チキンナゲットだと思って食べたら
ポテトでした。
[原題]The Gold Rush
[製作年]オリジナル1925(サウンド版1942)
[製作国]アメリカ
[日本公開]1925
[監督・製作・脚本・音楽]チャールズ・チャップリン
[上映時間]73
主な登場人物
チャーリー(チャールズ・チャップリン):
ナレーター、主人公、探検家。探検のためアラスカへ。しかし雪山に閉じ込められ、困難に陥る。
その他の登場人物
ジョージア(ジョージア・ヘイル):酒場の女。女たらしのジャックに言い寄られている。
ハンク・カーティス(ヘンリー・バーグマン):鉱山技師
ビック・ジム・マッケイ(マック・スウェイン):金鉱探し
ブラック・ラーセン(トム・マレイ):お尋ね者
あらすじ
夢と希望の地アラスカ、黄金に魅せられた何千もの人々が雪山に入り、最大の難所チルクートの山道で引き返す者、命を落とす者があとを絶たなかった。その中に探検家チャーリーがいた。(熊につけられているが本人は気づいていない)一方もう一人の探検家ビッグ・ジム・マッケイは金鉱を掘りあてていた。吹雪になり山小屋には悪党のブラック・ラルセンがいた。チャーリーは山小屋に入り風をしのぐが、悪党に出ていけと言われドアを開けられるが風で前に進めない。走行しているうちにブラックが飛ばされ、ビッグ・ジムが飛び込んでくる。ブラックは猟銃を持ち出し、ビッグ・ジムと格闘。(とっくみ合いの中常に銃口は机に隠れたりするチャーリーに向いてる)ビッグ・ジムは居座り続けると宣言、しかし三人はすぐに空腹で窮する。チャーリーは蝋燭に塩をつけて食べる。犬をかわいがっていたチャーリー、ビッグ・ジムが入ってきたとき犬がいなくなって慌てるが、大丈夫。ジムがこのままでは全員飢えると三人の中の誰か一人が食糧を調達に行こうとトランプで決める。結局悪党ラルセンがいくことになった。ちょうどその頃、警察がラルセンを追っていたがラルセンに二人とも撃ち殺され食糧を奪われる。山小屋ではチャーリーの方っぽの靴を煮込んで、ビッグ・ジムと皿を囲む。靴底と靴の部分をとりわけ靴底の皿をビッグ・ジムに回すが、結局ピンがたくさん出た靴底をチャーリーが食べる。あまりの空腹に絶えかねてビッグ・ジムはチャーリーが大鳥に見えてくる。
どんな映画?
この映画は「靴を食べる映画」(?)として非常に有名です。チャップリンの「モダン・タイムス」(1936年)同様、教科書に載っていました。
ゴールドラッシュに湧くアラスカに
冒険を求めてやって来たチャーリー
雪山の道なき道をどた靴でひょこひょこ
登っていきます。
そこにいたのは
先だって金鉱を見つけていたビック・ジム
小屋にはお尋ね者のブラック・ラーセン
吹雪に行く手を阻まれ小屋に入るチャーリー
ドタバタを繰り返し
3人が小屋に集結
結局閉じ込められた3人は食料も無く
ブラック・ラーセンが調達しに出ます。
感謝祭になりチャーリーは自分の靴の
片方を煮込んで調理
ビック・ジムと二人で分け合います。
靴紐をスパゲティのように頬張り。
靴底を釘を抜きながら食べる有名シーン。
このエピソードは昔テレビ番組の「探偵!ナイトスクープ」で実際に革靴を食べることが出来るのか?という企画で、
ホントに調理して食べていました!
