オムニバスはお得感があります。
[原題]Histoires extraordinaires
[製作年]1967[製作国]フランス・イタリア
[日本公開]1969
[監督](第一話)ロジェ・ヴァディム
(第二話)ルイ・マル
(第三話)フェデリコ・フェリーニ
[原作]エドガー・アラン・ポー
第一話「メッツェンガーシュタイン」
第二話「ウィリアム・ウィルソン」
第三話「悪魔に首を賭けるな」
[製作]アルベルト・グリマルディ/レイモンド・イーガー
[撮影]クロード・ルノワール/トニーノ・デリ・コリ/ジュゼッペ・ロトゥンノ
[音楽]ニーノ・ロータ/ディエゴ・マッソン/ジャン・プロドロミデス
[上映時間]122
主な登場人物
第一話
フレデリック(ジェーン・フォンダ):メッツェンガーシュタイン伯爵夫人、22歳
ウィルヘルム(ピーター・フォンダ):貧しい分家ベルリフィシング男爵家の当主
第二話
ウィリアム・ウィルソン(アラン・ドロン):冷酷な青年
ジェセピーナ(ブリジッド・バルドー):賭博場で知り合った女性
第三話
トビー・ダミット(テレンス・スタンプ):人気シェイクスピア俳優
その他の登場人物
第一話
ユーグ(セルジュ・マルカン):フレデリックの側近
侯爵(ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス):フレデリックの客人
娼婦(フランソワーズ・プレヴォー):乱交の一員
ナレーター(モーリス・ロネ):フランス語版
第二話
ブロンドの娘(カティア・クリスチーヌ):ウィルソンたちに拉致される
第三話
スパニャ神父(サルヴォ・ランドーネ):映画制作会社の代表
あらすじ
第一話「黒馬の哭く館」(Tre Passi Nel Delirio)
22歳のメッツェンガーシュタイン伯爵夫人のフレデリックは、若い未亡人で莫大な財産を相続し、日夜気ままに暮らしていた。その朝、悪夢に悩まされ幼少期に過ごした城に客人たちを連れ立って出かけた。フレデリックは非常に美しい夫人だったが、召使を嬲って遊ぶような淫蕩で残虐な性質だったが、誰もが彼女の機嫌を取って何も言えなかった。しかし、ただ一人貧しい分家であるベルリフィシング男爵家の当主ウィルヘルムだけは彼女を公然と批判した。両家は数世紀にも渡り反目し合っていたが、理由はわかっていなかった。ウィルヘルムはフレデリックの近くの城に一人で住んでいた。従兄弟同士であるがフレデリックは彼を遠くから見つけると軽蔑の眼差しを向けるが、ウィリアムは全くの無関心で、彼の興味は馬と狩猟にしかなかった。ある日フレデリックが一人森を散策していると、足を罠に引っ掛けてしまい負傷した。そこにたまたまウィルヘルムがいたため、彼に助けを求めた。すぐに彼はフレデリックのそばに駆け寄り罠を外してくれた。しばらく見つめ合った二人。それからフレデリックはウィルヘルムを忘れられずにいたのだが…
第二話「影を殺した男」(William Wilson)
額から血を流し必死に走る青年のウィルアム・ウィルソン。教会に駆け込み、神父に無理やり懺悔を頼んだ。ウィルソンは人を殺したと告白した。彼は少年の頃からの話を始めた。寄宿学校で少年時代を過ごしたウィルソンは、同級生を平気でいじめる残虐な少年だった。そこに止めに入ったのは新入生がいた。彼は自分の名をウィリアム・ウィルソンだと言った。ウィルソンは影のように自分を注目するウィルソンを奇妙に感じていた。とうとう夜中にウィルソンのベッドに行き首を締めてしまう。この事件から両ウィルソンは学校から放校処分となってしまったという。その後ウィルソンは興味から医学校に入学した。残虐性は変わらず、道で捕まえた娘を大学の教室で、大勢の同級生の前で遺体解剖のように裸にして縛り付けた。助けてと叫ぶ女性にメスを向けたウィルソンだが、突然扉を開け男が入り、女性のロープを解いた。メスを持ち呆然とするウィルソンにどちらが味方なのか困惑した娘がウィルソンに抱きつこうとすると、メスが娘の腹を刺した。その後ウィルソンは大学を辞めて軍隊に入った。しかしもう戦争はなくウィルソンの軍隊は素行が悪く街でも評判が悪かった。ある時カジノで黒髪の美しい女と出会い…
