どの時代に生まれても
多分下層階級に属していると思われます。
[原題]Gosford Park
[製作年]2001[製作国]イギリス
[日本公開]2002
[監督・製作・原案]ロバート・アルトマン
[製作・原案]ボブ・バラバ
[脚本]ジュリアン・フェロウズ
[撮影]アンドリュー・ダン
[編集]ティム・スキアーズ
[音楽]パトリック・ドイル
[上映時間]137
主な登場人物
コンスタンス・トレンサム伯爵夫人(マギー・スミス):
シルヴィアの叔母。シルヴィアがサー・ウィリアムと結婚したことで、ウィリアムから援助を受けている。
ジェーン・ウィルソン(ヘレン・ミレン):
メイド長。自分の役割に忠実。
その他の登場人物
サー・ウィリアム・マッコールド(マイケル・ガンボン):ゴスフォードの主人
レディ・シルヴィア(クリスティン・スコット・トーマス):ウィリアムの妻
メアリー・マキーシュラン(ケリー・マクドナルド): コンスタンスのメイド
ルイーザ・ストックブリッジ(ジェラルディン・ソマーヴィル):シルヴィアの姉妹
アンソニー・メレディス(トム・ホランダー):ラヴィニアの夫、海軍中佐
ラヴィニア・メレディス(ナターシャ・ワイトマン):シルヴィアの姉妹
フレディ・ネスビット(ジェームズ・ウィルビー):パーティーの客
レイモンド・ストックブリッジ(チャールズ・ダンス):ルイーザの夫、アメリカ人
イゾベル・マッコールド(カミーラ・ラザフォード):マッコールド夫妻の娘
ルパート・スタンディッシュ(ローレンス・フォックス):イゾベルの求婚者
ジェレミー・ブロンド(トレント・フォード):ルパートの友人
メイベル・ネスビット(クローディー・ブレイクリー):フレディの妻
アイヴァー・ノヴェロ(ジェレミー・ノーサム):俳優、ウィリアムの親戚
モリス・ワイズマン(ボブ・バラバン):ノヴェロの友人、アメリカの映画製作者
ロバート・パークス(クライヴ・オーウェン):レイモンドの従者
ヘンリー・デントン(ライアン・フィリップ):モリスの従者
エルシー(エミリー・ワトソン):メイド
ジェニングス(アラン・ベイツ):執事
プロバート(デレク・ジャコビ):ウィリアムの従者
ジョージ(リチャード・E・グラント): 第一下僕
ミセス・クロフト(アイリーン・アトキンス):料理長
トンプソン警部(スティーヴン・フライ):事件を担当
あらすじ
トレンサム夫人は援助を受けているウィルアム卿の主催するハンティングパーティに出席するため、年若くまだまだ教育が必要なメイド、メアリーを連れてやってきた。来賓のそれぞれのメイドや従者たちは、召使の間では主人の名字で呼び合うことになっていた。トレンサム伯爵夫人はウィリアム卿の妻シルヴィアの叔母で、シルヴィアの妹たちルイーザ、ラヴィニアがそれぞれ夫を連れてやって来ていた。シルヴィアの娘イゾベルはルパートから求婚されており今夜父親のウィリアム卿に話すと言う。ウィリアムの親戚で俳優のアイヴァー・ノヴェロが来ており、パーティーの客フレディの妻メイベルは熱心に彼の話を聞いていたが、トレンサム夫人は最新作の「下宿人」はいただけなかったと批判的だった。下の階ではメイドや下僕たちがメイベルがメイドを連れていないことを負け犬だと言い合ってた。ノヴェロの友人で映画製作者ワイズマンの従者デントンが主人は菜食主義だと料理人たちに依頼してきた。料理長のクロフトは愚痴るが、メイド長のウィルソン夫人が諌めた。美人3姉妹の長女シルヴィアは金目当てでウィルアム卿と結婚、姉妹の叔母トレンサム伯爵夫人に生涯手当を支給するという約束だったと召使たちは口々に噂し合った。召使がディナーの準備をしながらも俳優のノヴェロに関心が集まった。トランサム伯爵夫人もノヴェロの連れてきたアメリカの映画製作者ワイズマンの話になり、彼が「探偵チャーリー・チャン」の製作者だとメアリーと話す。夫人は何か噂話があるんじゃないのとメアリーに尋ねる。さらなる援助を引き出したいトレンサム夫人だったが、サー・ウィリアムはシルヴィアに援助を打ち切りたいと言ってきた。 召使の食事の時間になり席に着いた。その中で親も召使だったとか聞きたいという質問に手を挙げさせると大半が親も召使だと答えた。しかしストックブリッジの従者ロバート・パークスは自分は施設で育ったので親の職業はわからないと答えた。
どんな映画?
アメリカの映画監督ロバート・アルトマンが、イギリスで製作したミステリー映画です。イギリス郊外の邸宅を舞台に、イギリスの名優が多数出演。この映画で脚本を担当したジュリアン・フェロウズがアカデミー賞脚本賞を受賞しています。
結構いい年のトレンサム伯爵夫人は
若いメイドのメアリーを連れて
ウィリアム卿のカントリーハウス
ゴスフォード・パークにやって来ます。
名目はハンティング・パーティへの参加ですが
目的はウィリアム卿からのさらなる 援助の要求♪
ゴスフォード・パークでは
パーティーのゲストとその使用人たちでごった返し。
使用人は自分の主人の名前で呼ばれ階下へ
ゴスフォードの主人ウィリアム卿と
トレンサム伯爵夫人の姪で
ウィリアム卿の妻シルヴィアがも
ゲストへの対応でてんやわんや
ゲストにはウィリアム卿の親類で
歌手で映画俳優の
アイヴァー・ノヴェロが
映画関係者をともなって来ています。
トレンサム伯爵夫人は
ノヴェロに
「下宿人」みたいな失敗作出演して
がっかりでしょ
とのたまう
結構嫌なオバはん
ウィリアム卿はシルヴィアに
トレンサム伯爵夫人への
援助を終わらせたいと告げます。
上の階では上流階級の晩餐が始まり
下の階でも召使たちの食事が始まります
召使たちはそれぞれの身の上や
主人の話で持ちきり
上流階級の人々もそれぞれの
思惑を持ちつつ
殺人が!