ただし現在革靴で主流のクロムなめしは体に害があるので食べられないとのことです。
映画では、革の部分は海藻、靴紐はイカスミパスタを使用しているそうです。
その後あまりの空腹のためビック・ジムは
チャーリーが巨大ニワトリに見え
襲いかかります。
ビック・ジムも悪人というわけではないので
チャーリーだとわかると正気に戻るのですが
そのうち人間でもいい!!と
地獄の殺し合いに。
このエピソードは、1848年にアメリカで実際に発生した遭難事件ドナー隊の悲劇を取り入れていると言われています。
雪山に行手を阻まれ、極度の飢餓状態に亡くなった人の肉を食すという自体になりました。移住目的のため女子供も含めた家族単位の移動だったのでさらに悲劇性が増しました。
同じ頃カルフォルニアで発生したのがゴールドラッシュと呼ばれる黄金狂時代。金鉱を目指して多くの山師や一攫千金を狙う人々がこぞって移動していました。
はっきり言って、全然洒落にならない悲劇的な出来事であったにもかかわらずギャグにしてしまうチャップリンの真骨頂を発揮しています。
再び戻った小屋が吹き飛ばされて崖っぷちに!! 1967年のコメディ映画「サンタモニカの週末」でもこのシーンがパクられていましたが、ほとんどのコントの元祖と言ってもいんじゃない?と思えるシーンです。
その他、チャップリンがフォークにパンを刺して足に見立ててテーブルの上でダンスさせるシーンは名シーンとされています。
1925年と言えば、日本では大正14年。同年では当時のソビエト連邦でプロパガンダ映画として非常に著名なセルゲイ・エイゼンシュテインの「戦艦ポチョムキン」が製作されています。100年近く前の映画で、映画遺産にふさわしい歴史的価値のある映画です。
悲劇や苦痛の中に笑いを見出し、
笑いのなかにペイソスとアイロニーを散りばめる
チャップリンの映画の中でも傑作中の傑作、
必見の映画です。
スタッフ・キャスト
サイレント映画界のレジェンド、シャールズ・チャップリン。イギリスのロンドンの貧民窟で生まれ、貧困と苦境の中で幼少の頃から舞台に立ち、長じて映画界に進出。だぼだぼのずぼんにピチピチのスーツ、山高帽に大きな靴、ステッキをもちドタドタ歩く「放浪紳士チャーリー」のキャラクターを確立し、コメディアンとして名声を獲得。1921年に初の長編映画「キッド」の撮影を終え、次に取り掛かったのが「巴里の女性」(1923年)でした。「巴里の女性」はチャップリンが主役として登場せずカメオ出演した程度で、監督・製作・脚本を務めたシリアスなストーリーでした。映画自体は批評家から絶賛されましたが、チャップリンの喜劇を期待した観客からは受け入れられず興行的に失敗。これにショックを受けたチャップリンが次に製作したのが、自ら監督・脚本・製作・主演を務めた「黄金狂時代」(1925年)でした。1923年から撮影が開始され、当初ヒロインには「キッド」で天使役として登場したリタ・グレイが決定していましたが、途中でチャップリンの子供を妊娠してしまった為二人は急遽結婚。役を降板し、代わりにジョージア・ヘイルがヒロインに選ばれました。そんなこんなで何とか1925年に完成。チャップリン作品の中でも特に傑作の一つとされています。
ヒロインを演じたジョージア・ヘイル。当初予定されていたリタ・グレイの降板を経て抜擢されたジョージア・ヘイルでしたが、1925年にマレーネ・ディートリッヒ国際的なスターに押し上げた監督として有名なジョセフ・フォン・スタンバーグ監督のデビュー作「救ひを求むる人々」のヒロインとして出演。この映画を観たチャップリンによって「黄金狂時代」のヒロインに選ばれ一躍スターになりますが、サイレントからトーキーに移行時に女優として生き残ることができず1930年代には引退を与儀なくされてしまいますが、チャップリンとの交流は生涯続いたそうです。
その他、ビック・ジムを演じたマック・スウェインは巨体のコメディアンとして多くの映画に出演、チャップリンの映画に度々登場。鉱山技師として登場するヘンリー・バーグマンはチャップリンの友人として「モダン・タイムス」(1936年)までの主なチャップリン作品にほとんど登場しています。お尋ね者のブラック・ラーセンを演じたトム・マレイはミュージシャンとしても知られております。
まとめ
空腹で地獄行き
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