美女吸血鬼なら襲われてもいいですか?
[原題]Et mourir de plaisir
[製作年]1960[製作国]フランス・イタリア
[日本公開]1962
[監督・脚本]ロジェ・ヴァディム
[脚本]クロード・ブリュレ/クロード・マタン/ロジェ・ヴァイヤン
[原作]ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュ
「吸血鬼カーミラ」
[製作]レイモン・エジェ
[撮影]クロード・ルノワール
[音楽]ジャン・プロドロミデス
[上映時間]74
主な登場人物
カミーラ・カーンシュタイン(アネット・ヴァディム):
レオポルドの従姉妹で幼馴染。オーストリアからレオボルドの婚約パーティーの為にイタリアに来たが、本当はレオポルドを愛している。
レオポルド・カーンシュタイン伯爵(メル・ファーラー):
城主。婚約者ジョルジアのお披露目の為に、カミーラや友人を呼んで仮装パーティーを計画。
その他の登場人物
ジョルジア・モンテベルディ(エルザ・マルティネッリ):レオポルトの婚約者
カルロ・ルジエリ(アルベルト・ボヌッキ):花火師
ヴァレリ医師(ルネ・ジャン・ショーファール):医学博士
リザ(ガブリエラ・フェリノン):若いメイド
ジョゼッペ(セルジュ・マルカン):使用人
モンテベルディ判事(マルク・アレグレ):ジョルジアの父親
グイド・ナルディ(レナート・スペツィアーリ):レオポルトの友人
あらすじ
パリからローマに向かう飛行機の中で、今は90分で行けるが500年前は2ヶ月かかったと述懐する。自分は500年以上現在までも生き続けているという。ローマ近郊で、吸血鬼伝説のある古城の主人カーンシュタイン伯爵は、婚約者のジョルジアとその父親であるモンテベルディ裁判長を招待し盛大に婚約披露を兼ねた仮装パーティーを開催することを計画していた。その他に、ヴァレリ医学博士や友人のナルディ、レオポルドの幼馴染のいとこでオーストリア分家の末裔であるカミーラ・カーンシュタインが招待された。レオポルドは、花火師のルジエリに依頼し当日は盛大にしたいと話す。ルジエリは得意げに、すでに城の周辺を散策し花火を打ち上げるのに理想の場所として、丘にある修道院跡だと述べた。修道院跡という言葉にカミーラはすぐさま反応したが、レオポルドは先祖の墓の上で花火で彩るのもいいアイデアだと笑った。レオポルドは村人の賛同を得るように使用人のジョゼッペに指示するが、断って行ってしまう。疑問に思ったモンテベルディ氏が尋ねると、レオポルドとカミーラは口々に人の生き血を吸う吸血鬼の存在を恐れているのだと言う。カーンシュタイン家の一族は吸血鬼なのだと話すが、吸血鬼は1765年の農民の反乱時に全ての墓を暴き杭を刺し全滅させたと言う。しかしカミーラは、ある女性の肖像画の前に立ち、ただ一人ミラーカのみだと話す。ミラーカは従兄弟のルドウィックを愛し結婚式の前夜に絶命してしまい、反乱当時ミラーカの墓は空だった為絶命を免れたのだと言う。その後ルドウィックは3度婚約するが、婚約者は皆んな死んでしまったのだと語る。肖像画の薔薇は萎んでおり、不思議に思ったジョルジアが尋ねると、カミーラは吸血鬼が触れると萎むのだと答えた。今でもミラーカの魂は城の中にあり、ルドウィックに似たレオポルドを求めていると言うのだ。城の中で盛大に火葬パーティーが行われた。カミーラは参加せず自室で酒を煽っていた。レオポルドはカミーラにパーティーに出るように赤いドレスを投げつける。カミーラはミラーカの肖像画と同じウェディングドレスを着て現れ顰蹙を買った。墓地で盛大な花火が打ち上げられるが、爆発が起きてしまう。
どんな映画?
フランスの映画監督ロジェ・ヴァディムが、当時の妻アネット・ヴァディムを主演に、ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュ原作の「吸血鬼カーミラ」を映画化。吸血鬼ビアン耽美映画として知る人ぞ知る映画となっております。
オーストリアから従兄弟の
レオポルドにローマの
カーンシュタイン家の城に
呼び出されたカミーラ
密かに愛していたレオポルドは
婚約者のジョルジアを連れていました。
落ち込むカミーラにレオポルドは
婚約披露も兼ねた仮装パーティーを
派手にやろう!
