嫉妬深い美人って結構いる気がします。
[原題]Leave Her to Heaven
[製作年]1945[製作国]アメリカ
[日本公開]1953
[監督]ジョン・M・スタール
[脚本]ジョー・スワーリング
[製作総指揮]ダリル・F・ザナック
[撮影]レオン・シャムロイ
[音楽]アルフレッド・ニューマン
[上映時間]110
主な登場人物
エレン・ベレント(ジーン・ティアニー):
ボストン社交界の花。亡くなったベレント博士の埋葬の為ニューメキシコを訪れた際リチャードと出会う。
リチャード・ハーランド(コーネル・ワイルド):
30歳の若手人気作家。病気で体が不自由になった弟がいる。
その他の登場人物
ルース(ジーン・クレイン):エレンの妹、本当は従妹
ラッセル・クイントン(ヴィンセント・プライス):地方検事、エレンの元婚約者
グレン・ロビー(レイ・コリンズ):弁護士、リチャードの友人
医者(ジーン・ロックハート)
あらすじ
2年の刑期を終えたリチャードがメイン州にあるディア湖に戻ってきた。出迎えたのはその時の担当弁護士グレンだった。リチャードは湖からボートに乗り、彼の別荘「月の裏」にいる愛する人の元へと向かった。グレンは事件のことを語り始めた。 グレンは、当時作家として執筆で忙しかったリチャードをニューメキシコの別荘に招いた。別荘に向かう汽車の中でリチャードは目の前に座り本を読んでいる美しい女性に目を留める。彼女エレンはなぜかリチャードをじっと見つめ、リチャードが不思議がっていると、彼が若い頃の自分の父親に似ていると言うのだ。そのまま別々に降車したが、彼女もグレンのゲストで母親のベレント夫人と妹のルースと一緒に紹介され別荘に向かった。食事の際、エレンの父親が亡くなっており葬式のためにここに来たのだと聞かされる。エレンの父ベレント博士は亡くなった後火葬され、その灰を明朝弔うためやってきたのだと言う。その夜ピアノを弾いているルースに話かけるリチャード。ルースはエレンが自分の本当の姉ではなく従姉妹で、ベレント夫人が自分を養女にしたのだと言う。翌日馬に乗り荒野に父親の位牌を蒔くエレンの姿があった。皆黙って見守っていたが、夜になってもエレンが戻ってこないことにリチャードは馬を走らせた。エレンを見つけたリチャードは二人で別荘に戻った。エレンの指には婚約指輪がはめられていた。その夜エレンはリチャードの小説を読んで興味を持ったと話す。二人はお互いに惹かれていた。テラスでタイプライターを打っていたリチャードは、バラの手入れをしているルースに声をかける。リチャードはなぜルースがベレント夫妻の養女ではなくベレント夫人の養女になったと言ったのか尋ねた。ルースは特に理由はなく強いて言うなら夫人が寂しそうだったからだと。その後泳いでいるエレンがリチャードに声をかけた。いつの間にか彼女の指輪は外されていた。その夜雨の中一人の男が別荘を訪れたのだが…
どんな映画?
アメリカの小説家ベン・エイムズ・ウィリアムズの小説をジョン・M・スタール監督が映画化。美人女優と知られるジーン・ティアニーが主演し、公開当時「テクニカルカラー・フィルム・ノワール」として話題になり、映画はヒットしました。
リチャードが2年の刑期を終えて出所しました。
小説家であった彼がなぜ刑務所に入っていたのか?
彼がどんな罪を犯したというのでしょうか?
2年前 若手小説家のリチャードはニューメキシコに
向かう列車の中で前に座った女性に
釘付け
すっごい美人だったから!!
おまけに読んでいるのは自分の本。
彼女も彼の視線に気付きますが
何故か今度は彼女がリチャードに
釘付け
?と思って声をかけてみると
リチャードが彼女の父親にそっくりだったからと話します。
列車を降りると二人の行き先は実は同じグレンの別荘でした。
彼女はエレンと言い
ここには 亡くなった父親の葬儀の為にやってきたというのです。
同行していたのは夫人と妹のルース
エレンの父親に対する愛情は大きすぎたようで
あまりにも悲嘆に暮れるエレンの姿は
リチャードが心配してしまうほど
ピアノを弾くルースに声をかけるリチャード
ルースはエレンとは実の姉妹ではなく
従姉妹の自分を夫人が養女にしたのだと告白します。
エレンは婚約指輪をしていましたが
指輪はいつの間にか外されていました。
ある夜エレンの元婚約者で検事のクイントンが
エレンを訪ねてくるのですが
エレンは突然リチャードと結婚すると伝えます。
えっ?
