若い娘さんの年の差恋愛は
親御さんなら心配でしょうね。
[原題]Love in the Aftemoon
[製作年]1957[製作国]アメリカ
[日本公開]1957
[監督・脚本]ビリー・ワイルダー
[脚本]I・A・L・ダイアモンド
[原作]クロード・アネ
「アリアーヌ」
[撮影]ウィリアム・C・メラー
[音楽]フランツ・ワックスマン
[上映時間]134
主な登場人物
アリアーヌ・シャバス(オードリー・ヘップバーン):
チェロ専攻の学生。父親は浮気調査専門の私立探偵。父へ依頼に来たムッシュX氏との会話を盗み聞きし、フラナガンに興味を持つ。
フランク・フラナガン(ゲーリー・クーパー):
富豪の遊び人のアメリカ人。人妻でもお構いなしの節操のなさ。
その他の登場人物
クロード・シャバス(モーリス・シュバリエ):アリアーヌの父、探偵
X氏(ジョン・マクガイヴァー(マッギーヴァー)):依頼人
あらすじ
パリは恋の街。私立探偵のシャバスはX氏から依頼を受け、彼の妻と逢っているプレイボーイのフラナガンを調査していた。シャバスは二人がリッツ・カールトンのスゥィートルームで密会している証拠写真を撮った。シャバスはアリアーヌという、チェロを専攻している音楽学校に通う娘と二人で暮らしていた。不倫などの情事を扱う私立探偵の仕事にアリアーヌは興味津々だったが、父のシャバスはこういった汚れ仕事に関わるのを嫌った。事務所兼自宅に依頼人のX氏が現れ、証拠写真を見せられ報告を聞き、激怒して銃を片手にフラナガンを殺すと息まいてリッツに向かった。盗み聞きしていたアリアーヌは写真でフラナガン氏を確認。彼は背が高くハンサムだった。学校に行ったものの殺人が起こるのではないかと気が気でなかった。同級生のミシェルに小銭を借り、ホテルや警察に電話しても相手にされなかった。アリアーヌは慌ててホテルに向かったがすでにX氏は到着しており、ドアの前でウロウロしていた。アリアーヌは別の部屋の窓から壁伝いにフラナガンの部屋に入り込んで事情を説明した。X氏がフラナガンの部屋に突入すると自分の妻だと思っていた女はアリアーヌで部屋のどこを探しても見つからない。X氏の妻は窓からこっそり逃げ出すことに成功した。出ていこうとするアリアーヌを引き止めるフラナガン。彼女を口説き始めるフラナガン。元々若い男に興味が無いというアリアーヌだがフラナガンの女ったらしぶりは目を見張るものがあった。楽団を呼んでやると、昼に会う約束をしアリアーヌを帰すフラナガン。アリアーヌは彼にメロメロで夢心地で帰宅するが、X氏が父にガセネタだと抗議していた。慌てて顔を隠すアリアーヌ。家出チェロの練習をしながら譜面台の楽譜の上に父が収集したフラナガンのゴシップ記事を読んでいた。フラナガン離婚訴訟中の次は、日本の新聞でそこには「新聞王ケーン死す 世界フラナガン設者 大衆数万の哀悼裡にねむる!」と書かれていた。その後数枚の情事写真の中に写っていたフランチェスカ・デル・コルソという女性がフラナガンのスウィートで自殺未遂と書かれていた。父シャバスは仕事に出かける準備をしアリアーヌにミシェルはいい1822年以降スキャンダルのない家だと彼の家系を調べていた。調べたのかと驚くアリアーヌにシャバスは、私がインドの王侯貴族ならダイヤで飾ってやれるし、靴職人なら靴を作ってやる私立探偵なら調査してやるしかないと話す。それに大好きだと答えるアリアーヌ。シャバスが出ていったあと調査書を金庫にしまい、フラナガンに断りの手紙を書くことにする。素行調査の上たとえ昼下がりでもあなたには会えません。しかし悩んだ末書いた手紙を燃やしてしまう。
どんな映画?
テニスプレイヤーでもあったクロード・アネ原作の「アリアーヌ」をビリー・ワイルダーとI・A・L・ダイアモンドが初タッグを組んで映画化。 主演のフランク・フラナガンにオスカー俳優ゲーリー・クーパー、ヒロインにワイルダー監督の「麗しのサブリナ」(1954年)から2度目の起用のオードリー・ヘップバーン、ベテランのモーリス・シュバリエという布陣です。 また主題歌に「魅惑のワルツ」が使用されリバイバルヒットとなりました。
パリは恋の街
老いも若きもいたる所でぶっちゅー
そんな中 不倫調査専門の私立探偵
クロード・シャバスは
X氏の依頼でアメリカ人大富豪
フランク・フラナガンの調査をしています。
X氏の妻と高級ホテル・リッツで情事を重ねる
フラナガンを激写!
シャバスには音楽院でチェロを学ぶ
可愛い可愛い一人娘アリアーヌがおり
シャバスの仕事に興味津々
しかしシャバス探偵なんて汚い仕事
だとアリアーヌを遠ざけようとします。
シャバスは依頼人のX氏に
撮ってきた写真を見せて報告
するとX氏は拳銃を取り出し
フラナガンを殺害すると!!
そんなんでもシャバスはお得意様の
フラナガンがいなくなっては困るなー
とX氏から報酬をもらって帰してしまいます。
殺人事件が起こっちゃうかも!!
