白衣恐怖症ぎみなので
病院が苦手です。
[原題]The Verdict
[製作年]1982 [製作国]アメリカ
[日本公開]1983
[監督]シドニー・ルメット
[脚本]デヴィッド・マメット
[原作]バリー・リード
[製作]デイヴィッド・ブラウン/リチャード・D・ザナック
[撮影]アンジェイ・バートコウィアク
[音楽]ジョニー・マンデル
[上映時間]129
主な登場人物
フランク・ギャルヴィン(ポール・ニューマン):
元は優秀な弁護士だったが、不正訴訟に巻き込まれ現在は仕事の無いアル中弁護士。
ローラ・フィッシャー(シャーロット・ランプリング):
フランクが行きつけのバーで知り会った美人。フランクと関係を持ち、裁判を起こすというフランクを助けるが。
その他の登場人物
ミッキー・モリッシー(ジャック・ウォーデン):フランクを気に掛ける先輩弁護士
ケイトリン・コステロ(リンゼイ・クローズ):病院を辞めた看護師
プロフィー司教(エド・ビンズ):病院の経営陣
ホイル判事(ミロ・オーシャ):裁判の担当判事
サリー・ドナヒー(ロクサーヌ・ハート):昏睡状態の若い主婦の姉
ケヴィン・ドナヒー(ジェームズ・ハンディ):サリーの夫
モーリン・ルーニー(ジュリー・ボヴァッソ):当日の夜の担当看護師
トンプスン医師(ジョー・セネカ):訴えられた医師
エド・コンキャノン(ジェームズ・メイソン):病院側の弁護士
傍聴人の一人:ブルース・ウィリス
あらすじ
かつては敏腕弁護士として鳴らしていたフランク・ギャルヴィンだったが、初老になった現在ではほぼアルコール中毒状態。依頼もなく新聞の死亡欄を見ては葬式に乗り込み名刺を渡し営業をかけるが当然ながら遺族にいい顔をされない。自暴自棄になっていた所、先輩判事ミッキーからせっかく紹介したサリー・ドナヒーに会っていないことを責められた。重い腰を上げ被害者の様子を見に病院に向かったフランク。大部屋に寝かされている若い主婦は3人目の子供の出産時に不適切な麻酔処置によって昏睡状態に陥っていた。事務所に戻ると依頼人のサリー・ドナヒーが待っていた。彼女は被害者の姉で妹は今では自分の事もわからず死を待つだけだと訴えた。フランクは簡単な訴訟だと考えており、医療事故の事実を伏せたいカトリック教会系の聖キャサリン病院側は優秀な弁護士を雇い、多額の示談金を提示していた。病院のグルーバー医師に会ったフランクは、示談に応じるつもりでいると告げるとグルーバーははっきりと担当医師二人の医療ミスだと主張する。しかし、フランク多額の示談金にはしゃぎバーでも喜びを隠せなかった。バーにいた美人に優しい言葉をかけられ自分にも運が向いてきた感じるフランクだった。示談金をさらに釣り上げるため被害者の様子をポラロイドで撮影。しかしベッドに寝たきりになり知覚を奪われ子供や家族まで奪われてしまった彼女の姿が映し出されると、フランクの良心を大きく揺さぶった。
どんな映画?
医療過誤や人身傷害を専門とする弁護士バリー・リードが1980年に発表しベストセラーになった小説をシドニー・ルメット監督が映画化。
すっかり落ちぶれてしまったかつての
エリート弁護士フランク
現在はほぼアル中で依頼もなく
葬式会場を回っては被害者に名刺を配る毎日。
そんな中先輩弁護士のミッキーから紹介された
依頼人と会うことに。
依頼人は被害者の姉で被害者の女性は
出産時の麻酔ミスにより植物状態になっています。
カトリック系の病院は多額の示談金を提示し
医療ミスを隠蔽しようという心づもり。
当初フランクも示談金の3分の1を手にできるため
楽勝の訴訟に大はしゃぎ。
行きつけのバーで一人で飲んでいた美人に声を
かけます。
その美人が、やっぱりトレンチコートで登場している
シャーロット・ランプリング!
