美人なのにモテない人は確実にいます。
コワイからです。
[原題]L’Histoire d’Adele H.
[製作年]1975[製作国]フランス
[日本公開]1976
[監督・脚本・製作]フランソワ・トリュフォー
[脚本]シュザンヌ・シフマン/ジャン・グリュオー
[撮影]ネストール・アルメンドロス
[音楽]モーリス・ジョベール
[上映時間]100
主な登場人物
アデル・ユーゴー(イザベル・アジャーニ):
フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの次女。ピンソンを追いかけて単身でカナダに渡る。
アルバート・ピンソン(ブルース・ロビンソン):
英国騎兵中尉。女好き。
その他の登場人物
士官(フランソワ・トリュフォー)
催眠術師(イヴリー・ギトリス):アデルがピンソンと結婚する方法を聞く。
あらすじ
1863年南北戦争の最中、大英帝国は南部の独立を認め北部(ヤンキー)と戦うため軍隊を、カナダのハリファックスに送った。そこにフランスからある女性が降り立った。彼女は特段あてもなくある宿を紹介され、ミス・ルーリーと名乗りそこに留まることに。彼女は公証人に自分の姪が英国滞在中にに恋愛関係にあった第16英国軽騎兵連隊のピンソン中尉と結婚の約束をしていたが、アメリカの内乱のため彼がハリファックスに赴任になってしまい彼の動向を調べてほしいと依頼した。本屋でピンソン中尉を見かけた女は、彼が出てから本屋に入り彼のことを尋ねる。女は中尉は姉の夫だと言い、店主は彼には借金があるとかいい噂を耳にしないと話す。宿に戻った女は宿の主人が連隊の歓迎会に呼ばれていると聞き、ピンソン中尉は従兄で中尉は自分に言い寄っていたけど自分はそれほどでもない、でも懐かしいので手紙を渡してほしいと頼む。急いで書いた手紙には今自分はそばに来ているので会いに来てほしいというものだった。女は宿の女主人のサンダース夫人におぼれて死んだ姉のレオポルディーヌの話をする。まだ結婚したばかりの19歳で夫とともにヨットの転覆で亡くなったと。帰宅した主人に女はしきりに手紙を渡したのかと迫るが渡して読んだが返事はなかったと答える。うなだれて部屋に戻る女。実際に手紙を渡したが、中尉は封も開けず落胆してポケットに入れるだけだったと女主人に話す。その夜、姉の水死の夢でうなされる女。銀行に出向き手紙と為替の確認をするが、為替は時間がかかると言われてしまう。女の本名はアデル、手紙で黙って出てきた両親に仕送りの無心をするのだった。
どんな映画?
なんと言っても!
イザベル・アジャーニが美しい!
美しすぎる!!
でもコワイ!
狂気的に美しいイザベル・アジャーニを世に知らしめた文芸恐怖映画です。
カナダのハリファックス降り立ったとある女性。
その女性はイギリス人兵士ピンソン中尉を追いかけて遥々フランスからやってきたのでした。
女性は偽名を使いピンソン中尉は姪の恋人だとか、自分は好きじゃないけど相手が好意を持っているとか、
言ってることが何か変。
キレイなんだけど何かピンソン中尉から好かれている感じがしないな~
実は彼女は、フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの次女アデルでした。
偉大な父のおかげで相手が萎縮してしまうと思い込んでるアデル。
家族には黙って相思相愛(だと本人は思っている)ピンソンを追いかけてきたのです。
しかし、ピンソンに見向きもされないアデル。
次第に彼女の行動はエスカレートしていき…
ピンソン中尉を待ち伏せし金を渡そうとするアデル。
お腹にクッションを入れてピンソンの子供を身籠ったと嘘までついてー
アデル・ユーゴーは「レ・ミゼラブル」で知られるフランスを代表する文豪ヴィクトル・ユーゴーと妻アデル・フーシェとの間に5番目の子供で末っ子として1830年に生まれています。実際にピンソンを追いかけてカナダに渡った時はすでに33歳程になっていたはずですが、イザベル・アジャーニは撮影当時10代。年齢に開きがありますが物語上問題ないようですし、実在のアデルも長い黒髪の大変美しい女性だったと言われています。
この映画のイザベル・アジャーニの演技は高く評価されベルリン国際映画祭、全米映画批評家協会賞、ニューヨーク映画批評家協会賞の主演女優賞を獲得し、アカデミー賞にもノミネートされました。
愛する人を家出同然で追いかけ、相手に拒否られストーカ化してもなおも追い続けるアデル。当初から精神病の一種であるエロトマニアの症状が出ているのですが、美しさも相まって鬼気迫る行動は観る者を圧倒します。
相手を置き去りにした愛は
一体どこに行ってしまうのか?
もしかしたら美しさは双刃の剣
美貌による自意識が過剰に膨らんだ結果、それが否定された時全てが崩壊してしまうのかもしれんません。
美人になったことないんでわかりませんが。
スタッフ・キャスト
監督のフランソワ・トリュフォーは、1973年に「映画に愛を込め手 アメリカの夜」でアカデミー賞外国語映画賞を受賞し70年代は精力的に活躍されました。1975年に発表した「アデルの恋の物語」は「恋のエチュード」(1971年)、「緑色の部屋」(1978年)と合わせてロウソクを使った撮影を「ロウソク三部作」としています。
アデルを演じたイザベル・アジャーニ。彼女のコスチュームプレイは最高です。この映画で知名度を高めたイザベル・アジャーニは翌年にもロマン・ポランスキー監督の「テナント/恐怖を借りた男」(1976年)にも出演していますが、こちらの映画はイザベル・アジャーニの美しさと言うより、主演も務めた監督の女装姿に目がいってしまい、メガネキャラも相まって印象が薄かったです。1979年に出演したヴェルナー・ヘルツォーク監督の「ノスフェラトゥ」では美しい妻ルーシーを演じ、これまたゾッとするような美しさが印象的でした。また、同様に実在の人物をモデルにした「カミーユ・クローデル」(1988年)で美貌の女彫刻家カミーユ・コローデルを熱演。こちらも恋人オーギュスト・ロダンとの恋愛で精神不安定になってしまう女性でした。こちらの演技も絶賛!もうイザベル・アジャーニの為の役でした。
ピンソンを演じたブルース・ロビンソンはイギリス出身の俳優さん。角度によっては男前というか頬の痩け方に特徴のある濃いお顔。多彩な才能をお持ちで、俳優だけでなく1984年のカンボジア内戦と描いた「キリング・フィールド」で脚本を担当。その後もご本人の自伝的な映画「ウィズネイルと僕」の監督・脚本をこなし、1992年に日本では劇場未公開でしたがDVDが出ている「ジェニファー8」を監督。この映画はアンディ・ガルシア主演で8人の女性のバラバラ遺体が見つかり捜査を進めていく中、彼女たちが全て盲目の女性だったと言うもの。次に狙われる美女にユマ・サーマンが出演しており中々のサイコ設定と配役だったにもかかわらず凡庸な作品になっていました。また、2011年にはジョニー・デップとアンバー・ハードが結婚したきっかけを作った映画として知られている「ラム・ダイアリー」を監督されています。
昨年お亡くなりになられたイスラエルの著名なヴァイオリニスト、イヴリー・ギトリスが催眠術師と出演されており、貴重映像でもあります。
まとめ
追いかけて追いかけて地獄行き
コメント