高校の頃担任の先生が
「高校生で恋愛してないなんて 人間じゃないよ!」
と宣った時、
「早く人間になりたいなぁ」
と思ったもんです。
[原題]The Prime of Miss Jean Brodie
[製作年]1968[製作国]イギリス
[日本公開]1969
[監督]ロナルド・ニーム
[製作]ジェームズ・クレッソン/ロバート・フライアー
[原作]ミュリエル・スパーク
[脚本]ジェイ・プレッソン・アレン
[撮影]テッド・ムーア
[音楽]ロッド・マッキューン
[上映時間]116
主な登場人物
ジーン・ブロディ(マギー・スミス):
女子学院の歴史教師。結婚はしておらず、青春を教育に捧げていると公言している。 美術教師のロイドとは彼が結婚する前に一度関係している。裕福な音楽教師のロウザーと交際しているが結婚は考えていない。
サンディ(パメラ・フランクリン):
眼鏡をかけた賢い生徒。ジェニーとモニカ、転校生のメアリーたちと共にミス・ブロディのお気に入りとして「ブロディ・セット」と呼ばれていた。
その他の登場人物
テディ・ロイド(ロバート・スティーブンス):美術教師・既婚者
ゴードン・ロウザー(ゴードン・ジャクソン):音楽教師
ミス・マッケイ(セリア・ジョンソン):学院の校長。ミス・ブロディを問題視している。
ジェニー(ダイアン・グレイソン):赤毛の美しい女生徒
メアリー・マクレガー(ジェーン・カー):吃音気味の転校生・資産家の孤児
モニカ(シャーリー・スピードマン):サンディたちの友人
あらすじ
1932年のエディンバラ。夏休み明けの学校に自転車に乗り颯爽と登校する女教師のジーン・ブロディは、有徳の女性としてマーシャ・ブレインの肖像画が飾られる、由緒正しく伝統を重んじる女子学院の歴史教師。独身のミス・ブロディは、生徒たちの前で「教師は転職、生徒は私の宝、生涯私の娘、どんな人物に求婚されてもお断り、青春を教育に捧げる、今が青春真っ盛りよ!」と言って憚らない。学校の保守的な教育を嫌い、革新を理想とするミス・ブロディは、少女たちにも協調性寄り積極性を促す。ミス・ブロディは第一次世界大戦末期の娘時代、ヒューという青年と激しい恋に落ちたが彼は戦死してしまったと遠い目をしながら一人語りをする。ミス・ブロディの身の上話を聞き、モニカが号泣してしまう。そこに校長のミス・マッケイが教室に入り、モニカに泣いている理由を問うが、歴史の授業で泣いているのだと誤魔化す。ミス・ブロディは、かつての恋人で今は既婚者の美術教師ロイドや、音楽教師のロウザーに迫られていた。ミス・ブロディには信奉者の生徒たちがおり、メガネのサンディ、赤毛の美少女ジェニー、泣き虫のモニカ、転校生のメアリーの四人組だった。彼女たちはブロディ・セットと呼ばれ、食堂で皆と一緒に食事をせず、庭でピクニックを楽しんでおり、他の教師たちから快く思われていなかった。日曜日にミス・ブロディはブロディ・セットたちを連れて歴史あるグレイフライアーズ教会に出かける。生徒たちに歴史を語っていると、近くにアトリエがあるロイドが彼女たちを見つけ駆け寄る。ロイドは、生徒たちの前で、ミス・ブロディが他の教師たちから偏った思想を教え協調性を身につけさせないと批判されている危険な教師だと言われていると話す。相手にされないが負けじとロイドは、今描いているブロディの肖像画を見せたいと彼女を誘うが、翌週はロウザーの誘いでクラモンドに行くと言う。クラモンドでは、サンディとエニー、モニカは屋敷のベッドルームに忍び込み、枕の下にあるブロディのセクシーな下着を見て、ミス・ブロディとロウザーの関係をネタにして笑いあっていた。
どんな映画?
スコットランド・エディンバラ出身の女流小説家ミュリエル・スパークの代表作「ミス・ブロディの青春」を、「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年)の監督としても知られるロナルド・ニームが監督。主演のミス・ブロディを演じたマギー・スミスは、第42回アカデミー賞で主演女優賞を獲得しています。
1932年のエディンバラ
颯爽と自転車に乗って
伝統ある女学院に登校する
派手な格好の歴史教師
ミス・ブロディ!
彼女はいい年でしたが独身で、
人生を教育に捧げます!
生徒たちは私の娘!
教師は天職!!!
今が全盛期!
青春真っ只中よ!!
となんか圧が強めの女教師。
当然校長や他の先生の
言うことなんか聞く耳持たず
そんなミス・ブロディを
信奉する生徒たちがいます。
メガネのサンディ
美少女(?)の設定のジェニー
泣き虫モニカに
転校生でちょいダサのメアリーが
加わり少女たちはミス・ブロディの
お気に入りでした。
そんなミス・ブロディに
しつこく言い寄るのが元彼の
美術教師ロイド
今や既婚で6人の子持ち
それでも彼女に迫ります。
ですが、ミス・ブロディは
独身音楽教師のロウザーと
交際しておりムフフな関係。
なんだか生徒たちにも
悪影響なのではと懸念する校長は
ミス・ブロディを呼び出し
退職を促します。
しかし天職だと豪語する
ミス・ブロディが言うことを
聞くはずありません。
あのババァ私が生徒たちに
人気があるから嫉妬してるんだわ!
