妊婦さんは妊娠中の恨みは忘れないそうです。
[原題]Rosemary’s Baby
[製作年]1968[製作国]アメリカ
[日本公開]1969
[監督・脚本]ロマン・ポランスキー
[原作]アイラ・レヴィン
[製作]ウィリアム・キャッスル
[音楽]クリストファー・コメダ(ポーランド)
[上映時間]140
主な登場人物
ローズマリー・ウッドハウス(ミア・ファロー):
夢いっぱいの若い新妻。新居を探しにやってくる。
ガイ・ウッドハウス(ジョン・カサヴェテス):
ローズマリーの年の差夫。俳優だが中年にさしかかり仕事に悩みがありそう。
ミニー・カスタベット夫人(ルース・ゴードン):
派手なメイクのアパートの住人。何かとローズマリー夫婦に取り巻き、食べ物を運ぶ。
その他の登場人物
ローマン・カスタベット(シドニー・ブラックマー):アパートの住人。カスタベット夫人の夫。
エドワード・ハッチ(モーリス・エヴァンス):ローズマリーが父のように慕う初老の友人
サバティン(ラルフ・ベラミー):医者
ローラ・ライズ(パッツィ・ケリー):カスタベット夫人の友人
声:トニー・カーティス
あらすじ
マンハッタンの高級アパートメント。女弁護士が死んだ後、若い夫婦が部屋を見に来た。妻のローズマリーはこの部屋を気に入り、入居することに。友人でローズマリーが父のように慕っているハッチは、あのアパートは昔、トレンチ姉妹が子供を食べてたとか、死体があったとか変な噂があるという。地下のランドリーで知り合った若い女性は、麻薬中毒だったが隣に住むカスタベット夫妻の養女になっているという彼女が首にかけていたペンダントは、美しかったが中にタニス草という魔除けが入っており強烈な臭いがした。ある日アパートに帰宅してみるとその若い女性が飛び降りて死んでいた。そこで出会ったカスタベット夫妻という老夫婦に、娘がいなくなって寂しいので遊びに来て欲しいと食事に招待される。食事後、売れない俳優のガイは夫妻の夫と息統合し一人でも会いに行くことに、その後も何かと上がりこむ隣の老女にあまりいい気分がしていなかった。数日後ガイにいい役が回ってくる。主演の俳優が原因不明の失明をしてしまうのだ。カスタベット夫人からデザートをもらい食べたところ、ローズマリーは気分が悪くなりそのまま眠りに就く。夢か現実かわからない中、アパートの人たちに囲まれ、悪魔のような者に襲われる。その後、妊娠していることがわかり…
どんな映画?
売れない若手俳優のガイは妻のローズマリーを連れてニューヨークの高級アパルトマンを見にやってきます。
すっかり気に入ったローズマリーはそこに住むことに。
友人のハッチはこのアパルトマンでは殺人事件や奇妙な噂があると話します。
完全に事故物件だと思うのですが、それにも勝るアパートの素晴らしさ。
新生活が始まり、地下ランドリーで同じアパートのカスタベット夫妻のところに世話になっていると言う
女性と話をします。彼女は不思議な匂いのするタニス草のペンダントをしていました。夫妻から送られたと言うのです。
ある日ローズマリーとガイがアパートに帰宅すると、彼女が飛び降りたと知らされます。
その日から何かとローズマリーとガイにかまってくるカスタベット夫妻。
ガイはカスタベット夫妻を気に入り懇意になります。
カスタベット夫人の作る料理を食べさせられるローズマリー。
何だか変な味だな~と思いつつも年寄りの好意と思って断れずにいます。
そこにはタニス草が入れられていると話します。
人の不幸で仕事運が向いてくるガイ。
一方で食事の後食べた、カスタベット夫人のチョコムースで気分が悪くなるローズマリー。
眠っている間おかしな夢にうなされます。
そして妊娠。
体調が悪いローズマリーは心機一転ヴィダル・サスーンで髪を切ります。
ロンドンでサロンを開いていたヴィダル・サスーンが1960年代に流行らせたのが、ボブを基本にしたサスーンカット。ザンギリっぽいカットですが、ここではベリーショートになっています。ミア・ファローといえばこの髪型のイメージが強い気がします。
夫には短い髪が不評。どんどん体調は悪化し、ほとんど生の肉を食べるが痩せていく。
お腹の赤ちゃんが成長していくとともに、精神的に追い詰めらていくローズマリー。
久しぶりに会ったハッチはローズマリーの風貌にびっくりしたほど。
ローズマリーがぶら下げているペンダントのタニス草のことを調べてみると言って帰っていきます。
しかし、ハッチは急死してしまいます。
ハッチのお葬式で、ローズマリーはハッチが送ろうとしていたという本を渡されました。
そこにはタニス草とトンデモナイ秘密が書かれていたのでした。
スタッフ・キャスト
原作のアイラ・レヴィンは、「ステップフォードの妻たち」「ブラジルから来た少年」などSFタッチのミステリーが有名ですが、映画化された「デストラップ・死の罠」の戯曲を残しています。
この映画をさらにな不吉な印象にさせたのは、監督であるロマン・ポランスキーが翌年に襲われた悲劇でした。「吸血鬼」で共演したシャロン・テートと1968に結婚したのですが、1969年に妊娠8カ月のシャロンは自宅でカルト教団の3人の女たちに殺害されてしまいます。
1980年には外観の撮影が行われたダコタ・ハウスに住んでいたジョン・レノンが自宅前で射殺されるという事件が起こってしまいます。
家に魅せられ、そこのおかしな住人に狂わされていく様は、同じくロマン・ポランスキー監督の1976年の映画「テナント/恐怖を借りた男」でも描いていましたが、「ローズマリーの赤ちゃん」では痩せていて神経質そうな妊婦の役ミア・ファローの演技が秀逸でした。ショックシーンなど一切ないのにじわりじわりとくる精神的恐怖感は後に来るオカルトブームの先駆けとなりました。
この映画の撮影中、ミア・ファローは1966年に結婚した30歳近く年上の夫フランク・シナトラとの関係が悪化し1968年に離婚しています。映画「類猿人ターザン」のヒロインジェーン役で有名なモーリン・オサリヴァンと映画監督のジョン・ファローとの娘で、この映画で初主演しトップ女優としての地位を獲得しました。個人的にはお母さんのモーリン・オサリヴァンの方が美人かなーと思いますが、痩せて神経質そうな見た目はこの映画の役にピッタリです。2006年のリメイク版「オーメン」ではベイロック夫人を演じていました。
ローズマリーの夫ガイ役のジョン・カサヴェテスは自分の映画を撮るため俳優をこなしていたそうですが、この「ローズマリーの赤ちゃん」での、売れない役者で妻の意見にあまり耳をかさない夫の役がぴったり(失礼?)だったように思います。カサヴェテスは監督として、妻であるジーナ・ローランズを主演とした作品を多く撮り、1980年の「グロリア」は商業的にも成功しました。
怪しいアパートの住人カスタベット夫人を演じたルース・ゴードンは、キャリアの長い女優でしたが、このカスタベット夫人の強烈な演技で60歳を超えてブレイク。「ローズマリーの赤ちゃん」の演技で第41回アカデミー賞助演女優賞を受賞しています。1971年にはカルト映画「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」に出演し話題を呼びました。
ポランスキー監督の傑作オカルトムービーです。
まとめ
妊娠して地獄行き。
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