こっそり聞いていたアリアーヌは 気がきでなく
ホテル・リッツに突入することに…
アリアーヌに壁ドンする節操なしのフラナガン
「いつ会える?」というフラナガンに
「昼過ぎなら」と答えるアリアーヌ
この映画はゲーリー・クーパーやオードリー・ヘップバーンと大物スターを起用したにも関わらず、公開当初アメリカではヒットしなかったそうです。
なぜなら、二人が恋愛するには歳が離れ過ぎていたから!
実年齢も親子ほど歳が離れており、結構真っ当なご意見な気がします。が、そこも娘を心配する父親の心情が入ったドラマであるのでストーリー上必須。少女っぽさを残したオードリーの魅力と、軽快なモーリス・シュバリエ演技力も相まってヨーロッパでは大ヒットを記録しました。
フラナガンが富豪ということもありルイ・ヴィトンやカルティエなどの高級品が登場し、そんなに裕福でないはずのアリアーヌの衣装はなぜだかジバンシィ。ラストで駅に登場じたアリアーヌがほっかむりしたスカーフを首に巻きつけ後ろで縛るという巻き方はアリアーヌ巻きと呼ばれ流行したそう。
おっさんな上に最低な女ったらしに恋をしてしまったアリアーヌ。そんなアリアーヌを心配する父親のシャバス。 おとっちゃんの愛情がじんわりくる映画となっております。
スタッフ・キャスト
この映画からビリー・ワイルダーと強力タッグを組みことになった脚本家I・A・L・ダイヤモンド。1952年にハワード・ホークス監督の「モンキー・ビジネス」の脚本に加わり、「昼下がりの情事」(1957年)からビリー・ワイルダー監督の映画、「お熱いのがお好き」(1959年)、「アパートの鍵貸します」(1960年)、「ワン・スリー」(1961年)、「あなただけ今晩は」(1963年)、「恋人よ帰れ!わが胸に」(1963年)、「ねえ!キスしてよ」(1964年)、「シャーロック・ホームズの冒険」(1970年)、「お熱い夜をあなたに」(1972)、「フロント・ページ」(1974年)、「悲愁」(1978年)、「バディ・バディ」(1981年)など監督の晩年までの映画ほぼ全ての脚本を担当されています。
主演のプレイボーイ、フランク・フラナガンを演じたのは往年の大スター俳優ゲーリー・クーパー!1930年に出演したジョセフ・フォン・スタンバーグ監督のアメリカ映画「モロッコ」でマレーネ・ディートリヒの相手役として高身長イケメンぶりを発揮、一気にブレイクしました。1932年にはアーネスト・ヘミングウェイ原作の「武器よさらば」の映画化「戦場よさらば」でヘレン・ヘイズと共演。翌年の1933にエルンスト・ルビッチ監督のソフィスティケイテッド・コメディ「生活の設計」で主演の一人を演じ、続いて1936年にフランク・キャプラ監督の「オペラ・ハット」で急に富豪になった気のいい男を演じています。1941年に再びフランク・キャプラ監督の「群衆」に出演し、こちらもヒットを記録しました。同年にハワード・ホークス監督による伝記映画「ヨーク軍曹」で、実在の人物アルヴィン・ヨーク軍曹を演じアカデミー賞主演男優賞を獲得しました。戦後の1945年に「サラトガ本線」でイングリッド・バーグマンと共演。翌年の1946年にフリッツ・ラング監督のスパイ映画「外套と短剣」など立て続けに主演。50代に突入した1952年にフレッド・ジンネマン監督の西部劇「真昼の決闘」でグレース・ケリーと共演。この映画で2度目のアカデミー賞主演男優賞を獲得し名実ともに大物俳優の地位を確立しました。「摩天楼」(1949年)で共演した女優パトリシア・ニールとの不倫関係がスキャンダル化し思うような活動ができない時期もありましたが、優しく飄々とした役柄がハマり晩年まで大スターであり続けた伝説の俳優さんです。
ヒロインはこれまた伝説の女優オードリー・ヘップバーン。オードリー・ヘップバーンがウィリアム・ワイラー監督の「ローマの休日」(1952年)に出演し、アン王女役でいきなりアカデミー賞主演女優賞を獲得。その後ビリー・ワイルダー監督の「麗しのサブリナ」(1954年)に出演しハンフリー・ボガート、ウィリアム・ワイラーと共演、ファッションも大変話題になりサブリナパンツを生み出し、オードリーが着用したジバンシィのドレスが有名です。1956年にトルストイの小説を映画化した「戦争と平和」に出演。翌年にはスタンリー・ドーネン監督のミュージカル映画「パリの恋人」(1957年)でフレッド・アステアと共演。同年に再びビリー・ワイルダー監督のこの映画「昼下がりの情事」に出演しており、「ローマの休日」から相手役の俳優がかなり年上という特徴があります。
娘を優しく見守る父親役はフランス出身の世界的なエンターテイナー、モーリス・シュヴァリエ。1929年にエルンスト・ルビッチ監督の「ラヴ・パレード」に出演。その後もルビッチ監督の「陽気な中尉さん」(1931年)でクローデット・コルベールと共演。1932年には「君とひととき」、1934年に「メリィ・ウィドウ」などルビッチ監督作品い立て続けに出演しハリウッドでの地位を確立しました。
まとめ
結婚という名の終身刑でとりあえず天国行き
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