半狂乱夫人「山羊座のもとに」

ドラマ

世界三代がっかりにシドニーのオペラハウスが入る場合もあるそうです。

[原題]Under Capricorn
[製作年]1949[製作国]アメリカ
[日本公開]劇場未公開
[監督・製作]アルフレッド・ヒッチコック
[原作]ヘレン・シンプソン
[潤色]ヒューム・クローニン
[ナレーター]エドモンド・オブライエン
[撮影]ジャック・カーディフ/ポール・ビーソン他
[上映時間]117

主な登場人物

へンリエッタ(イングリッド・バーグマン):
サムの妻。貴族出身で美しいが酔っ払っていつもふらふら。部屋に何かいると騒ぎたて情緒不安定気味。

サム・フラスキー(ジョゼフ・コットン):
ヘンリエッタの夫で富豪。気難しそうな人物でもと囚人だっとという。

チャールズ・アデア(マイケル・ワイルディング):
総督の側近としてオーストラリアに同行してきたお気楽アイルランド貴族。

その他の登場人物

リチャード総督(セシル・パーカー):新総督
ミリー(マーガレット・レイトン): メイド

あらすじ

1770年にオーストラリアがクック船長に発見されて以来、60年シドニーは大都市として発展し、労働力として多くの黒人や囚人たちが運ばれてきた。1831年国王ウィリアムは新総督を派遣し、その側近としてアイルランド貴族の末っ子アデアも同行していた。アデアは銀行で見かけた富豪のフラスキーに興味を持ち、紹介を受ける。フラスキーはアデアに土地に関する儲け話をするため、銀行関係者が彼の家には行くなという言葉を無視し外に出た。フラスキーに紙包みを持った男が近寄って買わないかと持ちかけるが、包みの中は生首だった。フラスキーは取り合わず、アデアを夕食に招待する。前科者だというフラスキーに聞き覚えがあるような気がしたアデアはフラスキーの屋敷に出向く。ちょっとしたパーティーが用意されていたテーブルだったが招待客皆、夫人は用事があると来なかった。テーブルにつき食事を始めると、フラスキーの背後から裸足のフラスキーの妻、ヘンリエッタが現れた。アデアは現れたヘンリエッタをハティと呼び二人は幼なじみでアデアの姉の友人だった。顔面蒼白でふらふらしたヘンリエッタは自分の部屋に戻って行ったが、ベッドに何かいると騒ぎ始める。

どんな映画?

19世紀のオーストラリア・シドニーを舞台にした時代ラブロマンスで、ヒッチ先生唯一のコスチューム・プレイ作品ではあります。

オーストラリアに新総督として派遣されるリチャード卿に同行することになった若いいとこのアデア。

到着後すぐに近づいてきたのは銀行員。金儲けの話を持ちかけます。
翌日銀行に赴き話を聞くアデア。
そこに富豪のフラスキーが現れます。

彼に興味を持ったアデアはフラスキーに近づくとフランスキーはすぐさまアデアに土地購入の話を持ちかけます。

ちょうどその時
フラスキーに近づく怪しい男
その懐には紙に包まれた干し首が!
干し首は切断した首から頭蓋骨を抜き乾燥させたもので、人間の頭部の10分の1くらいの大きさになります。
フランスキーは違法に売買されていると述べます。

フラスキーはアデアを自宅に招待します。知り合ったばかりなのに躊躇すルアデアですが、出向くことに。

素晴らしい邸宅ですが何だか不穏な空気。
どうやらフラスキーの妻は出席しない様子。
しかし食事中上の階から裸足でふらふらしたフラスキーの妻ヘンリエッタが現れます。

何だか酔っ払ってふらふらしている彼女。
しかしアデアとヘンリエッタは幼馴染でした…

最大の見どころはベッドの上の干し首❤️
くらいでしょうか?

この映画はヒッチコック監督の「ロープ」(1948年)に次ぐ2度目のテクニカルカラー作品であり長回しシーンでも有名です。
イングリッド・バーグマンジョゼフ・コットンなどの大スターが出演し、ナレーターに後に「裸足の伯爵夫人」(1954年)にオスカー俳優になるエドモンド・オブライエンを起用しているにもかかわらず
興行的に失敗(u_u)

バーグマンがヘンリエッタの演技について納得できずヒッチコック監督に意見すると
「たかが映画じゃないか」
と返されたというエピソードで有名ですが、監督自身この映画をあまり気に入っていないと後のインタビューで答えています。
また、サスペンス映画を期待していた観客を中途半端なロマンスで失望させたのも大きいようです。
もう少しヒロインの心情を掘り下げることができていたり、不穏な空気を出せていれば同じくイングリッド・バーグマンジョゼフ・コットンが共演した「ガス燈」(1944年)のようなノワール作品に仕上がったかもしれません。

スタッフ・キャスト

この当時30代半ばに差し掛かったイングリッド・バーグマン。前年の1948年にヴィクター・フレミング監督の「ジャンヌ・ダーク」に主演しますが、思った程の成功を得られませんでした。また、ちょうどその頃イタリアの巨匠ロベルト・ロッセリーニの作品に非常に感銘を受け、映画「ストロンボリ/神の土地」(1950年)出演を決めイタリアに渡りますが、お互い家族がいながら交際がスタートしてしまいます。このことは不倫スキャンダルとして一部の人々から受け入れられず、「ジャンヌ・ダーク」や「山羊座のもとに」になど当時出演していた映画に少なからず影響を与えました。その後2人は1950年5月に結婚。2人の間に生まれた双子の1人イザベラ・ロッセリーニはお母さんそっくりで、デヴィッド・リンチ監督の「ブルーベルベット」(1986年)に出演し体当たりの演技をされていました。

実質主人公のアデアを演じたイギリス人俳優のマイケル・ワイルディングは当時本国ではかなり人気のある俳優の1人でした。翌年の1950年には同じくアルフレッド・ヒッチコック監督の「舞台恐怖症」で主人公役のジェーン・ワイマンを助ける刑事役で出演しています。また、1952年にオーソン・ウェルズも出演し、ハーバート・ウィルコックス監督のノワール映画「トレント最後の事件」で主人公の新聞記者を演じています。エリザベス・テイラーの2番目の夫として広く知られています。

若いメイド役を演じたマーガレット・レイトンはイギリス人女優。1971年にジョセフ・ロージー監督のイギリス映画「恋」で、ジュリー・クリスティ演じる主人公の母親役で出演し、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされています。上品な面立ちでコスチュームプレイにはぴったりでした。俳優ローレンス・ハーヴェイの最初の妻としても知られています。

ヒッチ先生登場シーン

①総督のパーティーで話を聞いている。
②総督の官邸で外階段にいる。

まとめ

干し首で地獄行き

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