オールドミスに見えるもの「たたり」

怪奇

事故物件はなんとなく住みたくないですね~

[原題]The Haunting
[製作年]1963[製作国]アメリカ
[日本公開]1963
[監督・製作]ロバート・ワイズ
[原作]シャーリー・ジャクソン「山荘綺談」
[脚本]ネルソン・ギディング
[上映時間]111

主な登場人物

エレノア・ラーンス(ジュリー・ハリス):
母親の介護の為婚期を逃してしまった女性。どこか陰気で思い込みが激しそう。霊感があることで幽霊屋敷の実験に選ばれる。

ジョン・マークウェイ博士(リチャード・ジョンソン):
人類学者。有名な幽霊屋敷に興味を持ち超常現象の研究の為屋敷で過ごす計画を立てる。

その他の登場人物

セオドラ(クレア・ブルーム): エレノアと同室。直感の持ち主。
ルーク・サナーソン(ラス・タンブリン): 相続人の甥。一緒に屋敷で過ごす。
グレース(ロイス・マクスウェル): マークウェイ博士の妻。現実的で実験をバカバカしいと思っている。

あらすじ

「丘の家」と呼ばれているヒュー・グレーンという人物が90年前に建てた家だが、新居に入る前にクレーンの妻が馬車の事故で死に、幼い娘アビゲールが残された。しかし、たたりは続きその後再婚した二番目の妻は階段から転げ落ちて死に、当主のグレーンも旅行中に死亡した。アビゲールは部屋から出ることなく、ベッドの上で老婆になった。寝たきりになった彼女を看護するために雇った村娘が雇い主の助けを無視したため、アビゲールが死亡。村娘がこの屋敷を相続したが、呪われていると誰も近寄らず、彼女はアビゲールの霊が見えると、とうとう精神に異常をきたして首を吊ったという。そしてボストンの遠い親戚、サナーソン夫人が相続した。マークウェイ博士はこの屋敷が格好の研究材料だと、夫人にしばらくこの幽霊屋敷に住み込んで超常現象が事実かどうか研究したいというのだ。博士が選んだ数人に屋敷で寝泊まりしてもらうという試みに、夫人は幽霊屋敷というレッテルを払拭するためにもこの申し出を許諾した。ついでに夫人のできそこないの甥のルークも参加させることにした。母親の介護のためオールドミスになったエレノアは母親が亡くなったあと、なんとなく姉に責められているようだった。家の車は貸さないという姉に、エレノアは行き先も告げず車に乗って行った。行き先は丘の家。実験に参加するのだが、エレノアは自分の棲家を見つけた、もうあの家には戻らないと心に決めていた。

どんな映画?

アメリカの女流作家で
超常現象や恐怖描写の多い作風で
知られるシャーリイ・ジャクソンの小説「山荘綺談」(The Haunting of Hill House)の映画化。

ずばりいわくつきの豪邸で
超常現象を調べるために霊感のある人物を集め数日過ごすというもの。
リチャード・マシスンの原作を映画化した「ヘルハウス」(1973年)も同じプロットですが、こちらは完全にホラー映画です。

90年前に建てられた「丘の家」と呼ばれる豪邸でしたが、
まず第一の呪いとして女主人が邸宅に着く前に馬車で木に激突し死亡してしまうのです。
そして後妻が階段から転落して死亡
当主も死亡し、一人残された娘のアビゲールは何故か保育室と呼ばれる部屋から
出ずそのまま老婆となってしまいました。
彼女の面倒を見る娘が見殺しにした後
屋敷を相続しますが図書室の
螺旋階段から首を吊って死亡という
たたりのオンパレードでした。

それに興味を持ったのが物好きの
学者マークウェイ博士
彼はたたりは存在するのか研究したいと
現在の持ち主であるサナーソン夫人に依頼します。

そこで幽霊屋敷で過ごす人物として選ばれたのが
オールドミスのエレノアでした。
実家で肩身の狭い思いをしていた
彼女はある決意をしていました。

マークウェイ博士への想いが抑えられなくなっていくエレノア。

「たたり」はヘンリー・ジェイムズの小説「ねじの回転」に近いような
呪いと思い込みが混在した結果、狂乱していく人物の恐怖を描いていると思われます。

本当に呪いや幽霊は存在するのか?

エレノアの孤独と共鳴するような屋敷の超常現象。
次第に取り込まれて行く様は恐怖以外の何者でもありません。
発狂していくジュリー・ハリスの演技は必見です!

スタッフ・キャスト

監督は職人系の巨匠ロバート・ワイズ。監督デビュー作の「キャット・ピープルの呪い」から、「死体を売る男」(1945年)、「生まれながらの殺し屋」(1947年)、「月下の銃声」(1948年)、「罠」(1949年)など初期の頃はホラーやB級フィルムノワール (今となってはフィルムノワール の傑作ですが)などの作品が多かったですが、1961年にミュージカル映画の金字塔「ウェスト・サイド・ストーリー」を監督、製作。1965年にはわたくしも大好きな「サウンド・オブ・ミュージック」を監督されています。またスーザン・ヘイワースにオスカーをもたらした「私は死にたくない」のような社会派映画から、「地球の静止する日」(1951年)、「アンドロメダ…」(1971年)、「スタートレック」(1979年)などのSF作品まで本当に幅広い作風で長く活躍されました。

主人公のオールドミスを演じたのはかつて「エデンの東」(1955年)でヒロインを演じたジュリー・ハリス女史。舞台で培った演技力に定評がある実力派。「たたり」以後は1966年の「動く標的」の脇や1967年の「禁じられた情事の森」(1967年)の不安定な主婦役などで脇を固めていましたが、ブロードウェイやテレビ出演などで長く活躍されていました。

余計なことしなきゃいいのにのマークウェイ博士役はイングランド出身の俳優リチャード・ジョンソン。若い頃から活躍していましたが、この「たたり」で有名に、その後は髭の似合う端正な顔立ちでダンディなおじさん役が多く長いキャリアを築きました。1976年のイタリア映画「ラストコンサート」では病魔に犯された少女と恋に堕ちる中年作曲家を演じていました。この映画は日本上映の際地方で「カサンドラ・クロス」の二本立てでおまけのような扱いをされていたそうですが、ベタなお涙頂戴ものにもかかわらず日本人好みで受けました。逆「ライムライト」のような映画でした。また、1979年に「ドクター・モローの島」のパクリ版「ドクター・モリスの島でドクター・モリスを演じております。

この映画の中で実は一番まともじゃなかったのかと思われるセオドラを演じたのはイギリス人女優のクレア・ブルーム。1952年にチャップリンの「ライムライト」のヒロインとしてデビューしたクレア・ブルームは「二つの世界の男」(1953年)、「寒い国から帰ったスパイ」(1965年)などのスパイ映画や、時代物など自国作品だけでなくヨーロッパやハリウッド資本の作品でも活躍。2010年には「英国王のスピーチ」でジョージ6世の母親役を演じておりました。

マークウェイ博士の妻を演じているロイス・マクスウェルは「007シリーズ」の初代マネーペニー役として有名です。

1999年にヤン・デ・ボン監督が「ホーンティング」としてリメイクしております。

まとめ

幽霊屋敷で地獄行き

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