転がるリンゴ「深夜復讐便」

フィルムノワール



乗り物に乗っていて物を落としてしまう程
焦るものはありません。

[原題]Thieves’ Highway
[製作年]1949[製作国]アメリカ
[日本公開]劇場未公開
[監督]ジュールズ・ダッシン
[原作・脚本]A・I・ベゼリデス
[音楽]アルフレッド・ニューマン
[上映時間]94

主な登場人物

ニック・ガルコス:(リチャード・コンテ):
船乗りで久しぶりに家に帰宅。運送業の父親が騙されて両足を失ったことを知り、真相を探る為トラックに乗ることに。

リカ(ヴァレンティナ・コルテーゼ):
市場の商売女。いわゆるそういう職業の女性。ニックを気にいる。

マイク・フィグリア(リー・J・コップ):
イタリア人悪徳買い付け人。

その他の登場人物

エド・キニー(ミラード・ミッチェル): ニックの相棒

あらすじ

船乗りのニックは小金を貯めて久しぶりに両親と恋人のポリーに会いに戻ってきた。世界中のたくさんの土産を買いポリーには日本人形、父親には靴を買ったが父親は両足を無くしてしまっていた。父がトマトをシスコのをフィグリアの青果店に届け、支払いの前ににしこたま飲まされ、トラックが横転し両足をなくしたという。結局代金は未払いのままだった。トラックは乗れなくなったのでエドに売ったという。ニックはトラックを返してもらいに行くが、逆にエドの初荷のリンゴを二台のトラックで運ぶ話に乗っかる。エドは怪しい二人組の話を断り、シスコまでの36時間の距離をニックを相棒にすることに決める。しかしエドはリンゴ農園の家族にニックの1200ドルを900ドルしか渡さない。ニックはエドに残りの金を渡すように言いつけ、ニックが新しいトラックで先に出発する。怪しい二人組はニックのぼろいトラックが途中で故障するのではないかと跡をつける。夜になりニックのトラックがパンクしてしまい、タイヤを換えようとジャッキで持ち上げるがジャッキが折れて車の下に挟まってしまう。後ろから来たエドが気絶しているニックを掘り出してくれた。首をひねってけがをしていたがニックはそのまま出発する。市場に到着したニックはりんごを売るためにトラックをフィグリアの店の前に止める。フィグリアはちょうどリンゴをほしがっていたためニックのトラックに目をつける。タイヤが切られており動かせなくなったニックにフィグリアが安くかいたたこうとするが考えておくと言ってニックはバーに入った。そこにトレンチコートを羽織ったはすっぱな女がニックの隣に来てたばこの火を貸してくれと言う。部屋に来ないかという誘いに乗って女のホテルの部屋に行く。

どんな映画?

主演はリチャード・コンテ。
日本ではあまりなじみがないかと思われますが、イタリア系アメリカ人の濃いお顔、桃割のあごに決してイケメンとは思われない風貌。
しかしその男臭い雰囲気で1940年代に
多くのフィルム・ノワール作品に出演されていました。
そんなリチャード・コンテが演じるのが主人公のニック。

船乗りの仕事で小金を貯めたニックは
両手いっぱいに両親と、愛する婚約者のためにお土産を持って意気揚々と家に帰ります。

しかし婚約者のポリーも母親も浮かない顔。
座っている父親の足をみてみるとあるはず足が無くなっていたのです。
聞けばトラックでトマトを運んぶ仕事で、フィグリアの店に支払いしてもらおうとすると、はぐらかされ飲まされた後事故にあったを言うのです。

憤慨するニック。

トラックはエドに売ったと言うので
早速エドに会いに行きます。

エドはニックにリンゴを市場に運ぶ
いい仕事があると持ちかけます。
フィグリアの店も食いつくと聞き
話に乗ることにします。

睡魔に襲われ、邪魔が入りながらも
市場にリンゴを運ぶニックでしたが…

市場のバーでエドを待つニック
そこに現れたのはトラック運転手の男たちを相手にするリカ
リカはタバコを持っているニックにマッチ貸してと言葉をかけると
他の男たちが次々と火のついたマッチを
リカに差し出します。
ニックは持っていないとあしらうと
男たちを無視してニックのタバコから
火をつけます。
その後リカは疲労困憊のニックを部屋に
誘いますが…

横転するトラック
積荷のリンゴが散乱する様は圧巻です。

スタッフ・キャスト

監督のジュールズ・ダッシンは多くのフィルム・ノワールを残したアメリカ人監督。赤狩りのハリウッドを離れてからは、ヨーロッパで活躍し、1955年にフランス製ギャング映画で有名な「男の争い」を監督。一方アメリカ・ギリシャ合作映画「日曜はダメよ」(1960年)を監督。この映画で主演したギリシャ人女優メリナ・メルクーリは、続いて彼女主演で義理の息子との悲恋もの「死んでもいい」(1962年)、泥棒コメディ映画「トプカピ」(1964年)を監督し、その後ご結婚されました。

主演のニックを演じたリチャード・コンテ。1946年にジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督の「記憶の代償」で悪役を演じ、1948年にはジェームズ・スチュアート主演の実在の冤罪事件を題材にした「出獄」で冤罪で逮捕される男を演じています。その後、ロバート・シオドマク監督の「都会の叫び」(1948年)、オットー・プレミンジャー監督の「疑惑の渦巻」(1949年)、ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督の「他人の家」(1949年)、フリッツ・ラング監督の「青いガーディニア」(1953年)など、活動初期は多くのフィルム・ノワールに主演。その後は濃い男臭い顔でフランシス・フォード・コッポラ監督の死ぬまでに絶対観ておきたい映画「ゴッド・ファーザー」(1972年)でニューヨーク5大ファミリーのドンを演じ、同様の役がハマり役となりました。

強面でやはりイケメンとは言えないが、確かな演技力で存在感を発揮するリー・J・コップ。1954年のエリア・カザン監督、マーロン・ブランド主演の名作映画「波止場」でも同じようなギャングのボス役で出演。1957年の「十二人の怒れる男」では少年の有罪に固執する陪審員3番を演じ、晩年には「エクソシスト」で警部を演じていました。

イタリア出身の美人女優ヴァレンティナ・コルテーゼは1940年代からヨーロッパやハリウッドでも活躍。フィルム・ノワールにも多く出演し出演ロバート・ワイズ監督の「テレグラフ・ヒルの家」(1951年)や、ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督の「裸足の伯爵夫人」(1954年)などに出演。また1973年のトリュフォー監督作品「映画に愛をこめて アメリカの夜」でアメリカ人女優を演じ、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされましたが、受賞したのは「オリエント急行殺人事件」のイングリット・バーグマンでした。活動晩年にはその端正な容姿から時代物に多く出演されていた印象です。今年の七月にお96歳で亡くなりになりました。
最近、「オードリー・ヘプバーンの初恋」というタイトルでDVD化されている作品がありますが、この映画の主演はオードリー・ヘプバーンではなくヴァレンティナ・コルテーゼです。恋愛映画ではなくノワール調の映画です。

まとめ

ハイウェイで地獄行き

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