と本気で思っている ブロディ先生でしたが…
全校生徒と教師が食堂で昼食を取る中、ミス・ブロディと彼女の取り巻きの少女たちは、優雅にお外でランチ。
映画の中に登場する、グレイフライアーズ教会はエディンバラ旧市街地にある教会です。忠犬ボビー像があり観光地としても有名ですが、宗教改革後に初めて建てられた長老派の教会で、長老派に改宗した多くのスコットランド人が血判を押し署名した場所として歴史的価値のある場所です。また、ロウザーの屋敷があるクラモンドは、エディンバラの北西にある村で、ローマ時代の遺跡などがありこちらも観光地になっております。
この映画は、青春熱血教師ものではありません! 個人的には非常に怖いストーリーだと思っております。
ロマンチストで独自の正義感と倫理観を持ち、周囲に強制していく。自分が常に正しく、子供達に人気があり好かれていると心から思っていて、深く考えもせずにファシスト政権を賛美し、無責任に誘導していく。 青春は過ぎ去るから青春であって、生涯青春でいいのは「つるつる温泉」だけ! こうゆうお方が担任だったり、母親だったりすると周囲の人間は結構大変だったりします。勝手に決めつけるくせに、やってることと、言ってることが矛盾していて、おまけに無責任ときている。現実を直視できず、気づくこともせず、それを指摘する相手を「暗殺者!」と責め立てる。それでも、若いうちはまだ許される。でも年をとるに連れて、ただの可哀想な人になってしまう。
妙齢の独身女性を演じているマギー・スミスでしたが、実生活では元カレ美術教師のロイド役で出演されているロバート・スティーブンスと撮影当時ご結婚されており、お二人の息子が俳優のトビー・スティーブンスです。
当時18歳だったパメラ・フランクリンのヌードに度肝を抜かれる本作ですが、平気で生徒を愛人にする教師のクズっぷりにも呆れます。同じ頃イギリスで公開された「チップス先生さようなら」(1969年)の、チップス先生とは対極になるような教師もの映画ですが、教育って?女性の生き方って?と考えさせられる映画だと思います。 傷つきながらも、困難に向き合い他人の責任にせず、自分の力で乗り越えることができて、少女は大人になれるのかもしれません。
スタッフ・キャスト
監督はイギリス出身の映画監督ロナルド・ニーム。このお方は1972年のアメリカのパニック映画の傑作「ポセイドン・アドベンチャー」の監督として広しく知られていますが、イギリスでも多くの映画を監督されていらしゃいます。1929年に本国イギリスで、初の長編トーキー映画としても知られる、アルフレッド・ヒッチコック監督の「恐喝(ゆすり)」に撮影助手として参加。その後撮影監督から、デヴィッド・リーン監督と共に製作会社を設立。ロナルド・ニームはプロデューサーとして、デヴィッド・リーン監督作で、ノエル・カワードの戯曲の映画化「幸福なる種族」(1944年)、コメディ映画「陽気な幽霊」(1945年)、大ヒットメロドラマ「逢びき」(1945年)を成功させています。また、チャールズ・ディケンズ原作の映画化デヴィッド・リーン監督の「大いなる遺産」(1946年)では、製作と脚本に参加。この作品で作品賞と脚色賞にノミネートされています。続いて同監督の「オリヴァ・ツイスト」(1948年)でも製作を担当。その間の1947年に自身も映画館としてデビュー。トレヴァー・ハワード、アヌーク・エーメを主演にした冒険活劇「黄金の龍」(1949年)、ユル・ブリンナー主演の冒険アクション「ザーレンからの脱出」(1961年)、ジュディ・ガーランドの最後の出演作となった「愛と歌の日々」(1962年)、デボラ・カー主演の「ドーヴァーの青い花」(1963年)、マイケル・ケイン、シャーリー・マクレーン主演の犯罪コメディ「泥棒貴族」(1966年)などを監督。また、1970年にはディケンズのクリスマスの名作「クリスマス・キャロル」を映画化。1972年には「ポセイドン・アドベンチャー」、1974年にはジョン・ボイト主演で「オデッサ・ファイル」、1979年にはショーン・コネリー主演のSFパニック映画「メテオ」など大作、名作を監督されています。
厳格な校長を演じたのはイギリス人女優のセリア・ジョンソン。彼女は、デビッド・リーン監督の名作メロドラマ「逢びき」(1945年)で、駅で偶然出会った医者と恋に落ちる主婦を演じた方として非常に知られています。前年にもデヴィッド・リーン監督の「幸福なる種族」(1944年)にも出演されています。アンソニー・キミンズ監督、アレック・ギネス主演のコメディ映画「地中海夫人」(1953年)や、キャロル・リード監督の「文なし横丁の人々」(1955年)などの出演で知られています。また、本作では英国アカデミー賞助演女優賞を獲得しています。晩年は主にテレビで活躍されていらっしゃいました。
まとめ
暗殺者は誰?で地獄行き
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