聞いてないけど
と驚くリチャードでしたが
エレンは美人だし非常に魅力的な女性
トントン拍子に結婚をした二人でしたが
次第にエレンは嫉妬深さと独占欲の強さを露わにしていき…
リチャードの別荘「月の裏」で刑務所を出所したばかりの彼を待っていたのは…
原題の「Leave Her to Heaven」は、シェークスピアの戯曲「ハムレット」に登場する台詞です。父王の亡霊がハムレットに自分の死の真相を語る際に、自分を殺した弟には復讐を望むものの、妻であるハムレットの母親に対しては、「彼女のことは天に任せろ」と話します。彼女が罪悪感から自滅してくのに任せろというものです。
映画の中でも語られていますが、「7つの大罪」の中で一番重い罪は嫉妬だそうです。ヒロインのエレンは美人で聡明ですが、中身は嫉妬心と独占欲の塊。自分の愛する男と一緒にいるためには、どんな手を使っても周りを排除しようとする怖い女。そして例え自分から離れることがあっても、絶対に相手を幸せにしないという命懸けの執念。
死なば諸共
とばかりに、エレンはリチャードとルースの仲を疑い、ルースを犯人に仕立てて自殺を遂げます。 こういった他殺に見せかけた自殺を扱ったストーリーは、シャーロック・ホームズシリーズの「ソア橋」が元祖とされているそうですが、この映画の場合トリックを暴くミステリーではなく、ノワール調のメロドラマになっています。 美人でない側から見ると、美人ならフツーにしてれば愛されるのになーと思ってしまうのですが、自分だけが愛されたいその為には子供もいらないという執着心はほとんどホラーです。
1944年にオットー・プレミンジャー監督の「ローラ殺人事件」でジーン・ティアニーの彼氏役で出演していたヴィンセント・プライスが、こちらでも元婚約者として出演しています。
スタッフ・キャスト
監督はアメリカの映画監督兼プロデューサーのジョン・M・スタール。1920年代から監督、プロデューサーとして活躍。主な作品にはクローデット・コルベールが主演した「模倣の人生」(1934年)があります。この映画は1959年にダグラス・サーク監督により「悲しみは空の彼方に」としてリメイクされています。また、1944年にグレゴリー・ペック主演の「王国の鍵」を監督しています。翌年に監督した「哀愁の湖」(1945年)で知られていますが、1950年にお亡くなりになっています。
主演のリチャードを演じたのはアメリカの俳優兼映画監督、プロデューサーのコーネル・ワイルド。1941年にラオール・ウォルシュ監督、ハンフリー・ボガート主演のサスペンス映画「ハイ・シェラ」に、若い強盗団の一味の一人として出演。1945年にチャールズ・ヴィダー監督のショパンの伝記映画である「楽聖ショパン」で、主演のショパンを演じます。この映画での演技が高く評価され、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。同年に出演した「哀愁の湖」はヒットを記録し人気俳優の仲間入りを果たします。1947年にはオットー・プレミンジャーとジョン・M・スタールが監督した歴史恋愛映画の「永遠のアンバー」に出演。その後、ジーン・ネグレスコ監督のノワール映画「深夜の歌声」(1948年)や、ダグラス・サーク監督のサスペンス映画「ショックプルーフ」(1949年)に出演しています。また、セシル・B・デミルのオールスターキャストで制作された映画「地上最大のショウ」(1952年)では空中ブランコの大スターを演じています。人気俳優としてマッチョ系の多くの作品に俳優と出演されていましたが、俳優業だけでなく映画監督としても活躍。1966年に主演・監督・製作を担当した映画「裸のジャングル」では、アフリカで原住民の方達に追われる白人ハンターを演じ、上半身裸でひたすら逃げるという役で現在ではカルト的人気を誇っています。
エレンの妹役はアメリカ人女優のジーン・クレイン。こちらは清楚な美人女優として活躍。1949年にジョセフ・L・マンキーウィッツ監督のヒューマン映画「三人の妻への手紙」に出演、同年にエリア・カザン監督の「ピンキー」で白人に見える黒人女性を演じ、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。
まとめ
嫉妬深さで周囲を道連れ地獄行き
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