時々自分の年を忘れます。
[原題]Somewhere in the Night
[製作年]1946[製作国]アメリカ
[日本公開]未公開
[監督・脚本]ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ
[脚色]リー・ストラスバーグ
[音楽]デヴィッド・バトルフ
[上映時間]109
主な登場人物
ジョージ・テイラー(ジョン・ホディアク):
戦争中負傷し記憶喪失の男。ジョージ・テイラーとされ、除隊後自分が誰なのか調べ始める。
クリスティ(ナンシー・ギルド):
バーの歌手。成り行きで知り合ったジョージを気にかける。
メル・フィリップス(リチャード・コンテ):
「セラー」のオーナー。クリスティがジョージに紹介する。
その他の登場人物
ケンドール(ロイド・ノーラン):メルの知り合いだと言う警部補
フィリス(ジョセフィン・ハッチンソン):一味の女
あらすじ
南太平洋の野戦病院で負傷し、しゃべれず記憶を失っていた男はジョージ・テイラーと呼ばれていた。ホノルルの病院に移された男はテイラーの財布を見つけ、中を探るとメモが入っていた。そのメモは女からでひどく憎まれ別れを告げたものだった。男は過去に何かしているかもしれないと考えしばらくテイラーに成り済ますことにする。合衆国海軍病院で除隊の話があり、ロサンゼルスのマーティン・ホテルに戻るのかと聞かれ、戻ると答えた。ホテルに行った男はフロントで、三年前に泊まっていたテイラーの転居先の住所を教えて欲しいと頼み、1942年から1943年の宿泊名簿を見ても名前がなかった。そのまま男はホテルに泊まり、テイラーの荷物を取りに行った。カバンをこじ開けると中から拳銃と、ラリー・クラバットという人物から1942年12月に第二ナショナル銀行ギブニー支店でテイラー名義の500ドルを引き出し俺を探せという手紙が入っていた。銀行に行った男は口座の金を引き出すのと、テイラーの住所を尋ねたが、行員に引きとめられそのまま出ていく。ラリーのタイプされた手紙はエリート浴場の便せんだったため店に行く。しかし店員にラリーを知らないと言われてしまうが、「セラー」という店でラリーのことがわかる人間がいるかもという話を聞き、その夜店に向かった。店に入った男だったが店の人間やバーテンダーにラリーのことを聞いても知らないと言われ、ジョージの名を出すとバーテンは男たちに目くばせをし、ただならぬ様子を感じた男は席を外し歌手の楽屋に入り込む。女に雇い主がオーナーのメル・フィリップだと聞き女は人を呼ぶといって出ていく。部屋を探ると、ドレッサーにメアリーという女からラリー・クラバットと結婚するというクリス宛のはがきがありそれをスーツにしまう。
どんな映画?
この映画は戦争による記憶喪失を扱った
フィルム・ノワール作品となっております。
自分が何者かわからず、苦悩する主人公をどう見てもいい人間には見えないジョン・ホディアクが演じております。
第二次世界大戦中の沖縄で負傷した男は
“ジョージ・テイラー”とされ
海軍病院に収容されていました。
記憶をなくしていたジョージ(仮)は
何となく自分がジョージではないと
感じていました。
残された財布には婚約を破棄した女性からの恨み言が書かれた手紙がありました。
自分はどんな奴なんだ?
除隊したジョージは徴兵前に住んでいたというロスのホテルに行ってみることに。しかしそこの宿帳にはジョージの名前はありません。
とりあえず預けていた鞄を受け取り中身を確認すると、拳銃と銀行で金を引き出したという“ラリー・クラバット”からの手紙が入っています。
全く心当たりがありませんが銀行に行きますが怪しまれて退散。
“ラリー・クラバット”が何か知っているのではないかと考えラリーを探すため
とあるバーに向かいます。
そこで何者かに狙われているように感じ、楽屋に隠れます。
楽屋にはバーの歌手クリスティがいました。
人を呼ぶというクリスティ。
彼女の化粧台には友人からの葉書があり、そこにはラリー・クラバットと結婚するという内容でした。
ラリー・クラバットは一体どこに?
何をした人物なのか?ジョージは苦悩しながらも真実を追究していくのですが…
200万ドルの金と共に消えた“ラリー・クラバット”を追い、意外な事実が…
主人公が戦争で記憶喪失になるという映画は1942年にヒットした「心の旅路」が有名で、お涙頂戴のメロドラマです。
こちらの映画は記憶をなくした男が自分を調べるうちに事件に巻き込まれていくサスペンスですが、やや詰め込みすぎでストーリーがストレートに伝わってこない感がありますし、主要なキャストにあまり魅力がないとも言えます。
ですが、謎の女の出現(脇のジョセフィン・ハッチントンは無駄に美人です)や、占い師、精神病院に潜入など見所はたくさんあり、雰囲気はあるフィルムノワール作品となっております。
スタッフ・キャスト
脚色に俳優、演出家として有名なリー・ストラスバーグが参加しています。リー・ストラスバーグはアメリカでメソッド演技法確立し、「アクターズ・スタジオ」を創立した人物の一人として知られています。役に成り切り内面まで深く掘り下げる演技法は映画の中で称賛されますが、役柄によっては自らを破壊し、時には死に至らしめる諸刃の剣として現在では問題視さることも。娘のスーザン・ストラスバーグは1961年にヒットしたサスペンス映画「恐怖」に出演した女優さんでしられています。
主演のジョン・ホディアクは1943年のヒッチコック監督作品「救命艇」で何かと反発する機関士を演じ、注目され、フィルムノワール の「パスポートのない女」(1950年)などにも出演、「イヴの総て」に出演していたアン・バクスターと結婚していました。残念ながら41歳の若さで心臓発作で亡くなってしまっています。
ヒロイン役のナンシー・ギルドは、この映画ではよくわからないがブロンドの髪をしていて、どっかで見たことあるような女優さん。1947年「高い窓」でフィリップ・マーローの秘書役で出演。オーソン・ウェルズの「黒魔術」(1949年)にも出演しておりましたが、1950年代には結婚して引退してしまっているので出演作は少ないです。
脇で出演しているリチャード・コンテ。徐々に頭角をあらわし、次第に主演に。1949年にはジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督作に二本、「他人の家」「深夜復讐便」で主演を務めております。
まとめ
本当の自分がわかって地獄行き
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