悪趣味夫婦「危険な関係」(1959年)

ドラマ

変人同士のカップルは最強です。

[原題]Les Liaisons Dangereuses
[製作年]1959[製作国]フランス・イタリア
[日本公開]1961
[監督・脚本]ロジェ・ヴァディム
[原作] ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ
[音楽]セロニアス・モンク/デューク・ジョーダン/ジェームズ・キャンベル
[上映時間]105

主な登場人物

ジュリエット・ヴァルモン(ジャンヌ・モロー):
ヴァルモンの妻。結婚しつつも恋愛ゲームを楽しむ主義。愛人の一人が17歳のセシルと婚約したと聞き、夫ヴァルモンに彼女を落とすようにけしかける。

ヴァルモン(ジェラール・フィリップ):
女好きの外交官。セシルを誘惑するのと同時にトゥルーベル夫人にも目をつける。

マリアンヌ・トゥルーベル(アネット・ヴァディム):
貞淑な人妻。夫は出張中。

その他の登場人物

ダンスニー(ジャン=ルイ・トランティニャン): セシルの恋人
セシル・ヴォランジュ(ジャンヌ・ヴァレリー): 17歳の娘。ダンスニーと交際している。
ヴォランジュ夫人(シモーヌ・ルナン): セシルの母

あらすじ

裕福で社交界で知られるヴァルモン、ジュリエット夫妻はスキャンダルの噂に事欠かなかった。ジュリエットには複数の愛人がおり、ヴァルモンも同様に恋愛を楽しんでいた。ジュリエットの愛人の中のコートが17歳のヴァルモンの従姉妹ヴォランジュ夫人の娘セシルと婚約したと聞かされ腹を立てた。アメリカ人がフランスの外交官夫人を制した上に莫大な持参金付きの貞淑な娘と結婚なんて。ジュリエットはコートに貞淑な妻と結婚したつもりが実は悪女だったと一杯喰わせるためにヴァルモンにセシルを仕込むよう彼女が両親と遊びに行っているメジェーブに行かせる。一方セシルには貧乏学生の恋人ダンスニーがいたが彼は今の自分では彼女に相応しくないと深い関係になるのをためらっていた。スキー場で華麗な滑りを見せるヴァルモン、セシルに近づくいっぽうでスキー場で司法官の妻マリアンヌと出会う。彼女の夫はオランダに出張中で、デンマーク生まれで訛りがあり飾らない彼女にヴァルモンは惹かれたとジュリエットに手紙をよこした。マリアンヌは別荘でまだ小さい娘と夫の大伯母でつましく暮らしていた。ヴァルモンは彼女を陥落させようとゆっくり時間をかけて彼女に近づいて行く。

どんな映画?

1782年にフランスの作家ピエール・ショデルロ・ド・ラクロによって書かれた書簡体小説を現代版(1950年代後半のフランス)にアレンジし映画化した作品です。

パーティーでも噂になっているのは
見た目も美しく外交官の最強セレブカップルのヴァルモン夫妻。

夫のヴァルモンはプレイボーイと名高いのですが妻のジュリエットは貞淑と称えられている程
しかしその実既婚ながらお互い複数の愛人を作り後腐れなく別れるという恋愛ゲームを繰り返す変態カップルでした。

ジュリエットは別れた愛人のアメリカ人がヴァルモンの従姉妹のヴォラんジュ夫人の娘セシルと婚約したと聞かされます。

実は紹介したのはジュリエット自身でしたが、当然17歳の小娘なんか選ばないと鷹を括ってのことでした。

ところが婚約したと聞き、怒るジュリエット。
私と遊んでおいて結局持参金付きの処女と結婚なんて!ムキー💢
とゆーわけで夫のヴァルモンにセシルを非処女にして押し付けてやるーと頼みます。

従姉妹の娘だしあまり気乗りしませんがヴァルモンはセシル達のいるスキー場に。
セシルはセシルで親には内緒の彼氏ダンスニーがいましたが、貧乏学生でクソ真面目、一線は超えていませんでした。

