夜歩くときは車にはねられないよう明るい色を着ていきます。
[原題]Odd Man Out
[製作年]1947[製作国]イギリス
[日本公開]1951
[監督・製作]キャロル・リード
[撮影]ロバート・クラスカー
[音楽]ウィリアム・オルウィン
[上映時間]114
主な登場人物
ジョニー・マックィーン(ジェームズ・メイソン):
組織のリーダー。懲役中だったが脱走したばかり。
キャサリン・サリヴァン(キャサリン・ライアン):
ジョニーを愛する若い女性。
その他の登場人物
ルーキー(ロバート・ニュートン):画家
バット(シリル・キューザック):運転手
ノーラン(ダン・オハーリー):計画のメンバー
あらすじ
北アイルランドの都市、投獄されていたが脱走した地下組織のリーダー、ジョニーは活動資金調達の為、仲間と共に潜伏先のキャサリン家で、工場を襲撃する計画をたてる。
ジョニーを愛するキャサリンの心配をよそに、計画を実行する。三人で工場に乗り込み、一人外で運転手として待たせていたが、逃走する際ジョニーは揉み合いになり肩を撃たれ自分も相手を撃ってしまう。何とか車に乗せたが、スピードを出しすぎたため降り落とされてしまう。ジョニーは何とか歩きながらどこかへかくれたため、仲間もすぐに彼をみつけることができなかった。防空豪に身を隠したジョニーは、朦朧とする意識の中、これがすべて現実ではないかと錯覚する。看守と思って見ているとボールをとりに来た女の子だった。キャサリンの家に戻った仲間たちで、ジョニーを探しに行く話し合いをする。三人で警察の目をかいくぐって、ジョニーを探しに出た。防空豪ではアベックが入ってきたがジョニーを見て、ジョニーだとわかっていた。彼はもうすでに指名手配を受けていたのだ。
どんな映画?
ジョニーは革命組織のリーダーとして仲間と工場襲撃の計画をたてていました。
彼は武器輸送の罪で18年の実刑を受けて8カ月服役後、脱獄して半年キャサリンの祖母の家に潜伏していました。
ですが、仲間たちの間ではジョニーに不信感を持つ者もいると話しますジョニーは計画を決行します。
工場で金を奪い逃走する際、男ともみ合いになり、ジョニーは肩を撃たれ男を射殺してしまいます。
すぐに車で逃走しようとしますが、ジョニーはうまく乗り込むことができず
角を曲がる時に振り落とされてしま詩ます。
仲間が戻ろう、死んでると言い争う中、ジョニーは立ち上がりフラフラしながら逃げていきます。
防空壕に身を隠すジョニー。
ジョニーはすぐさま指名手配され、街中に知れ渡ることに。
ジョニーは看守に話しかけ、工場を襲って人を殺す怖い夢を見たとかたりかけます
しかし彼の前にいたのは防空壕にボールを取りにきた女の子でした。
貧しい子供たち。
敵でも味方でもないが関わり合いたくないと言う人々。
ジョニーが道路をふらふら歩いていると、車に轢かれそうになって倒れてしまいます。
そこに二人の夫人が通りかかり自宅に運んでくれる手当をしようとしてくれますが、すぐに
夫が帰ってきてしまし出ていこうとするジョニー。
皆傷ついた人間を通報することができず、夫はウィスキーを渡し見送ります。
どしゃぶりの雨の外を彷徨うジョニー。
一方、ジョニーを想うキャサリンの元に警官が訪れます。
警官は割と良心的でジョニーと関れば命はないだろうとキャサリンに忠告し出ていきます。
キャサリンの祖母も同じ考えでした。
祖母はキャサリンにジョニーはあきらめた方がいい、美しい娘にはまだ将来があると諭すのです。
しかしキャサリンの意思は固く、祖母の手に握られていた銃を持ち
一人夜の街をジョニーを探しに向かうのですが…
前置きにあるようにこの映画のテーマは北アイルランド抗争と警察機関との戦いではなく、それに巻き込まれた人々との葛藤にあります。原題のOdd Man Outは仲間はずれ、のけ者を意味しており、組織の中からはずれ負傷しながらも夜の街を徘徊する男の苦悩と、同情はしても関わりたくないという人々の善悪の葛藤、最後まで味方する人物の信念を描いた群集劇となっております。この映画は高く評価され、1948年の英国アカデミー賞で最優秀イギリス映画賞を受賞しています。陰影コントラストが特徴的な夜のシーンが素晴らしく、悲劇的な結末をいっそう引き立てます。この作品は
1969年にシドニー・ポワチエ主演で「失われた男」としてリメイクされています。
スタッフ・キャスト
監督のキャロル・リードはイギリスの巨匠。映画監督で初めてナイトの称号が与えられたそう。監督の作品で最も有名な作品は1949年のオーソン・ウェルズ出演の「第三の男」かと思いますが、「邪魔者は殺せ(けせ)」はそれ以前に監督の名を知らしめた作品となりました。
ジョニー役のジェームズ・メイソンは言わずと知れたイギリスの名優。独特の濃い顔と印象深い眉毛、晩年までサスペンスの悪役から、SF作品、戦争映画、歴史劇と様々な映画に出演しましたが、残念ながら大きなショーレースには無縁で無冠の帝王と呼ばれていました。1954年のディズニー映画「海底二万哩」のネモ船長、1959年ヒッチ先生の「北北西に進路を取れ」の悪役、1975年のリチャード・フライシャー監督の問題作「マンディンゴ」の農園主、と特異なキャラクラ―も多く、テレビ映画にも積極的に出演されました。個人的に一番好きなキャラクターは1962年のスタンリー・キューブリック監督作「ロリータ」でのハンバート・ハンバート教授役です。小娘相手に泣きながら懇願する中年男の姿が素晴らしかったです♪
↓こちらにもご出演されています。
計画のメンバーの一人を演じたダン・オハーリーはイギリスの俳優でその後ハリウッドで活躍。多くの映画に出演しておりますが、印象深いのは、1987年のポール・バーホーベン監督の「ロボコップ」でロボコップを作った会社オムニ社の会長ですね。
30代のジェームズ・メイソンの傑作サスペンスです。
まとめ
彷徨い歩いて地獄行き
コメント