
ハリー・シャビーロ(ハーヴェイ・レンベック):アニマルとコンビ
ホフマン(リチャード・アードマン): ホフィー、総務係
ブロンディ(ロバート・ショーティ): 金髪の若い男
マルコ(ウィリアム・ピアーソン):郵便配達員
バグラディアン(ジョイ・ローレンス): ダンバー中尉と共に収容された軍曹
C・H・クック(ギル・ストラットン): クッキー、ナレーター
ジョーイ(ロビンソン・ストーン):精神を病んだオカリナ吹
あらすじ
1943年から捕虜としてドナウ川近くの第十七捕虜収容所に2年半収容されていたC・H・クック(クッキー)は回想していた。そこには630人のアメリカ人の空軍軍曹クラスの捕虜ばかりが収容されており、その中にスパイがいたというのだ。1944年12月中旬、ある日の夜その部屋の二人を皆で協力して脱走させる計画をたてていた。床に穴をあけ、ストーブで隠していた。二人は私服に着替え床下から脱走を試みるが、宿舎で残った掛け屋のセフトンはどうせ失敗するとうそぶくが、皆成功を信じ賭けを始めた。脱走した二人は鉄条網を抜け、走る出そうと立ち上がるとすぐ目の前に武装した兵士が待ち構えていた。二人は至近距離で銃撃されてしまう。銃声を聞いた宿舎の人々は計画がもれていたのだと感じるが、それを尻目にセフトンは戦利品をかき集め顰蹙を買っていた。翌朝の6時にシュルツ軍曹の点呼が始まった。全員が宿舎の外に集められ、昨夜の二人の遺体が置かれ筵がかけられていた。所長のシェルバッハが全員の前に立ち、自分の経歴に傷をつけるなと、二人の遺体を見せつけ脱走は不可能だと釘を刺した。所長の前に総務のホフマンが死体の放置はジュネーブ協定に違反すると抗議した。ストーブは不正仕様の為撤去されることになった。デュークはこの中にスパイがいるのではないかと疑い始めた。特にセフトンはドイツ兵に賄賂を渡し物資を補給していた為、怪しまれていた。クリスマスが近づいた頃、シュルツ軍曹たちが宿舎を訪れストーブの摂取と脱走用の穴を埋めるために全員を外に出した。一人残されたシュルツ軍曹は裸電球が吊るされているコードが丸く結ばれているのを見咎める。その真下のテーズるに置いてあったチェスのコマの中にある手紙を確認し、別のコマをポケットから出しすげ替え電球を元に戻した。
どんな映画?
実際のオーストリアでの収容所体験を元に劇作家のドナルド・ビーヴァンとエドモンド・トルチンスキーが共著で発表したブロードウェイ舞台劇を、巨匠ビリー・ワイルダー が映画化しました。この映画で主演のウィリアム・ホールデンがアカデミー賞主演男優賞を獲得してます。また、監督のオットー・プレミンジャーが所長役で出演していることでも有名です。
ドナウ川周辺のどこかの捕虜収容所
その収容所はアメリカ人下士官ばかり集められています。
ある宿舎で床下にこっそり穴を掘り
2人を逃そうと計画を立てていました。
決行の日 賭け屋のセフトンはどうせ失敗するから賭けようと持ちかけ
皆は成功を信じて賭けに応じます。
しかし逃亡の計画は予め漏れていたのか
2人は待ち受けていた兵士に銃撃されてしまいます。
銃撃音を聞き計画の失敗を悟った 宿舎の人々。
彼らを尻目に賭けの戦利品をかき集めるセフトン。
この中にスパイがいるに違いない!!!
やっぱセフトンが怪しんじゃね?