何で?
刃物を持った何者かがウィリアム卿に近づく。
この映画で、脚本のジュリアン・フェロウズがアカデミー脚本賞受賞。ジュリアン・フェロウズは「ダウントン・アビー」の製作・脚本を担当しエミー賞を受賞しています。
監督がロバート・アルトマンだけあって俳優陣はちょー豪華。ちょい役で(事件に特に関係ない)「モーリス」のジェームズ・ウィルビーが出演しています。 マギー・スミスやヘレン・ミレンなど、演技の3冠(アカデミー賞、エミー賞、トニー賞)を達成しているベテラン女優が二人も出演されています。 また、ルイーザの夫を演じていたチャールズ・ダンスは俳優だけでなく2004「ラヴェンダーの咲く庭で」を監督しています。この映画にはマギー・スミスも出演しています。
劇中登場するアイヴァー・ノヴェロは実在の歌手、俳優です。20世紀初頭においてイギリスで最も人気のあった俳優の1人で、映画の中でマギー・スミスにあんな駄作と言われた、ヒッチコックの「下宿人」(1927年)に出演しています。
また、劇中で語られる「探偵チャーリー・チャン」は、1928年のアール・デア・ビガーズの作品でハワイ、ホノルルの警察に勤務する中国人探偵で当時人気を博していました。
室内撮影には旧ノーサンバーランド侯爵邸のサイオン・ハウスを使用しています。
一部の上流階級と多数の下層階級の人々で構成されていた当時のイギリス。それぞれの複雑な人間関係を丹念に描いている為、殺人が起こるまで映画開始から1時間以上もかかっています。どちらかと言うと、若い召使メアリー目線で物語が進むため、小間使いは見た!的な映画です。
召使いに自分の人生はない
ヘレン・ミレンの最後のセリフがしんみり響きます。 テレビシリーズ「ダウントン・アビー」の元ネタ的な作品となりますので、ドラマが好きな方にはおすすめな一本です。
スタッフ・キャスト
コンスタンス・トレンサム伯爵夫人を演じたのはイギリスのベテラン中のベテラン女優マギー・スミス。イングランド出身で、1956年に映画デビュー。1963年にアンソニー・アスキス監督の群衆映画「予期せぬ出来事」に出演。1965年には「オセロ」で、ローレンス・オリヴィエ演じるオセロの妻デズデモーナを演じています。1967年にはジョセフ・L・マンキーウィッツ監督のアメリカ映画「三人の女性への招待状」では、ラストで一番美味しい役を演じています。そして1969年のロナルド・ニーム監督の「ミス・ブロディの青春」では、主演の女教師ミス・ブロディを演じアカデミー賞主演女優賞を受賞しました。その後、小説家のトルーマン・カポーティも出演しているパロディ・コメディ映画「名探偵登場」(1976年)に出演。1978年にはジョン・ギラーミン監督の「ナイル殺人事件」に出演、同年に出演したハーバート・ロス監督の「カリフォルニア・スイート」では、アカデミー賞主演女優賞を逃して悔しがるイギリス人女優を演じて、アカデミー賞助演女優賞を獲得しています。その後は、ピーター・ユスティノフのポアロシリーズ「地中海殺人事件」(1982年)、ジェムズ・アイヴォリー監督の文芸コスリュームプレイ映画「眺めのいい部屋」(1986年)では年増の独身女性を、「天使にラブ・ソングを…」(1992年)「天使にラブ・ソングを2」(1993年)では修道院長を、「ゴスフォード・パーク」に出演した同年からは「ハリー・ポッター」シリーズでミネルバ・マクゴナガル先生を演じています。映画だけでなく舞台で活躍している他、テレビドラマシリーズ、「ダウントン・アビー」では先代の伯爵夫人バイオレット・クローリーを演じています。
メイド長のウィルソン夫人を地味に演じていたのがイギリスのベテラン女優ヘレン・ミレン。イングランド、ロンドン出身、1969年に出演したマイケル・パウエル監督の「としごろ」では少女役でむちむちヌードを披露しています。初期の頃は割とキワモノ映画っぽい出演も多く、リンゼイ・アンダーソン監督、マルコム・マクダウェル主演のブラック・コメディ「オー!ラッキーマン」(1973年)や文芸(?)ポルノ映画、こちらもマルコム・マクダウェル主演の「カリギュラ」(1979年)や、ピーター・セラーズが監督・脚本・主演した「天才悪魔フー・マンチュー」(1980年)などに出演。一方で「ハムレット」(1974年)や「お気に召すまま」(1979年)などのシェイクスピア作品にも出演しています。1985年にテイラー・ハックフォード監督のサスペンス・ダンス映画「ホワイトナイツ/白夜」に出演。1989年にピーター・グリーナウェイ監督・脚本の衝撃グルメ映画「コックと泥棒、その妻と愛人」に出演しています。一方テレビドラマシリーズ「第一容疑者」の女警部ジェーン・テニスンは当たり役となりエミー賞を受賞しています。また、2006年にエリザベス女王を演じた「クィーン」では、アカデミー賞主演女優賞を獲得しています。2012年には「ヒッチコック」で、アルフレッド・ヒッチコックの妻アルマを演じています。
まとめ
文字通りの階層社会で地獄行き
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