髪の毛が綺麗だと3割増しです。
[原題]This Gun for Hire
[製作年]1942[製作国]アメリカ
[日本公開]劇場未公開・テレビ放映
[監督]フランク・タトル
[原作]グレアム・グリーン
「拳銃売ります」
[脚本]W・R・バーネット/アルバート・マルツ
[音楽]デヴィッド・バトルフ
[上映時間]81
主な登場人物
フィリップ・レブン(アラン・ラッド):
冷徹な殺し屋。でも猫が好き。依頼主ゲイツに嵌められる。
エレン・グラハム(ヴェロニカ・レイク):
ナイトクラブの歌手兼マジシャン。彼氏は刑事のクレイン。その実スパイとして暗躍。
その他の登場人物
マイケル・クレイン刑事(ロバート・プレストン):エレンの婚約者
アルバート・ベイカー(フランク・ファーガソン): 暗殺される
ウィラード・ゲイツ(レアード・クリーガー): クラブ経営者。レブンの雇用主。
アルバン・ブリュースター(タリー・マーシャル):ニトロ化学会社社長
トミー(マーク・ローレンス):ゲイツの部下
あらすじ
サンフランシスコの殺し屋のレブンは依頼を受けメッセージの通りに向かうことにする。アパートに入ると階段に子供が座っているが無視して部屋に入る。一人だと聞いていたが、中には秘書だと言う女もいた。ベイカーはレブンに金を持ってきたかと尋ね、ゆすりのネタである封筒を差し出した。するとレブンはカバンから金ではなく拳銃を取り出し躊躇なくベイカーを射殺する。封筒の中には化学式が書かれており機密文書のようだった。目撃した女はドアを閉め隣室に籠るがレブンはドア越しに撃ち込んで女も射殺する。報酬を受け取りにジョンソンという男とレストランで落ち合い封筒を渡すが、大元の顧客の名前は知らないと答えた上に偽名を名乗っているようだった。レブンは報酬である新札の10ドル札を数え少なさに不服を漏らすが男ははぐらかして立ち去る。男はその足で警察に向かい、ロスにあるニトロ化学会社のゲイツと名乗り、化学者襲撃の犯人が新札の10ドル札ばかりの2万ドル盗み逃走している。すぐに犯人を捕まえ5000ドルの懸賞を懸けてもいいという。異例な発言にたまたまロスからサンフランシスコに休暇で来ていたクレーン刑事は呆れていた。一方ゲイツはロスにある自分のナイトクラブ、ネプチューン・クラブで働く芸人のオーディションを行い、歌いながらマジックを披露する美貌のショーガール、エレンを気に入り明朝ロスに来るように誘う。翌日エレンは上院議員バーネットと車中会議を行い、スパイ容疑がかけられているゲイツに近づくよう要請を受ける。エレンは恋人であるクレーン刑事にも秘密裏にロスに向かうことにする。一方レブンにより10ドル札が使われ、その番号から足が付きクレーン刑事たちがアパートに出向く。レブンはゲイツに現金強奪の罪まで被されたことを知る。レブンはゲイツに報復するため、ゲイツを追いかけてロス行きの列車に乗り込み、丁度同じ列車に乗っていたエレンと隣り合わせに座った。
どんな映画?
1936年にイギリスのスパイ小説の第一人者グレアム・グリーンの「拳銃売ります」がアメリカで出版され、すぐに映画化が着手されますが実現したのは1942年になります。
80分程の尺の中でこれでもかと殺しが起こり、ヴェロニカ・レイクの美しさと相まって退屈しない名作フィルム・ノワールです。
正に冷徹無比の殺し屋レブン。
ですが、猫は好き❤️
出掛ける間際、窓の外に子猫がおり慣れた手つきで窓を開け猫にミルクをやるレブン。
掃除婦が入り猫を追い出そうとするとレブンは彼女につかみかかり逆に彼女を追い出します。
その際に彼女の服が破けてしまします。
女にも無慈悲です。
早速お仕事ということで
ゆすりをかけてる男を射殺し
ゆすりのネタを回収。
ついでに同席していた女も射殺。
さすがに階段にいた子供を手にかけず逃走。
依頼主と落ち合い報酬を受け取りますがこの依頼主のゲイツはかなりの曲者。
一流化学会社の重役ながら夜はナイトクラブを経営しています。
ゲイツは会社の機密情報を盗んだ男を殺害のついでに金の横領をレブンに被せて警察に告発。
レブンに懸賞金をかけその場で射殺しろと要請。
一方ショーガールのエレンは上院議員バーネットからゲイツに探りを入れるようロスのナイトクラブに潜入することに。
偶然ロス行きの電車の中で隣り合わせるレブンとエレン。
二人の運命は?