第三話「悪魔の首飾り」(Never Bet the Devil Your Head)
新作映画の撮影のためローマに到着したイギリスの人気俳優ダミットは、この旅行が自分の人生を変えるだろうと予感していた。空港に降り立つやいなやカメラマンに囲まれ、フラッシュに耐えきれなくなったダミットは鞄を投げつけた。そこにイタリアの映画制作会社の代表スパニャ神父と監督のマネッティ兄弟とガイドがあいさつし、ダミットを見てピッタリだと話合った。車の中で、初のカトリック西部劇で、キリスト教に対する冒涜だ言うものもいるかもしれないが、ドライヤーとパゾリーニにジョン・フォードを少し加えるとよくわからない壮大な構想語られる。ダミットは一言フェラーリをもらえる約束になっていると神父に伝えた。神父は前夜祭の後に差し上げますと答えた。ダミットは空港でボール遊びをしていた少女を思い出す。ウィスキーを煽って大丈夫だと言うダミット。テレビの出演前でも飲んで気合いを入れる始末で…
どんな映画?
エドガー・アラン・ポーの原作三作品を、ロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニがそれぞれ監督し、ジェーン・フォンダ、アラン・ドロン、テレンス・スタンプ主演で映画化。豪華なゴシック・ホラー作品に仕上がっております。
第一話「黒馬の哭く館」
わがまま・冷酷・淫乱金髪美女の
伯爵夫人のフレデリック
へそ出しコスチュームで登場
ある時
森の中で罠に足を
引っ掛けてしまったフレデリック
いとこである
貧乏貴族ウィルヘルムが
助けてくれます。
ありゃ よく見りゃいい男(ポッ)
それ以来ウィルヘルムのことが
気になってしまった
フレデリック
ですがウィルヘルムは
素行の悪いフレデリックには
靡きません。
イラついたフレデリックは
側近のユーグに
ウィルヘルムの厩舎を
燃やすように命令します。
ちょっと困らせるつもり
だったのに
愛馬を助けるために
火の中に飛び込んだ
ウィルヘルムは帰らぬ人に…
それ以来狂ったようにウィルヘルムの黒馬に乗り続けるフレデリック
ポーの「メッツェンガーシュタイン」を原作にフランスの映画監督ロジェ・ヴァディムが監督。ロジェ・ヴァディムは、「バーバレラ」(1968年)の撮影終了直後に撮影開始し、当時の監督の妻であったジェーン・フォンダが主演し、ジェーン・フォンダの弟ピーター・フォンダが相手役として共演していることでも知られています。 ジェーン・フォンダのセクシー衣装も見どころの一つです。
第二話「影を殺した男」
路地を猛ダッシュする
若い兵士
ウィリアム・ウィルソン
教会に飛び込んだウィルソンは
神父に懺悔したいと
無理やり告白を始めます。
寄宿学校にいた
ウィルソンは
サイコパス少年。
同級生を平気で吊るし上げ
集団いじめの主犯格
そんなウィルソンの前に
立ちはだかったのは
同じ名前のウィルアム・ウィルソン
その後放校になった
ウィルソン、今度は医学校に
美形青年・医者の卵の最強
サイコパスのウィリアム。
再び行手を阻んだのは
もう一人のウィリアムでした。
カジノで黒髪の女性を痛ぶるウィルソンを止めたのは…
ポー原作の「ウィリアム・ウィルソン」を、「死刑台のエレベーター」(1958年)の監督として知られる、フランスの映画監督ルイ・マルが担当。当時ルイ・マル監督が次回作「好奇心」(1971年)の資金集めのために引き受けたとのこと。ブリジッド・ヴァルドーが出演しているなど豪華な出演で知られています。 個人的には三本の中で一番好きな作品となりますが、特にサイコパス・アラン・ドロンが若く美青年な上に危ない役がピッタリハマっていて◎です。
このドッペルゲンガーを題材にした「ウィリアム・ウィルソン」は、「プラーグの大学生」としてドイツで3回映画化されています。
第三話「悪魔の首飾り」
イギリスの人気俳優ダミットは
新しい映画撮影と映画祭に出演する為
ローマの空港に到着
空港では
神父で映画プロデューサーの男と
その取り巻きたちが
お出迎え
カトリックの西部劇映画が撮りたいねん!