スキー場で颯爽と滑るヴァルモンは注目の的でした。
そこでヴァルモンはソリに乗った
美しく貞淑そうな夫人マリアンヌに出会ってしまうのでした。

18世記後半の貴族社会の退廃と道徳の腐敗を描いた小説ですが、痴情のもつれが生む悲劇はどんなに時代が経っても変わらないってことでしょうね。
ネタ的に美味しいのか結局人の恋心を弄ぶ人間は地獄に堕ちろということか、国や時代背景を変えて映画化されることが多い題材です。
現代のアメリカの高校生を舞台にした「クルーエル・インテンションズ」(1999年)は面白かったです。

1977年に「エマニエル夫人」ことシルヴィア・クリステルがトゥルーベル夫人を演じた「華麗な関係」としてセルフリメイクしています。

スタッフ・キャスト

監督はフランスのロジェ・ヴァディム。その作品は特異なものもありますが、カルト的人気を博すものもある異質な才能の持ち主。良くも悪くも注目を集めていたのはその私生活。1人目の妻は60年代を代表するセックス・シンボルのブリジット・バルドーでまだ世に出ていない頃に結婚。バルドーで「素直な悪女」(1956年)、「月夜の宝石」(1958年)を撮りますが、「素直な悪女」で共演したジャン=ルイ・トランティニャンにもっていかれて離婚。離婚後でも「何がなんでも首ったけ」(1961年)も撮っています。その後この映画でトゥルーベル夫人を演じたデンマーク出身の女優アネット・ヴァディムと、撮影の最中に恋仲になり結婚し次作の「血とバラ」(1960年)にも出演させていましたが、間もなく離婚。その後フランスを代表する美人女優カトリーヌ・ドヌーヴと事実婚で「悪徳の栄え」(1963年)を撮影しますが今度は監督がジェーン・フォンダに走りフォンダと結婚。ジェーン・フォンダで「獲物の分け前」(1966年)、「世にも怪奇な物語」(1967年)の中の第一話「黒馬の哭く館」、とんても映画の代表作「バーバレラ」(1967年)を撮り離婚。間に一人いて、その後は「さよならの微笑」で知られているマリー=クリスティーヌ・バローとしぬまで一緒でした。感心するのが女の趣味が一致していること。きれいな金髪に、でっかい猫目、そうゆう女性が好きなのかそうゆう女性に好かれるのか、ある意味稀有な存在です。

ヴァルモン夫人を演じたのはヌーヴェルヴァーグのミューズ、ジャンヌ・モロー。2017年に天寿を全うされましたが晩年まで精力的に映画に出演されました。現在では巨匠と呼ばれる監督に愛され、ルイ・マル、フランソワ・トリュフォー、オーソン・ウェルズ、ジョゼフ・ロージー、ミケランジェロ・アントニオーニ、ルイス・ブニュエルなど錚々たる顔ぶれです。気怠い雰囲気と不機嫌そうな顔、への字口、きれいな足と他の美人女優にはないアンニュイで退廃的な表情が、ちょい役で出演するだけでもその映画を安っぽくさせない不思議な魅力のあるお方です。

ヴァルモンを演じた銀幕の貴公子ジェラール・フィリップ、残念ながらこの映画の出演の後、肝臓ガンで36歳という若さで亡くなってしまいした。愛称のファンファンは1952年に出演した「花咲ける騎士道」の役名から、代表作はジャック・ベッケル監督の「モンパルナスの灯」で同じく36歳で夭折した画家モディリアーニを演じました。
わたくしが子供の頃初めてジェラール・フィリップを見て何てイケメン?と思った映画は「夜ごとの美女」でした。映画自体は??と言う娯楽作品への出演も多かったですが、知性を感じさせる物腰と整った顔立ち永遠のイケメンですね〜

まとめ

趣味の悪さが顔に出て地獄行き

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