フランクは被害者の状況をポラロイドで撮影しますが
人工呼吸器につながれベッドに横たわる被害者を
改めて目の当たりにし、考え始めます。
調停ではなく裁判。 真実を明らかにし被害者を助けよう!
弁護士フランクの戦いが始まるのでした。
ポラロイドを手に逡巡するフランク。
疑問を感じていても中々言い出せないのが医療の世界。当時はまだネットも発達しておらず専門的な集団に対しては泣き寝入りしなけらばいけない事柄も多く、医療訴訟はほぼ負けると言われている時代でした。被害者は置き去りにされ、もらえるものをもらっておこうと。真実を追求し、正義はどこにあるのかと問いかける本作は法廷ものとして見応えのある一本です。
初老の域に達した弁護士を演じたポール・ニューマンの渋みを帯びた演技が光ります。また、この映画はブルース・ウィリスのデビュー作の1本で、最後の法廷のシーンにちょこっと登場しております。
スタッフ・キャスト
監督はアメリカ合衆国出身の社会派映画を多く監督したシドニー・ルメット。1957年に少年犯罪を扱った法廷ドラマ「十二人の怒れる男」で長編監督デビュー、1960年にマーロン・ブランド主演でテネシー・ウィリアムズの戯曲を映画化した「蛇皮の服を着た男」を監督、ロッド・スタイガーを主演に強制収容所から生き残ったユダヤ人を描いた「質屋」(1964年)など人間の内面を抉る骨太な作品を多く発表。70年代以後は「ショーン・コネリー/盗聴作戦」(1971年)、警察の腐敗を描いた「セルピコ」(1973年)、オールキャストの「オリエント急行殺人事件」(1974年)、実在の銀行強盗事件を題材にした「狼たちの午後」(1975年)、ピーター・フィンチにオスカーをもたらした「ネットワーク」(1976年)など精力的に話題作、問題作を発表。80年代に入ると、戯曲の映画化「デストラップ・死の罠」(1982年)、政治腐敗をテーマにリチャード・ギアが主演した「キングの報酬」(1986年)、ジェーン・フォンダがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたサスペンス映画「モーニング・アフター」(1986年)など増々活躍されました。
脚本を担当したデヴィッド・マメットはアメリカ合衆国の劇作家、脚本家、映画監督。1981年版の「郵便配達は二度ベルを鳴らす」や、「評決」の後ブライアン・デ・パルマ監督、ケビン・コスナー主演の「アンタッチャブル」(1987年)、ロバート・デニーロ主演のヒューマン・コメディ「俺たちは天使じゃない」(1989年)など話題作の脚本を担当。2001年には「羊たちの沈黙」(1991年)の続編「ハンニバル」の脚本もしております。また、この映画で元看護師役で出演しているリンゼイ・クローズはマメットの当時の妻です。
主演のアル中弁護士にすっかり白髪が板に付いた頃のポール・ニューマン。50代後半になりより演技に渋みが増してきた80年代、1981年にシドニー・ポラック監督で報道被害者の問題を扱った「スクープ 悪意の不在」に主演。この映画は「評決」とも被る印象です。個人的にはポール・ニューマンが女性をぶん殴るシーンがあるので。「評決」であったシャーロット・ランプリングを殴るシーンですが、ポール・ニューマンのイメージを損なうとして当初プロデューサー側は何色を示したそうですが、それが妥当だとポール・ニューマンが決行したとのことです。そして1986年に出演した「ハスラー2」でとうとうアカデミー賞主演男優賞獲得。この映画は1961年に主演したビリヤード映画「ハスラー」の続編になります。当時は若者だったポール・ニューマンがすっかり老境の域に達していました。この映画でも女性をビンタしていましたが、ここらへんも80年代らしさでしょうか?
謎のトレンチコートの女を演じたシャシャーロット・ランプリング。1985年にはそのものズバリの映画「トレンチコートの女」に出演し、こちらでもフルヌードを披露しています。80年代は1986年には大島渚監督の珍作フランス映画「マックス、モン・アムール」に出演、その翌年にはアラン・パーカー監督の「エンゼル・ハート」(1987年)に出演しています。アラフォーに突入したシャーロット・ランプリングでしたがまだまだスレンダーで美しい!
まとめ
医療ミスで地獄行き
コメント