という雰囲気が皆の胸に湧いてくるのですが…
スパイが誰だかわかり葉巻を吸うセフトン
原題の「Stalag 17」のStalagは第二次世界大戦中のドイツの捕虜収容所を指します。 捕虜収容所が舞台の映画ですので当然男だらけです。一部ロシア人女性捕虜が遠目に登場しますがクレジットは無しです。また、いかつい男アニマルがしきりに崇拝しているのがベティ・グレイブルのピンナップです。ベティ・グレイブルは第二次世界大戦中、最も人気のあったピンナップガールの一人で、彼女のプロマイド写真を持った兵士が大勢いました。 戦争や収容所とシリアスな内容の中に、監督お得意の洒落が効いています。特にオットー・プレミンジャーが演じるシェルバッハ所長のブーツに対する執着です。泥で汚したくないために地面には必ず板を渡し、電話で敬礼するためにブーツを履くけど、またすぐに脱ぐなどシリアスシーンの中にどこかコミカルなシーンを混ぜてきます。
ミステリーのセオリー通り一番怪しい人物は犯人ではなく、スパイ大作戦なのでした。
スタッフ・キャスト
監督は名匠ビリー・ワイルダー 。1944年に監督しバーバラ・スタンウィックが見事に悪女を演じたフィルム・ノワール の教科書「深夜の告白」が大ヒット。続いて翌年の「失われた週末」(1945年)でそれまでイケメン・大根役者と呼ばれていたレイ・ミランドにオスカーをもたらし、自らも監督賞・脚色賞を受賞しました。またラブコメにも定評があり、戦後すぐのベルリンで撮影されたことでも有名な「異国の出来事」(1948年)を発表。1950年にはあの映画界の裏幕を描いた伝説の映画「サンセット大通り」でまだ無名に近かったウィリアム・ホールデンを起用。翌年にはカーク・ダグラスを主演にマスコミ腐敗を皮肉った「地獄の英雄」(1951年)を監督。「第十七捕虜収容所」(1953年)の翌年にはハンフリー・ボガート、オードリー・ヘプバーン、ウィリアム・ホールデンなどのスターを起用したロマンス映画「麗しのサブリナ」をヒットさせ、次にマリリン・モンローのスカート捲りシーンで超有名なコメディ「七年目の浮気」(1955年)、ジェームズ・ステュアートがチャールズ・リンドバーグを演じた「翼よ!あれが巴里の灯だ」(1957年)、同じく1957年に再びオードリー・ヘプバーン主演に大物俳優ゲイリー・クーパー共演のロマンティック・コメディ「昼下がりの情事」を、その翌年にはアガサ・クリスティ原作の傑作ミステリー「検察側の証人」を映画化した「情婦」(1958年)と傑作を次々に発表。そして1960年にはジャック・レモンとまだかわいかったシャーリー・マクレーンを主演にラブ・コメ映画の集大成「アパートの鍵貸します」で、アカデミー賞作品賞、監督賞など5部門を受賞しております。洒脱の効いたコメディからフィルム・ノワールまでマルチに活躍された巨匠中の巨匠です。
主演のセフトンに特徴的な顎を持つ名優ウィリアム・ホールデン。1939年にロイド・ベーコン監督の「前科者」で主演のジョージ・ラフトの弟役を演じ、その爽やかな笑顔から当時はアイドル的な人気を集めていましたが、第二次世界大戦後人気が低迷。そんな中1950年にビリー・ワイルダー 監督の「サンセット大通り」の主演に起用され、この時は惜しくもアカデミー賞主演男優賞を逃しています。しかし再び主演い起用された「第十七捕虜収容所」にて「地上より永遠に」(1953年)のバート・ランカスター、モンゴメリー・クリフトを抑えてアカデミー賞主演男優賞を獲得。同年にはオットー・プレミンジャー監督のロマンティック・コメディ「月蒼くして」に主演。再度ビリー・ワイルダー 監督の映画「麗しのサブリナ」(1954年)で富豪の御曹司ハンフリー・ボガートの弟役を演じます。1977年に出演されたシドニー・ルメット監督のマスコミ風刺映画「ネットワーク」にてアカデミー賞主演男優賞にノミネートされましたが、獲得には至りませんでした。晩年までコメディから西部劇、ホラーまで多くの映画にご出演されました。
将校のダンバー中尉を演じたのはアメリカ人俳優兼映画監督として知られるドン・テイラー。若い頃からイケメン俳優として活躍し、1948年にジュールズ・ダッシン監督のフィルム・ノワール「裸の町」では若い刑事を演じ、1950年のヴィンセント・ミネリ監督の「花嫁の父」でエリザベス・テイラー演じる花嫁の婚約者を演じています。監督としては「第十七捕虜収容所」で共演しているピーター・グレイブスを主演に丹波哲郎も出演しているトンデモアクション映画「五人の軍隊」(1969年)。1971年位は「猿の惑星」(1968年)のシリーズ第3作の「新・猿の惑星」を監督。こちらの続編は、前作「続・猿の惑星」(1970年)のラストのポチッとなで地球爆破されたにも関わらず、コーネリアスとジーラが地球から脱出しタイムリープするとう力技で復活させ、高評価を得ています。また1980年にはカーク・ダグラス主演、マーティン・シーンも出演しているSF戦争映画「ファイナル・カウントダウン」も監督されています。
若い警務係プライスを演じたピーター・グレイブスはテレビドラマ版の「スパイ大作戦」の主人公役で広く知られています。またパロディ映画として有名な「フライングハイ」(1980年)など多くのコメディやB級映画、ホラー映画に出演されています。
まとめ
スパイを疑われて地獄行き
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