むちむち白水着「去年の夏 突然に」

ドラマ

たまに短いスカートをはくと
恥ずかしい時があります。
いや、誰も見てないんですけどね!

[原題]Suddenly, Last Summer
[製作年]1959[製作国]アメリカ
[日本公開]1960
[監督]ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ
[原作・脚本]テネシー・ウィリアウズ
[脚本]ゴア・ヴィダル
[製作]サム・スピーゲル
[音楽]マルコム・アーノルド他
[上映時間]114

主な登場人物

キャサリン・ホリー(エリザベス・テイラー):
ヴェナブルの若く美しい姪。精神病院に入院中。

ヴァイオレット・ヴェナブル(キャサリン・ヘプバーン):
亡くなったセバスチャンの母。新病院の建設をだしにキャサリンにロボトミー手術を施して欲しいと依頼。

クックロウィッツ博士(モンゴメリー・クリフト):
若手外科医。病院の設備不足に頭を悩ませていた。

その他の登場人物

ホックスタドラー博士(アルバート・デッカー):クックロウィッツ博士の上司
ホリー夫人(マーセデス・マッケンブリッジ): キャサリンの母親
ジョージ(ゲイリー・レイモンド): キャサリンの兄

あらすじ

1937年、精神科病棟を有するライオンズ・ビュー州立病院では州で初の脳葉を切除するロボトミーが行える手術施設を完備させた。しかし設備はずさんなもので、手術を執刀する若く新任のクックロウィッツ博士はいらだちを抑えられなかった。そこにヴェナブル夫人という街一番の富豪の未亡人から財団を作り出資したいと申し出があり、彼は夫人の屋敷に会いにいくことに。屋敷に入ったクックロウィッツはエレベーターから椅子に坐って話しながら降りてきた夫人に度肝を抜かれる。夫人の息子のセバスチャンは去年の7月にヨーロッパで亡くなったという。夫人は息子の庭だと博士に見せる。その光景はジャングルのように熱帯の植物であふれていた。夫人はレディと言って食中植物にハエを与える。夫人の亡き夫の姪キャサリンは聖メアリー病院に早発性痴呆症(デメンシア・プレコクス)と呼ばれる病名に入院しているという。夫人は息子のセバスチャンのことを熱く語り始め、私たちは母子ではなく常にセバスチャンとヴァイオレットとどこへ行っても注目の的だったという。しかし去年の夏突然に…姪がおかしくなったのもその頃からで、発作が起こり幻聴が聞こえヒワイなことを口走るというのだが…

どんな映画?

若手脳外科医のクックロウィッツ博士。
精神病院も併設する病院で
彼の専門はロボトミー手術。

博士は病院の設備に不足に悩んでいましたが、
そんな時に病院に出資してもいいという
人物が現れます。
資産家の未亡人ヴェナブル夫人です。

その申し出を何となく率直に喜べない博士。
直接夫人に会いに行きます。
夫人の屋敷は熱帯植物に囲まれ、中央には籠状のエレベーター。
博士が唖然としていると
恐ろしい魔女…えっとヴェナブル夫人がホームエレベーターで降臨します。

彼女は去年の夏最愛の息子セバスチャンを亡くしていました。
そしてその頃から姪のキャサリンが精神的に不安定になり現在精神病院に入院していると言うのです。
夫人は病院への出資と引き換えに
キャサリンにロボトミー手術を受けさせてほしいというのです。

ますます訝しがる博士。
今度は入院中のキャサリンに
会いに行きます。
若く美しいキャサリンは精神的に不安定には見えます。しかし博士には疑問がー

本当に彼女は精神病なのだろうか?
何か都合の悪いことを彼女が知っているのではないだろうか?

そしてキャサリンの口から語られ始めます。
去年の夏一体何が起こったのかがー

テネシー・ウィリアウズの作品にはゲイと言う設定があるのですが、1950年代当時あった規制によりはっきりと描くことができなかったため、なんかわけわかんない物が出来上がるというジレンマがありました。
1951年の「欲望という名の電車」、1955年の「熱いトタン屋根の猫」など、主人公やその相手が何に悩んでいるのかさっぱりわからないのです。
ですが、この1959年の「去年の夏 突然に」の頃から、割と露骨な表現をするようになり規制が弱くなったとされています。しかーし、そうは言っても現代の人間からみたら、やっぱりわかりにくいのです。1995年のドキュメンタリー映画「セルロイド・クローゼット」の中で脚本家のゴア・ヴィダル自身が検閲を受けてわけわかんない映画になってしまったと語っています。

ヴェナブル夫人がキャサリンを精神病患者に仕立て上げてまで、ひた隠しにしたかったことは何なのか?

何故キャサリン役のエリザベス・テイラーが、見てるこっちが恥ずかしくなるわ!!というくらい、むちむちボディに白スケ水着を着なければいけないのか!まあ、それを差し引いても、陰鬱な雰囲気とエリザベス・テイラーの美しさ、こんな姑いたら絶対嫌だのヴェナブル夫人と見どころ満載です。

ただ、ゲイの問題ではなく、この映画に出てくるロボトミー手術の方が現代ではかなり問題となっていて実施されていません。

ロボトミーとは精神病の患者を大人しくさせるため前頭葉白質を除去する精神外科手術のこと。死亡率も高く、危険な手術で、術後廃人同様になってしまう患者も。1975年の「カッコーの巣の上で」でも描かれております。
この手術が初めて人間に施されたのは1936年のことですが、原作者であるテネシー・ウィリアムズの姉がこの手術を受けていた自伝で告白しています。

スタッフ・キャスト

この映画では監督のジョーゼフ・L・マンキーウィッツと大女優キャサリン・ヘプバーンとそりが合わず、自らのすべての撮影が終了したのを確認した後、唾を吐いそう。それでもキャラの濃いヴェナブル夫人のイカれた演技はインパクト大でした。

そのヴェナブル夫人を演じたのはアメリカを代表する押しも押されぬ大女優キャサリン・ヘプバーン。当時50代のキャサリン・ヘプバーンですが、この映画ではかなりシワがあり、老けて見えます。元々長身で痩せ型なので老けやすいのかなと思いますが老け役も何のその、1951年にハンフリー・ボガートと共演した「アフリカの女王」では痩せすぎばあさんと呼ばれてしまうし、1955年にはヴェニスに一人旅行に来ているおひとり様OLを演じていいました。

キャサリン役のエリザベス・テイラーは「陽のあたる場所」(1951年)、「愛情の花咲く樹」(1957年)に続いてモンゴメリー・クリフトと共演。美男美女のベストカップルですが、友情はあったものの愛情はなかったようです。何故ならモンゴメリー・クリフト自身、現在ではゲイであったと知られているから。エリザベス
・テイラーがこの映画の前年に同じくテネシー・ウィリアムズ原作の「熱いトタン屋根の猫」(1958年)や、「禁じられた情事の森」(1967年)などで夫からだかれない美人妻を演じておりました。

イケメン俳優のモンゴメリー・クリフトは1956年に交通事故に遭い、大切な顔を負傷し整形手術を受けています。首には交通事故の傷跡が見られます。

まとめ

去年の出来事を抹殺しようとして地獄行き

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