猫はラッキーの象徴だって。
右目の上に垂れ下がる前髪がトレードマークとなったヴェロニカ・レイク。当時まだ20歳そこそこだったにもかかわらずクールな眼差しは雰囲気抜群です。
とにかく髪が美しい!!
「L.A.コンフィデンシャル」(1997年)にでキム・ベイシンガーがパクっていたのがこの髪型です。
そしてアラン・ラッドが若い。それほど身長は高くないのですが、この映画で演じた非道ながらも両親を失い叔母からひどい虐待を受けて育ち、手首に傷痕を残された悲惨な生い立ちや、猫を可愛がる本当は優しんじゃねっという萌えポイントを押さえた内容と、縛られるヴェロニカ・レイク、ハラハラの逃走シーン、1942年という時代に関わらず高層ビルに自動ドア、車椅子の悪玉、ガスマスク(?)など見どころ満載です!
この映画でアラン・ラッドとヴェロニカ・レイクが人気を博し、その後このカップリングで3作の映画が作られました。1942年にダシール・ハメット原作の2度目の映画化「ガラスの鍵」。1946年にレイモンド・チャンドラー原作・脚本のフィルムノワール 「青い戦慄」。1948年にアラン・ラッドとの最後の共演作となった「サイゴン」などで共演しています。
同原作は後に、俳優ジェイムズ・キャグニーの初監督作品「地獄への近道」(1957)としてリメイクされています。
スタッフ・キャスト
監督のフランク・タトルはアメリカ合衆国出身の映画監督。ミュージカルからコメディまで何でもこなせる職人気質ですが、中でもフィルムノワール には定評がある監督でした。1920年代頃から活躍し多くの映画を監督。1929年にS・S・ヴァン・ダイン原作の「カナリヤ殺人事件」を監督。この映画で伝説のヴァンプ女優ルイーズ・ブルックスが「カナリヤ」として出演していました。また、この映画はウィリアム・パウエル演じる素人探偵ファイロ・ヴァンスが映画初登場し、その後タトル監督によって「グリーン家の惨劇」(1929年)、「ベンスン殺人事件」(1930年)が撮られています。また1935年にダシール・ハメット原作の「ガラスの鍵」を初めて映画化、また1946年には元フィギュアスケーターのベリタを主演に「狂恋の果て」を監督しております。
非道な殺し屋を演じたアラン・ラッド。下積みが長く1941年のオーソン・ウェルズ監督の名作映画「市民ケーン」では新聞記者としてちょっとだけ登場しています。同年に出演した「拳銃貸します」の演技が大当たりし、スターの仲間入りを果たします。アラン・ラッドは往年の西部劇ファンなら知らない人はいないんじゃないかというお方。「シェーン・カム・バーック」のセリフで有名な「シェーン」(1953年)で主人公シェーンを演じ名声を不動のものとしましたが1950年代に突入すると人気が低迷し不遇の内に50歳の若さでお亡くなりになりました。
ヒロインのエレンを演じたヴェロニカ・レイクはその特徴的な前髪とクールな美貌で伝説的女優になりました。澄んだ青い瞳をしていると言う、現在視聴することができる出演作が白黒ばかりなので何とも言えないのですが、大変魅力的な瞳の持ち主だったそう。1941年にプレストン・スタージェス監督による名作ヒューマン・コメディ映画「サリヴァンの旅」、1942年にルネ・クレール監督によるロマンティック・ファンタジー「奥様は魔女」に出演。その後「拳銃貸します」の出演によりファムファタールとしての印象がピッタリマッチし、後世に名を残す形になります。しかし常にアルコール問題を抱えておりヴェロニカ・レイクも50歳の若さでお亡くなりになっています。
悪役ゲイツを演じたレアード・クリーガーは劇中でもデブと称されていた程の巨体。当時まだ20代だったにも関わらず堂々の貫禄でした。1941年にタイロン・パワーが主演した「血と砂」に出演し、デブキャラがピッタリハマり人気を獲得。また、同年にフィルムノワール の「美人モデル殺人事件」で変態刑事を演じて強烈な印象を残していました。ですが、デブキャラだけに偏るのを懸念して無理なダイエットを決行。その影響で1944年に31歳の若さで亡くなってしまったそうです。
刑事役に西部劇やミュージカル俳優として活躍したロバート・プレストン。
また、エキゾチックな美しさが魅力的だったイヴォンヌ・デ・カーロがナイトクラブでタバコを咥えて登場しています。彼女はその後多くの映画に出演しておりますが、個人的に晩年のホラー映画「アメリカン・ゴシック」(1988年)のいかれたマザー役が好きです。
まとめ
デブにハメられて地獄行き
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