ってどんな映画?
酒を煽るダミットは
フェラーリ貰えるんなら 別にいーよ
すっかり出来上がった
ダミットは
テレビ出演でも支離滅裂
大丈夫か?
ボールで遊ぶ怪しい少女がこちらを向いてニター
原作は、ポーの「悪魔に首を賭けるな」で、イタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニが監督。三本の中で一番評価が高い作品となっており、現代版にアレンジされており、正統派のホラー作品となっています。 「コレクター」(1965年)や「プリシラ」(1994年)などでの出演で知られるイギリス人俳優テレンス・スタンプが飲んだくれ俳優を熱演されています。
スタッフ・キャスト
第一話で登場したのがほとんどセリフがなかったウィルヘルムを演じたピーター・フォンダ。主演のジェーン・フォンダは実のお姉ちゃんです。姉が弟に恋する設定はなかなかオツなもんですが、ジェーンとピーターのご姉弟は、名優ヘンリー・フォンダを父に持つ俳優さんです。1963年に「タミーとドクター」で、サンドラ・ディーの相手役のドクターとして映画デビュー。また、同年にはイギリス・アメリカ合作戦争映画「勝利者」(1963年)にも出演。翌年にロバート・ロッセン監督の「リリス」に、患者の青年役で出演し、同年メトロ・ゴールドウィン・メイヤーによる青春映画「若い恋人たち」(1964年)に主演しています。1966年にロジャー・コーマン監督のアクション映画「ワイルド・エンジェル」で暴走族を演じ、同監督のトリップ映画「白昼の幻想」(1967年)にも主演しています。1969年に製作・主演した「イージー・ライダー」は、アメリカン・ニューシネマの代表作となりました。その後も監督・主演した西部劇「さすらいのカウボーイ」(1971年)が酷評されるものの現在では再評価れています。また、同年には「イージー・ライダー」から監督2作目になるデニス・ホッパー監督作「ラストムービー」(1971年)にも出演しています。ロバート・ワイズ監督の恋愛映画「ふたり」(1973年)や、あっけの取られるラストで知られるジョン・ハフ監督のアメリカン・ニューシネマの一本「ダーティー・メリー/クレイジー・ラリー」(1974年)、カルト的ホラー映画で知られる「悪魔の追跡」(1975年)、「ウエストワールド」(1973年)の続編SF映画「未来世界」(1976年)などに出演。その後もコンスタントに映画作品に出演されていますが、1997年に主演したヒューマン映画「木漏れ日の中で」で初老の養蜂家を演じゴールデングローブ賞を受賞するなど再評価を得ましたが2019年に79歳でお亡くなりになっています。最近お見かけしませんが女優のブリジット・フォンダは娘さんです。
一話目でジェーン・フォンダの側近ユーグを演じたセルジュ・マルカンは、フランスで活躍した俳優。兄は俳優で、カルト映画「キャンディ」(1968年)の監督としても知られているクリスチャン・マルカン。妹はジャン=ルイ・トランティニャンの元妻で女性映画監督として知られるナディーヌ・トランティニャン。「荒野の一つ星」(1967年)、「さいはての用心棒」(1966年)、「傷だらけの用心棒」(1967年)、「バスタード」(1968年)などのマカロニ・ウェスタンに出演。1968年に公開されたロジェ・ヴァディム監督のトンデモSF映画「バーバレラ」にも出演されています。
まとめ
やっぱりポー原作は鉄板で地獄行き
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