異常な博士の愛情「カリガリ博士」

怪奇

悪い占いはダイレクトにへこたれます。

[原題]Das Kabinett des Doktor Caligari
[製作年]1919[製作国]ドイツ
[日本公開]1921
[監督]ローベルト・ヴィーネ
[脚本]ハンス・ヤノヴィッツ/カール・マイヤー
[製作]エリッヒ・ポマー
[撮影]ウィリー・ハマイスター
[上映時間]71

主な出演

チェザーレ(コンラート・ファイト):
右の棺桶の中の男。眠り男チェザーレ。
カリガリ博士によってカーニバルの出し物として登場。
不吉な占いを展開する。

カリガリ博士(ヴェルナー・クラウス):
左のおっさん。
カーニバルに棺桶に入れた眠り男を伴って現れ、怪しい占いを展開する。その後発生する連続殺人事件。

フランシス(フリードリッヒ・フェーエル):
ちょっとボンやりした若者。
友人のアランとカーニバルを訪れカリガリ博士に疑いの目を持つのだが…

その他の登場人物

ジェーン(リル・ダゴファー):フランシスの恋人

あらすじ

ベンチで隣に座る老人が青年フランシスに話し掛ける。そこにふらふらと通りかかる美しい娘を、彼が指さして「彼女は僕の婚約者」だと述べる。そして僕らが体験した恐ろしい話をしようと言う。舞台はフランシスの故郷ホルステンヴァル。親友のアランに誘われてカーニバルに出かけた。そこにシルクハットで丸メガネのカリガリ博士と名乗る老人が夢遊病者のショーを行っていた。棺桶の中にはチェザーレという眠り男が入っており、彼が目を覚ますと予言を述べると言うのだ。アランは面白がって「自分はあとどれくらい生きられるのか?」と尋ねるとチェザーレはカッと目を見開いて「もうすぐ死ぬ!」と述べたのだ。
二人で笑い飛ばしたのだが、翌日アランは殺害されて発見された。

どんな映画?

この映画は1919年に製作されたサイレント映画です。

若者フランシスとその親友アランはカーニバルに出かけます。
そこにはカリガリ博士が眠り男チェザーレを使って見世物小屋を
開いていました。

チェザーレが目を覚ますと予言をするというのです。
面白がってアランは
「僕はあとどれくらい生きられる?」

するとチェザーレはカッと目を見開き


「もうすぐ死ぬ!夜明けだ

ドーン

と答えるのです。

そしてアランは何者かに殺されてしまいます。
シルエットで表現することにより、犯人を直接映さず、恐怖感を増長させます。

1922年のF・W・ムルナウの「吸血鬼ノスフェラトゥ」でも影が効果的に使われていました。こちらの「吸血鬼ノスフェラトゥ」もドイツ表現主義の映画と言われています。

「カリガリ博士」はドイツ現実主義を象徴する映画と言われ、第一次世界大戦の敗北での荒廃と社会不安、ダダイスムと混沌とした時代背景により、何か漠然とした不安感が画面に現れています。また、幾何学的な背景やセットは影の陰影を強調し、不安感を誘います。


そして起こる連続殺人。

チェザーレによってジェーンまでも連れ去られます。

はじめからカリガリ博士を犯人だと思っているフランシスは連続殺人の謎を解くため博士を追跡するのだが…

「カリガリ博士」の醍醐味はその結末のどんでん返しにあります。
ホラー映画の元祖と呼ばれるのはこのオチあってのことです。
後のホラー映画は元より、フィルム・ノワールの作風に大きな影響を与えました。

1962年のアメリカ映画「怪人カリガリ博士」原題のタイトルは同じですが内容は違うものです。

スタッフ・キャスト

眠り男チェザーレを演じたコンラート・ファイトはドイツ出身の俳優。「カリガリ博士」の眠り男チェザーレ役が有名ですが、1928年の「笑ふ男」。どちらもキャラ立ちがすごすぎて後の作品に多大な影響をあたえました。「笑ふ男」で演じていたグウィンプレインは、口を切り裂かれ常に笑ったような顔にされた男。「バットマン」のジョーカーの元になったと言われています。ドイツで多くの映画に出演し、その後ハリウッドに渡り、1942年の「カサブランカ」では少佐役を演じています。

ちょっとぼんやりしたような若者フランシスを演じているフリードリッヒ・フェーエルはオーストリア出身の俳優。後に映画監督もされているそう。

眠り男のインパクト。忘れられない一本です。

まとめ

眠り男で地獄行き

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