と友人たちを呼び、花火師も。
花火師のルジエリは
カーンシュタイン家の墓地が
ある場所で花火を打ち上げると
言い出します。
ざわつく使用人。
レオポルドは
いーじゃんそれ! と乗り気。
カミーラはカーンシュタイン家の
吸血鬼伝説を語り始めます。
200年前に村人たちに
根絶やしにされた中で
ただ一人肖像画に描かれた
ミラーカだけが生き残ったのだと。
肖像画のミラーカとカミーラは 生き写しのようでした。
そしてカーミラの婚約者は
レオポルドにそっくりだと
言うのですが…
ジョルジアに近づくミラーカに乗っ取られたカミーラ
19世紀アイルランドの作家J・シェリダンの「吸血鬼カーミラ」を元に、現代風にかなりアレンジされたものです。1970年のロイ・ウォード・ベイカー監督、イングリッド・ピット主演のハマー映画「バンパイア・ラヴァーズ」の方が原作に忠実に描かれています。
主演は、監督のロジェ・ヴァディムの当時の妻アネット・ヴァディムで、前年には同監督のジャンヌ・モローとジェラール・フィリップが主演した「危険な関係」(1959年)にも出演し、デンマーク出身の綺麗な女優さんでした。監督とはお子さんもいらっしゃいましたが、1960年に離婚されています。監督はその後、カトリーヌ・ドヌーヴと交際しますが、1965年にジェーン・フォンダと結婚しています。
ジョルジアの父親でモンテヴェルディ判事を演じたのは、映画監督のマルク・アレグレ。ブリジット・バルドー主演の「裸で御免なさい」(1956年)や、ミレーヌ・ドモンジョ主演の「黙って抱いて」(1959年)などの作品があります。
撮影はハドリアヌス帝の別荘であるヴィッラ・アドリアーナで行われ、女優陣が美しく、内容はイマイチにしても、クロード・ルノワールの撮影は高く評価されております。
スタッフ・キャスト
カミーラの想い人の従兄弟レオボルドを演じたのは、アメリカ合衆国の俳優で映画監督のメル・ファーラー。オードリー・ヘプバーンの元夫だったこともあり、メル・ファーラーの名前がよく知られているのですが、結婚は5回されています。4番目の妻がオードリー・ヘプバーンとのことです。1950年にクローデット・コルベール主演のフィルム・ノワール「狙われた結婚」を監督。同年には、俳優としてニコラス・レイ監督ジョーン・フォンテイン主演の「生まれながらの悪女」(1950年)に脇役ながら重要な役で出演。1952年に剣戟映画「血闘(スカラムーシュ)」にスチュワート・グレンジャーの敵役を好演、同年フリッツ・ラング監督の西部劇「無頼の谷」(1952年)に出演。翌年ミュージカル映画「リリー」(1953年)に主人公の相手役の人形使いを演じています。1954年にブロードウェイで共演したオードリー・ヘプバーンと結婚。1956年にキング・ヴィダー監督の「戦争と平和」で共演しています。同年、ジャン・ルノワール監督、イングリッド・バーグマン主演の「恋多き女」(1956年)、ヘンリー・キング監督の「陽はまた昇る」(1957年)、妻のオードリー・ヘプバーンと共演した「マイヤーリング」(1957年)に出演。その後も戦争大作「史上最大の作戦」(1962年)、リチャード・クワイン監督のラブコメ「求婚専科」(1964年)などに俳優として出演。1967年のテレンス・ヤング監督、オードリー・ヘプバーン主演の「暗くなるまで待って」では、製作を担当しこちらが夫婦での最後の共作となりました。サスペンス映画「ナイトビジター」(1970年)の製作を担当した他、1970年代以降からはイタリアやヨーロッパで、エロホラー「レディ・イポリタの恋人」(1974年)、ジョン・ウェイン主演の刑事映画「ブラニガン」(1975年)、トビー・フーパー監督のホラー「悪魔の沼」(1976年)、当時流行った(?)食人映画の一つ「食人帝国」(1980年)などB級、ホラー問わず俳優として多くの映画に出演されました。
レオポルドの婚約者ジョルジアを演じたのはイタリアの女優エルザ・マルティネッリ。1955年にアンドレ・ド・トス監督、カーク・ダグラス主演の西部劇「赤い砦」に出演。翌年にはイタリアでラファエロ・マタラツォ監督の「水田地帯」(1956年)に主演。同年主演したラブコメディ「ドナテッラ」(1956年)に主演しベルリン国際映画祭で銀熊賞を獲得しています。1959年にはマウロ・ボロニーニ監督の青春映画「狂った夜」に主演。「血とバラ」(1961年)の同年にはサスペンス映画「危険なデイト」(1961年)に出演。翌年にはアメリカでハワード・ホークス監督、ジョン・ウェイン主演の「ハタリ!」(1962年)に出演しています。その後も、アンソニー・アスクィス監督のグランド・ホテル形式の群像劇「予期せぬ出来事」(1963年)、オーソン・ウェルズ監督の「審判」(1963年)、フランス・イタリア・日本・オランダ合作の「世界詐欺物語」(1964年)、マルチェロ・マストロヤンニ主演のSFサスペンス「華麗なる殺人」(1965年)、ジーン・セバーグ主演の犯罪コメディ「盗みのテクニック」(1966年)、ヴィットリオ・デ・シーカ監督の豪華キャスト「女と女と女たち」(1967年)、クリスチャン・マルカン監督のトンデモカルト映画「キャンディ」(1968年)などに出演されています。
まとめ
美女吸血鬼はツボで地獄行き
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